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2時間ドラマの帝王・船越英一郎、“思い出の崖” を語る「屏風ケ浦は僕のホームグラウンド」

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.11.15 06:00 最終更新日:2021.11.15 06:00

2時間ドラマの帝王・船越英一郎、“思い出の崖” を語る「屏風ケ浦は僕のホームグラウンド」

船越が「僕のホームグラウンド」と呼ぶ千葉県の屏風ケ浦で、ドラマ撮影中の一コマ

 

「2時間ドラマのラストシーンがなぜ崖なのかは、明確な理由があるんですよ」

 

 そう話すのは “2時間ドラマの帝王” と呼ばれる俳優の船越英一郎(61)だ。

 

「1961年に公開された松本清張原作、野村芳太郎監督、橋本忍・山田洋次さん脚本の『ゼロの焦点』という映画があり、そのラストシーンが撮影されたのが石川県にあるヤセの断崖なんです。

 

 

 各地でロケハンをしたところ、主人公が犯人と崖で対峙したらドラマチックなんじゃないか。荒々しい自然がより多くの心情を語ってくれるんじゃないかと、原作にはない断崖をあえてクライマックスに持ってきたんです。

 

 するとこの映画が大ヒットとなり、以降の映画ではこぞって崖で撮影されるようになったんですよ」

 

 ミステリー映画のラストといえば崖、というイメージの起源をそう語る。だが、日本人は熱しやすく冷めやすい。じきに崖のシーンは飽きられて消えてしまったという。そして15年ほどがたった1977年。2時間ドラマが産声を上げる。

 

「最初はやはり松本清張原作で、ここぞとばかりにラストシーンは断崖絶壁へ回帰したんです。時を経てこれがまた評判を呼び、2時間ドラマでは崖が定番になりました。

 

 ついにはパロディにもなりましたし、僕自身も崖が舞台のCMに出ましたからね(笑)」

 

 船越は松本人志(58)とバディを組み、犯人を崖に追い詰めるドラマふうのCMに昨年出演している。“日本一崖が似合う男” と言ってもいい船越に、思い出に残っている崖はどこかと聞いてみた。

 

「崖といえば北は北海道、南は沖縄まで行きましたね(笑)。ただ、リーマンショックの数年後ぐらいからドラマの世界も予算が厳しくなり、なかなか全国とまではいかなくなりましてね。

 

 そのあと、千葉県の銚子にある屏風ケ浦が多くなりました。東京から車で2時間ぐらいで行けますし、まさに断崖絶壁。房総半島から三浦半島まで一望でき、晴れた日は本当にきれいです。

 

 しかも、観光スポットになっていないので、撮影もしやすいんです。ここはサスペンスの名所のひとつで、僕のホームグラウンドです(笑)」

 

 屏風ケ浦は約10kmの海岸で、波の浸食でできた絶壁。雄大なスケールで “東洋のドーバー” ともいわれる。

 

「あとは東京からパッと行けて、僕がいちばんおすすめするのは、神奈川県の城ヶ島。ここの崖も雄大な景色です。そして王道は、福井県の東尋坊。ここの断崖絶壁は素晴らしい。東尋坊に行ったら、ぜひ “サスペンスごっこ” をしてほしいですね(笑)」

 

 じつは船越には、本人も驚いた東尋坊でのエピソードが。

 

「僕が撮影をしていたときに、バスツアーの方々がいらっしゃったんです。バスガイドさんが『こちらの崖が船越英一郎さんがよく撮影をしている、あの有名な崖でございます』と案内した先にたまたま僕がいて、『あら! ご本人です!』と(笑)。なんでも地元の方が “船越英一郎ロード” と呼んで、案内している道もあるらしいですよ」

 

 終始にこやかに話す “2時間ドラマの帝王”。11月22日(月)には、角野卓造と共演する十津川警部シリーズ第2弾の『十津川警部の事件簿「悪夢」』(テレビ東京系、20時〜)が放送される。

 

「あえて2時間ドラマの王道をやろうと、監督、脚本家、プロデューサー、スタッフの皆さんと細かく話し合いながら作ったので、2時間ドラマの要素はてんこ盛りです。容疑者がたくさん登場し、犯人探しはおもしろいと思います。それでも、最後は視聴者の涙腺を刺激するのがお約束だと思っているので、心を震わすような切ないシーンで締め括ります」

 

 これまで多くの俳優が演じてきた西村京太郎原作の十津川警部シリーズ。尊敬する大先輩が築き上げたイメージを壊さずに、船越なりのアレンジを加えた十津川警部を演じたいという。最後に、帝王にとって2時間ドラマとは?

 

「毎日、お茶の間で観ることができる新作映画というのが、2時間ドラマをいちばん言い当てていると思います。とくにサスペンスドラマには、犯人探しの推理、人間模様、ラブストーリーと、すべてのドラマの要素が凝縮されています。旅情サスペンスなら、旅の気分や美味しい食事も楽しめる。

 

 僕がいちばん心がけているのは “読後感” のいいドラマ。『明日頑張ろう』と心の糧になるような人間讃歌で終わりたいと思っています。

 

 日本の文化である2時間ドラマの灯を消さないためにも、皆さんに興味を持っていただければ嬉しいです。そのためなら、崖の話も何度でもしますよ(笑)」

 

( 週刊FLASH 2021年11月23日号 )

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