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鈴木亮平『TOKYO MER』の “別次元演技” で『レンアイ漫画家』の汚名返上
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.07.11 11:00 最終更新日:2021.07.11 11:00
主演・鈴木亮平の独り舞台のように思えた。
先週日曜(7月4日)に放送された日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)第1話。
ドラマ開始5分頃から20分頃までで描かれた、トラックとバスの衝突事故現場での救命劇で、鈴木亮平演じる主人公の救命救急医・喜多見幸太の一挙手一投足に釘付けにされた。
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「MER」とは “モバイル・エマージェンシー・ルーム” の略称。オペ室と最新医療機器を装備した専用大型車両ERカーとその救命救急チームが、重大な事故、災害、事件などの負傷者を救出していくというドラマである。
同枠の前クール『ドラゴン桜』の好調を受けて始まった『TOKYO MER』だが、世帯平均視聴率が14.1%、個人全体視聴率が8.2%と、日曜劇場の名に恥じぬスタートを切った。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/関東地区)
■あえて緊迫感のない口調で緊迫感を煽る圧巻の演技
「TOKYO MER」のメンバーは、「待っているだけじゃ救えない命がある」を信条にするチーフドクター・喜多見を筆頭にした7人。
賀来賢人演じる厚生労働省の官僚で医師免許も持つ医系技官、中条あやみ演じるチーム参加にまだ迷いのある研修医、菜々緒演じる頼りになって凄腕の看護師など豪華なメンツ揃いだ。
さて、冒頭でお伝えしたとおり、ドラマ開始早々に勃発したトラック・バス衝突事故のシーンは、“俳優・鈴木亮平ここにあり” といった演技に引き込まれた。
中条や菜々緒らの演技も上手かったが、それらが霞んでしまうほど、鈴木のまとう空気だけ別次元の高みにあると感じた。もちろん主役を引き立たせる演出だったのだろうし、2番手の賀来がこの事故シーンではラストに登場したのみだったこともあるだろうが、鈴木の演技が突出していたように思う。
具体的に言うと、鈴木のハツラツとしながら穏やかさもある演技によって、事故現場の緊迫感のリアリティが一段階も二段階も増していたのである。
到着した喜多見はまず現場全体の様子を目視し、「ミンさん、点滴5本準備ぃ。冬木先生、麻酔をもう用意しておいてくださぁい」とチームメンバーに的確な指示出し。決して早口ではなく、まくしたてるでもなく、落ち着いた口調。もちろん負傷者に対しても焦った姿は見せず、柔らかな話し口は崩さない。
現場での喜多見は語尾を「さぁい」などと伸ばすのが特徴だ。これはおそらく、焦っている様子を見せてしまっては周囲にも伝染しかねないので、数々の修羅場をくぐってきたドクターほど、メンバーや負傷者に安心感を与えるために穏やかな口調に徹する――という鈴木独自の役作りだろう。
もし、未熟な役者がこの主人公を演じていたら、わざと険しい表情を作ったり、厳しい声色でセリフを発したりするなど、自分の言動で緊迫感を高めようとしてしまうのではないだろうか。
しかし、鈴木演じる喜多見の場合、彼の口調を聞いているだけではむしろ緊迫感は伝わってこない。
先に到着しているレスキュー隊などの面々がせわしくなく動き回り、どう見ても目の前に広がっているのは一刻を争う大惨事。そんな緊急事態において喜多見の発する声色は少し浮いており、異質さで逆に緊迫感のリアリティを増幅させている。……圧巻だった。
鈴木は前クールで主演した『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)が、最終回でも世帯平均視聴率5.8%、個人全体視聴率2.9%という大惨敗ドラマに。
せっかく2018年には大河ドラマ『西郷どん』(NHK)に主演し、2020年に主要キャストとして出演した『テセウスの船』(TBS系)がヒット作となっていただけに、『レンアイ漫画家』でミソが付いてしまったのだ。
だがこの『TOKYO MER』は鈴木の演技力が牽引する形で、作品のクオリティが高い水準に昇華されており、視聴率もついてきている。早くも『レンアイ漫画家』の汚点を帳消しにする勢いだ。
鈴木の新たな代表作になる予感しかしない本作の第2話は、今夜21時から放送である。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中