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坂口健太郎がもはやホラー『婚姻届に判を捺しただけですが』笑いのセンスがなさすぎる

エンタメ・アイドル 投稿日:2021.11.02 11:00FLASH編集部

坂口健太郎がもはやホラー『婚姻届に判を捺しただけですが』笑いのセンスがなさすぎる

 

『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系、以下『ハンオシ』)を観ていると、つくづくコメディというジャンルの難しさを思い知らされる。

 

 率直に言って、コメディパート(と思われるシーン)が全然面白くないし、笑えないのだ。人それぞれ好みはあるだろうが、少なくても筆者の笑いの琴線には1ミリも触れない。

 

 

 毎週火曜放送で先週に第2話が放送された『ハンオシ』は、ヒロインを清野菜名、相手役を坂口健太郎が務めるラブコメディ。

 

 夢だったデザイナーの仕事にやりがいを持っており、結婚願望のない主人公・大加戸明葉(清野)は、大好きな祖母が営む小料理屋を守るために500万円が必要となる。明葉は堅物で変人ながら広告代理店勤務の高収入イケメン・百瀬柊(坂口)から、出会ったばかりにもかかわらず偽装結婚の申し出を受けていたため、その提案に乗って形式上の夫婦に。

 

 柊は中学時代の同級生でずっと片思いしていた女性が自分の兄と結婚してしまったため、兄嫁への恋心を悟られずに片思いを続けるために、既婚者の肩書を手に入れたかったそうだ。

 

 そんな明葉と柊が表面的には夫婦を演じ、衝突しながら共同生活を送っていくうちに惹かれ合っていく――という偽り夫婦による “不意キュン ラブコメディ” だという。

 

■『逃げるは恥だが役に立つ』にセンスで完敗

 

『ハンオシ』は、同じTBS火曜21時枠で放送されていた『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年、以下『逃げ恥』)と、比較されやすいドラマだ。

 

 夫(星野源)=雇用主、妻(新垣結衣)=従業員という、不思議な関係性の契約結婚を描いた『逃げ恥』。利害関係が一致したうえでのビジネスライクな結婚だったため、お互いに恋心を抱いてはいけない……と思いつつも惹かれ合ってしまうラブコメディだった。

 

 ここまで設定が類似している作品を同じ放送枠に投入したのだから、TBSは『ハンオシ』が『逃げ恥』と比較されることは織り込み済みのはず。むしろ『逃げ恥』のネームバリューを利用して、話題性を高めようとしているようにも思える。

 

 そこでTBSの思惑にあえて乗っかり比較させていただくが、『ハンオシ』を観ていると、いかに『逃げ恥』が神がかっていたドラマだったのか思い知らされるのだ。

 

 設定は似ているがこの2作品はまったく別もの。『ハンオシ』はコメディ作品として面白くないし笑えない。

 

 面白いと思うツボは人それぞれ違うことは承知のうえだが、筆者からすると『ハンオシ』の脚本や演出に笑いのセンスはあまりないと感じた。『逃げ恥』や、前クールの人気ドラマだった『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(日本テレビ系)と比較すると、コメディセンスは明らかに劣っていると思う視聴者は多いのではないか。

 

 そして、コメディ作品としてたいして笑えないということが、さらなる弊害を生み出してしまっている。清野演じるヒロインにも、坂口演じる相手役にも、キャラクターとしての魅力が乏しいのである。

 

 脚本や演出で笑えないので、明葉は口が悪くてよくイライラしているヒステリックな女性に見えてしまうし、柊は非常識で理不尽なサイコパス野郎に見えてしまう。

 

 特に柊の言動にはゾッとすることがたびたびある。最も象徴的だったのが、第1話で明葉が心不全で倒れた祖母が運び込まれた病院に駆けつける際、柊も付き添ったシーンだろう。

 

 まだこの時点で明葉は偽装結婚の提案を断固拒否していたにもかかわらず、柊は祖母に明葉と交際中で結婚を考えているという嘘を吹聴したのだ。精神的なショックが命にもかかわるという心不全を患っているお年寄りに、である。

 

 コメディタッチのBGMを流してごまかしていたが、本当にこのシーンの柊の言動は “ガチでやべぇヤツ” にしか思えなかった。

 

 ラブコメ作品では、普通の一般人男性がやったらストーカーみたいに思われる言動でも、かっこいい男がやるから成立する「※ただしイケメンに限る」シーンは定番。だが、このシーンは坂口という売れっ子イケメン俳優を擁しても怖さが勝ってしまっていた。

 

 本作は同名コミックが原作のため、二次元キャラによるマンガならばそこまで気にならないシーンだったのかもしれないが、それを三次元の生身の人間が演じると恐怖になってしまう。もはやサイコホラーかと思うレベル。

 

『逃げ恥』で星野が演じていた夫役も、よくよく考えてみると、極度のコミュ障でまともな男女関係が成立しないほどクセが強いやべぇヤツだったが、面白い脚本や演出により “かわいげ” が出ていた。もし現実に存在したらちょっと引いてしまうような人間性だったとしても、作品にコメディセンスがあると、そのやべぇ部分が愛すべき要素に昇華されるということだろう。

 

『ハンオシ』の柊にも、寝起きが悪く別人のようにだらしないといったギャップがあり、そういったところから “かわいげ” を出そうとしているのはわかる。けれど、いまいちハマってないように感じた。

 

 しかし、第1話の世帯平均視聴率9.4%・個人全体視聴率4.9%から、第2話は世帯平均視聴率9.9%・個人全体視聴率5.5%とアップしているため、このまま右肩上がりも期待できるドラマとなっているようだ。第3話も視聴率アップするのか、注目したい。
(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)

 

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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