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浅香唯 今だから語る36年前のデビュー秘話…「親子の縁を切ってでも行くから」と母と衝突も
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.12.03 06:00 最終更新日:2021.12.03 10:57
三代目麻宮サキを演じた『スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖伝奇』で大ブレイク。『C-Girl』『セシル』のメガヒットで、瞬く間にトップアイドルの座に上り詰めた浅香唯(51)だが、デビューに至るまでの道のりは、けっして平坦ではなかった。
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「芸能界なんてとんでもないと、親戚中から大反対されて。最初は、それほど東京に行きたかったわけじゃなかったんですけど、反対されればされるほど私もムキになってしまって、絶対に行くからねと」
なかでも、母親とは真正面から衝突した。
「最後は、親子の縁を切ってでも行くからと宣言してしまって……。勢いというか、売り言葉に買い言葉というか……若気の至りです(苦笑)」
ところが――。覚悟を決め、たった一人で宮崎から東京に出てきたその日の夜、いきなりホームシックに襲われた。
「寂しくて、心細くて……。それでも帰らなかったのは、電話して母の声を聞いたら、すぐに宮崎に戻りたくなるから。戻ったら、二度と東京には出てこないだろうなという自信があったからです」
異体同心。水波の隔て。この親にしてこの子あり。母も子も思いは同じ……しかし、母親のほうが一枚上手だった。
「毎日、居候先のお宅に電話をしてきては、娘はご迷惑をおかけしていませんか? 元気にしていますか? と、私の様子を聞いていたみたいなんです。しかも電話があったことは、娘には絶対に言わないでくださいと言って。ずるいですよね、私は電話がないから、まだ怒っているんだとずっと思っていたのに(笑)」
そんな浅香が持って来てくれたのは……祖母から母へ、そして娘へと受け継がれたオメガの腕時計だ。
「祖母が亡くなったとき、形見として母が譲り受けたもので。私が結婚したとき “これからはこの時計と一緒に新しい時を刻んでいきなさい” と、手渡してくれたんです」
母が大切に、大切にしまっていた手巻きの腕時計。浅香がこれを身に着けるのは、数年に一度、ここ! というときだけ。箱から取り出し、ゆっくりとネジを巻きながら、母への感謝をその胸に刻む。
「娘が今、14歳になって……。私が宮崎から出てきた年齢に近いんですけど、もしも娘が、一人でどこか遠くに行くと言い出したらと思うと……そんなの無理、絶対に無理ッ! 考えられないですから」
苦笑する浅香に、ちょっと意地悪な質問をぶつけてみた。
――もしも、あのとき宮崎にとどまっていたら?
「う~~~ん、それはそれで幸せな人生だったのかもしれないですけど……たった一度の人生ですから。悩んで諦めるんじゃなくて、自分で一歩を踏み出したということを褒めてあげたいなって思います」
デビューから全力で駆け抜けた36年……彼女のそばには、いつもファンがいた。
「芸能活動をお休みしていた時期に、一人寂しく誕生日を過ごしたことがあって。そんなときも、ファンの子たちが集まって、誕生日を祝ってくれていたみたいなんです。だったら私も呼んでよ! ってことなんですけどね(笑)」
そんなファンの気持ちに応えるために、さらに、自分自身が二度と寂しい誕生日を過ごさなくてもすむように、毎年バースデーライブを開くことを決めた。そのライブがもうすぐやってくる。
「コロナ禍の去年は、無観客の配信ライブでしたけど、今年はまたみんなで集まりたいなぁと。最初は、誕生日にみんなで集まれば寂しくないじゃんという不純な考えもあったんですけど、回を重ねるごとに、どんどん大切に思う気持ちが大きくなっていく感じがしています」
ライブのセットリストはもう決まってる?
「思い入れのある曲と、ファンの方が聴きたいと思っている曲をずらりと並べて “THE 浅香唯” というライブにするつもりです。気持ちはあのころの、バリバリのアイドルだった時代と一緒。針が振り切れるまでやりますよ!」
四十にして惑わず、五十にして天命を知る――と言ったのは孔子。もうすぐ、その50を2つ超える浅香は、いま新たなチャレンジを始めようとしている。
「50歳になったら、もっと落ち着くと思っていたんですけどね。でも蓋を開けてみたら、なんにも変わっていないぞと。そこへRIZAPさんからCMのお話をいただいて」
変わったのは体だけではなかった。
「こう見えて、けっこう保守的なんですけど、CMをきっかけに、あれもやってみよう、これもやってみたい……と、イケイケな感じになって。もう一回、いろんなことにチャレンジする人生があってもいいのかなと思い始めているところです」
当然、今度のバースデーライブもそのひとつ。詳しいことは「当日のお楽しみです」と煙に巻かれたが、最後の一滴までエネルギーを絞り尽くすような熱いライブになるのは必至だ。
あさかゆい
1969年12月4日生まれ 宮崎県出身 1985年にシングル『夏少女』で歌手デビュー。1986年にドラマ『スケバン刑事Ⅲ少女忍法帖伝奇』にて、三代目麻宮サキ役で大ブレイク。その後もヒット曲を連発し、“日本一忙しいアイドル” と呼ばれた
写真・中村功
取材&文・工藤晋