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名曲散歩/ゴダイゴ『ガンダーラ』結成当初の2つの目標が成就した “絶妙なタイミング”
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.11.07 16:00 最終更新日:2021.11.07 16:00
東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。
お客さん:お、このイントロは『西遊記』(日本テレビ系)のエンディングテーマ、ゴダイゴの『ガンダーラ』。三蔵法師の夏目雅子がかわいかった……。
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マスター:あのとき夏目雅子は20歳、神がかり的な美しさだったよね。『ガンダーラ』は1978年にリリースされ、ゴダイゴ最大のヒットとなる160万枚を売り上げた。
お客さん:『西遊記』はドラマの内容もさることながら、曲が斬新だったよな。
マスター:ゴダイゴのリーダー・ミッキー吉野は、もともとGSのザ・ゴールデン・カップスに在籍していて、そこを脱退したのち、ボストンのバークリー音楽院に留学。そこで自らのルーツを見つめ、アジアをテーマにした音楽ができないか考えたそうだ。
お客さん:日本じゃなくて、アジアがテーマだったんだね。
マスター:そう、ミッキー吉野によると、昔の日本、つまり『日本書紀』や『古事記』のイメージはモノラルな単音でしかなく、もっとカラフルなイメージを求めたところ、『西遊記』に行き着いたという。
お客さん:ということは、ゴダイゴ結成以前から、ミッキーは『西遊記』を意識していたのか。
マスター:ゴダイゴを結成したとき、ミッキーには2つの目標があった。ひとつは中国でライブをすること。もうひとつは西遊記を音で表現することだった。
お客さん:ゴダイゴ結成から3年目、その夢が実現したわけだ。
マスター:そう、しかもそのタイミングが絶妙だった。ゴダイゴはデビュー以来、大きなヒットに恵まれず、次の曲が当たらなければ解散! という崖っぷちに立たされていた。
お客さん:そんなときに『西遊記』の曲の依頼がくるなんて、運命としか言いようがない。
マスター:それまでほとんど英語の歌詞を歌っていたゴダイゴが、あえて日本語詞で勝負をかけたのが、この『ガンダーラ』。当初、曲調はメジャーで始まり、サビでマイナーに転じる構成だった。しかし、プロデューサーが「全編マイナーでいこう!」と提案し、あのサウンドになったんだ。
お客さん:マイナー調だからこそ、異国情緒あふれる切ないメロディーになったんだね。
マスター:『ガンダーラ』はオープニングテーマの『モンキー・マジック』とともに大ヒット。翌1980年には中国公演も実現。つまり、ミッキー吉野の目標は達成されたんだ。
お客さん:まさしく「心願成就」、心から祈っていると、願いは叶うんだね。
おっ、次の曲は……。
文/安野智彦
『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)などを担当する放送作家。神田で「80年代酒場 部室」を開業中
参考:朝日新聞(2016年11月26日)/『昭和40年男 Vol.19』(クレタパブリッシング)/富澤一誠『フォーク名曲事典300曲』(ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス)
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