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『日本沈没―希望のひと―』小栗旬の “違和感のあるセリフ” に涙腺崩壊
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.11.21 11:00 最終更新日:2021.11.21 11:00
ちょっと文脈的におかしいと感じた。
「ありがとな、ありがとう」
無事に娘と再会した主人公・天海啓示(小栗旬)が発したこの言葉、少し違和感があったのだ。だからこそリアリティがあり、涙腺をやられた。
これまでにもドラマ化、映画化、アニメ化などされてきた小松左京の小説『日本沈没』(1973年)を原作にしつつ、舞台を2023年の東京に変え、ストーリーを大幅にアレンジした日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(TBS系)。
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地殻変動により日本が沈没してしまうという未曽有の危機に直面し、国民を守るために尽力する環境省の官僚・天海を中心に描いた物語だ。
第1話から第4話まで世帯平均視聴率15%台と高水準で安定していた本作が、先週放送された第5話の世帯平均視聴率16.9%と、番組最高を記録した。(※視聴率はビデオリサーチ調べ/関東地区)
■小栗の安堵の叫び「あああああぁ」は鳥肌もの
先々週放送の第4話ラストで、とうとう関東沈没が始まってしまった。
そして先週放送の第5話。首都圏の沿岸部が沈没してしまい、天海と記者・椎名実梨(杏)は巻き込まれるものの、なんとか難を逃れていた。しかし、天海の妻と娘、そして椎名の母らが避難するために乗っていたバスが、トンネル崩落事故に巻き込まれたという情報が入ったため、2人は事故現場付近に向かう。公園で無事に娘を見つけ出し、娘を抱きしめる天海。
「ああああ……よかった……。あああああぁ……ああ……ああぁ、よかったぁぁ」
天海の言葉にならない安堵の叫び。このシーンの小栗旬の演技が圧巻で、ニコニコの笑顔ではなく、まるで放心しているかのように「あああああぁ」と発するのだ。“こう演じよう” と計算してできるレベルではない感情表現だったように思う。そこにいたのは小栗旬ではなく、まぎれもなく天海啓示だった。
その後に、「あはははっ、探したぞ」と満面の笑みを見せ、冒頭で触れた「ありがとな、ありがとう」という言葉が口から漏れる。このセリフにほんの少しだが違和感を覚えたのだ。
わざわざ東京から探しに来たのは天海のほうなので、どちらかと言えば「ありがとう」は娘側の言葉。文脈的に天海の言葉として整合性が取れるのは「会えて嬉しいよ」などだろう。
もちろん天海が、“無事でいてくれてありがとう” という気持ちだったことはわかる。だがやはり、ここで娘にお礼の言葉を言うのは少々不自然に感じた。
誤解しないでもらいたいのだが、決してディスっているわけではなく、むしろ大絶賛なのだ。現実に感情がたかぶっているとき、理路整然と話すのはなかなか難しい。だから整合性が取れないぐらいの言葉のほうが、リアリティが増すのである。
この「ありがとな、ありがとう」がもともと台本にあったセリフなのか、小栗のアドリブなのかはわからない。だが、いずれにしても素晴らしすぎる。台本にそう書かれていたのなら、言葉のプロフェッショナルである脚本家があえて違和感のある表現を採用したということだし、小栗のアドリブなら、役が憑依していないと出ない言葉だったように思う。
『花より男子』(2005年/TBS系)の花沢類役で人気に火がついた小栗は、ブレイク当初は世間からアイドル俳優のように扱われていた。けれど2007年に放送された『情熱大陸』の密着では、すでにアイドル俳優で “終わる” つもりなんて毛頭ないという気迫を見せていた。
『花より男子』や『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(2007年/フジテレビ系)に出演していた当時の小栗を、筆者も例に漏れずビジュアル重視のただのイケメン俳優と見なしてしまっていたが、謝りたい気分だ。
――今夜放送の第6話から、いよいよ「第二章 日本沈没篇」に突入する。役者・小栗旬のひとつの到達点となるだろう本作を最後まで見届けたい。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中
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