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『#家族募集します』仲野太賀による善意の押し売りは相当ウザいが、なにが正解かもわからない

エンタメ・アイドル 投稿日:2021.07.16 11:00FLASH編集部

『#家族募集します』仲野太賀による善意の押し売りは相当ウザいが、なにが正解かもわからない

 

 ちょっと意外な角度から “正解がわからない問答” を突き付けられたな……と感じた『#家族募集します』(TBS系)。

 

 ジャニーズWESTの重岡大毅が主演で、先週金曜に放送された第1話は、平均世帯視聴率7.7%、個人全体視聴率4.0%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、視聴率的には低調なスタート。

 

 

 しかし、Twitterではハッシュタグ「#家族募集します」が世界トレンド1位を獲得するなど大きな話題となり、好意的なつぶやきが多かった。

 

 物語は、妻と死別し5歳の息子と二人暮らしのシングルファーザー・赤城俊平(重岡)が、小学生時代の幼馴染・小山内蒼介(仲野太賀)と再会し、唐突にシェアハウスしようと持ち掛けられ――という展開。

 

 蒼介の提案は一緒に暮らして子育てをシェアしようというもので、俊平親子以外にもSNSで家族を募集するという突飛な行動に出る。

 

 そのSNSを見た、5歳の娘を持つシングルマザーで小学校教師の桃田礼(木村文乃)は、一時保育を依頼したことがきっかけで蒼介のペースに巻き込まれていく。

 

 そしてシンガーソングライターとして大成する夢を追う横瀬めいく(岸井ゆきの)が、6歳の息子とともにシェアハウスを訪れたところで1話は終了した。

 

 この大人4人と子供3人、それぞれ事情を抱えた家族たちが、一つ屋根の下で子育てをするという、これまでにない形の新感覚ホームドラマとなるようだ。

 

■ウザいと思ってしまうのは現代の都会人的な思考?

 

 さて、筆者がどこに “正解がわからない問答” だと感じたかというと、“家族の定義” や “家族の在り方” といった本作のメインテーマからは、少しズレた部分に対してだった。

 

 ズバリ言うと、蒼介の存在をウザいと感じ拒絶するか、それとも温かいと感じ懐に飛び込むか、という問題。

 

 誤解を恐れずに言えば、筆者は蒼介の言動がいちいちウザったく感じてしまった。蒼介に悪意は一切なく、善意からの振る舞いだったことは重々承知のうえ。しかし、善意の押し売り、善意の強要に思えて仕方なかったのだ。

 

 再会した翌日、蒼介は俊平の会社にいきなり押しかける。前日に俊平の事情も知らず配慮に欠けることを言ってしまったのではと謝罪に来たのだが、そこで俊平が妻と死別していることを知ると、自身が働くお好み焼き屋の2階でシェアハウスしないかと提案してくるのである。

 

「一緒に暮らすのが俺だけだと思ってんだろ? 俺たち学童で出会ったろ。ああいうのと流行のシェアハウスをドッキングさせて、いろんな家族とみんなで暮らして、子育てからなにからみんなでシェアするんだ。どう!? いいだろ!?」

 

 こんなふうにグイグイ姿勢でまくし立ててくる蒼介。俊平が困惑しながら「俺もうさ、ホントにマジで忙しいの、巻き込まないで!」と伝えても、お構いなしで話をどんどん進めていく。

 

 ワンオペ育児をしている親子らを助けたいという蒼介の気持ちは、純粋そのもの。けれど少なくてもこの時点で俊平は、ありがた迷惑に感じていた。善意の押し売りである。

 

 マイペースな蒼介は俊平の反論・異論は意に介さず、SNSで家族募集を開始。幸先よくSNSを見た礼がさっそく娘を預けに来たのだが、いざ幼女を預かると接し方がわからずにオロオロしだす。

 

 そんな蒼介が取った行動は、「おまえんちの子と同い年ぐらいの女の子だからさ。頼むよ、力貸してくれよ」と、俊平を呼び出すことだった。

 

 俊平は「俺の状況話したよね。いま自分のことで手一杯なんだよ。力になんかなれないって」と一度は断るものの、結局気になって息子と2人で蒼介のお好み焼き屋へ行くことに……。これは蒼介による善意の強要ではないだろうか。

 

 1話の終盤で俊平は蒼介に心を開き、2人は大号泣の末に相互理解を深めるのだが、前述したとおり、筆者は蒼介をかなりウザいと感じている。

 

 蒼介には、困ったときはお互い様という精神で、“家族の定義” を親子に限定せず、協力して助け合っていこうという崇高な考えがあるのもわかる。

 

 そう考えると、蒼介の言動に嫌悪感を抱くのは、もしかすると悪い方向に凝り固まった現代の都会人的な思考で、自分のほうが間違っているのではないかとも思えてしまう。押し売りだろうが強要だろうが、蒼介の善意に飛び込むべきなのだろうか。

 

 蒼介を敬遠するのは簡単だし、彼のようなタイプの人間を避けることが不正解だとは思わない。しかし、それが必ずしも正解とも思えない。

 

 実際このドラマでは、蒼介に巻き込まれた俊平親子や礼親子が、今後さまざまな問題に直面しながらも、紆余曲折を経て幸せになっていく過程を描くはずだ。

 

 つまり本作では善意の押し売り・善意の強要を肯定し、受け入れることが正解という描き方をするのだろう。

 

――どちらも不正解ではないと思うが、どちらが自分にとっての正解かもわからない。正解は観る人それぞれの価値観で違うだろう。今夜22時放送の第2話以降も観ていけば、自分なりの答えが見つかるのかもしれない。そう思わせる第1話だった。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

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