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【坂本冬美のモゴモゴモゴ】『螢の提灯』阿久悠先生からいただいた褒め言葉は生涯の宝物

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.12.11 06:00 最終更新日:2021.12.11 06:00

【坂本冬美のモゴモゴモゴ】『螢の提灯』阿久悠先生からいただいた褒め言葉は生涯の宝物

 

 人は褒められると、嬉しくなる生き物です。特に女の子は、半ばそれがお世辞だとわかっていても、褒められると相手にも自分にも優しくなれます。わたしですか!? もちろんです。

 

「冬美ちゃん、かわいい!」
「冬美ちゃん、きれい!」
「いつまでも、お若い!!」

 

 

 そんなはずがないことは、自分がいちばん、よ〜く知っていますが(笑)、やっぱり嬉しい。へへっ。うふふ。てへっ、ってなもんです。

 

 なかでも、『螢の提灯』(1996年発売)の詞を書いてくださった阿久悠先生からいただいた褒め言葉は、当時も今も変わらず、生涯の宝物になっています。

 

 阿久先生から初めて詞をいただいたのは、1993年に放送されたNHK大河ドラマ『炎立つ』のイメージソング『恋は火の舞 剣の舞』でした。

 

 ただ……このときは、阿久悠ではなく、ペンネームの多夢星人という別名で……。嬉しい半面、わたしはまだ歌手として認められていないんだろうなと、悔しさを募らせたことを覚えています。

 

 それがです。デビュー10周年のこの年、阿久先生がこの、わたしのために『螢の提灯』を含む10篇の詞を書いてくださり――ここが、ポイントなのでもう一度言いますね。先生がわたしのために10篇の詞を書いてくださり、『冬美十艶』というアルバムを出すことになったのです。

 

 もう、嬉しいのなんのって。盆と正月、ついでに、夏休みとクリスマスもいっぺんに来たような感じで。「嘘!? ホントに?」と呟いたまま、数秒、固まっていました。

 

 その先生から、詞と一緒にいただいたのが――「坂本冬美は色つき玉ねぎ」という言葉です。剥いても、剥いても、違う色が出てくる――と。

 

 デビューして10年。ただ夢中でまわりを見る余裕もなく、がむしゃらに走ってきたわたしにとって、阿久先生からいただいたこの言葉は、最高の褒め言葉でした。エネルギー充填120%、やる気満々です。

 

■不良じゃないわたしには不良っぽさを出せない……

 

 そんなわたしの前に大きく立ちはだかったのが、『螢の提灯』の作曲をしてくださった宇崎さん……『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』の、 “一寸前なら憶えちゃいるが” の宇崎竜童さんが作ってくださった、レゲエ調のメロディラインです。

 

――レゲエ?

 

 忌野清志郎さんでロックにふれ、『夜桜お七』で8ビートに挑戦した演歌歌手のわたしに、レゲエ――っ?

 

 いや、やれと言われれば、やりますよ。やりますけど……。しゃべりながら歌うというのが、どーにも、うまくできない。やろうと思って必死に頑張っても、なかなかうまくいきません。

 

「真面目すぎる。もっと、不良っぽく」

 

 宇崎さんから叱咤激励の声が飛んできますが、不良じゃないわたしには難しい(笑)。何度挑戦しても、宇崎さんが求める不良っぽさを出すことはできませんでした。

 

 さぁ、それから数年後のことです。

 

『また君に恋してる』を出した後、宇崎さんとご一緒させていただく機会があって。そのときに言われたのが、「何があったの?」という、わたしにとっては、これもまたお褒めの言葉です。

 

「色っぽくなったね」
「はい。それなりに歳を重ねましたから」

 

 言葉を交わした後、宇崎さんと2人、顔を見合わせ、ふふふっと笑い合ったのを覚えています。

 

さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身 『祝い酒』『夜桜お七』など数多くのヒット曲を持ち、『また君に恋してる』は社会現象にもなった。桑田佳祐から届けられた『ブッダのように私は死んだ』のリリースによ って生まれた「情念POPS」をセレクトして制作された最新コンセプトアルバム『Love Emotion』が好評発売中!

 

写真・中村功 
構成・工藤晋

 

( 週刊FLASH 2021年12月21日号 )

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