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名曲散歩/横浜銀蝿『ツッパリHigh School Rock’n Roll 試験編』リズムは都都逸だった

エンタメ・アイドル 投稿日:2021.10.24 16:00FLASH編集部

名曲散歩/横浜銀蝿『ツッパリHigh School Rock’n Roll 試験編』リズムは都都逸だった

左からTAKU、嵐、翔、Johnny

 

 東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。

 

お客さん:お、このイントロは横浜銀蝿の『ツッパリHigh School Rock’n Roll 試験編』。校内暴力の全盛期にヒットした1曲だねえ。

 

 

マスター:1981年、横浜銀蝿の4枚目のシングルだ。正式には横浜銀蝿+嶋大輔で、彼はこの曲で銀蝿の弟分として芸能界デビューした。この『試験編』も、おなじみの『登校編』も、実はあるリズムをベースにしています。それは何でしょう?

 

お客さん:急にクイズのようになったな……なんだろう?

 

マスター:それはなんと、都都逸。

 

お客さん:都都逸って、あの都都逸?

 

マスター:そう、七・七・七・五の26文字で表現した江戸時代の俗曲。有名なところでは「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は 百合の花」

 

お客さん:それは知っている。

 

マスター:他にもあるよ。「惚れた数から 振られた数を 引けば女房が 残るだけ」、「喧嘩したとき この子をご覧 仲のよいとき できた子だ」、「赤い顔して お酒を飲んで 今朝の勘定で 青くなる」

 

お客さん:庶民の気持ちや、男女の間柄を表現したユニークなものが多いんだね。

 

マスター:では、それを踏まえて『ツッパリHigh School Rock’n Roll 試験編』の歌詞を見てみよう。

 

お客さん:(歌詞カードを見ながら…)ホントだ。出だしから完璧な七・七・七・五になっている。

 

マスター:『登校編』もほぼ七・七・七・五なんだ。作詞した翔いわく、都都逸の “七・七・七・五調” の音数律が、エイトビートを刻むロックンロールのリズムにはまりやすいそうだ。

 

お客さん:ツッパリと都都逸のコラボとは意外だった!

 

マスター:翔はもともと落語好きで、小さい頃から父親が持っている落語のカセットを聞きこみ、テレビで落語を見ながらゲラゲラ笑っていたという。いまもしょっちゅう聞きに行っているそうだよ。

 

お客さん:落語のなかには都都逸がよくでてくるからな。「三千世界の カラスを殺し 主と朝寝が してみたい」とかね。

 

マスター:好きな落語家は林家三平だそうだ。もちろん、今のセコいのじゃなくて、先代のね!

 

お客さん:日本人が慣れ親しんだリズムだからこそ、受け入れられたのかもしれないね。

 

 おっ、次の曲は……。

 

文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中

 

参考:『東京かわら版』(2021年3月号)/BSフジ『霜降り明星のゴールデン☆80’s』(2021年3月14日)

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