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『ハンオシ』清野菜名の演技がうますぎて…かわいげない主人公に妙にイライラ

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2021.12.22 22:16 最終更新日:2021.12.22 22:16

『ハンオシ』清野菜名の演技がうますぎて…かわいげない主人公に妙にイライラ

 

 清野菜名の高い演技力によりリアリティが出すぎて、彼女が演じる主人公にイライラしてしまったのかもしれない。

 

 12月21日に最終回を迎えた『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系/『ハンオシ』)。主人公・明葉(清野)と相手役・柊(坂口健太郎)が、偽装夫婦となる “不意キュン” ラブコメディだ。

 

 

 柊は片思いだった中学時代の同級生が自分の実兄と結婚してしまい、恋心を悟られないようにと、明葉に偽装結婚を申し込む。明葉と柊は衝突しながらも偽りの夫婦として共同生活を送るうち、次第に惹かれ合っていく。

 

 世帯平均視聴率で見ると第1話が9.4%で、それ以後9%台と10%台を行ったり来たりし、最終回は自己最高の10.7%でフィニッシュ。安定した視聴率からは固定ファンをガッツリ掴んでいることが伺えるし、今のご時世なら合格点と言える水準だろう。
(※視聴率はビデオリサーチ調べ/関東地区)

 

 しかし、あくまで個人的な意見だと前置きさせていただきたいが、最終回の率直な感想としては、最後まで明葉へのイライラが募っていった。思い返せば第1話から、明葉には不満顔ばかりしているヒステリックな女性という印象があったため、その理由を考察してみたい。

 

■ひと言で言うと、ヒロインにかわいげがない

 

 偽装結婚をやめて離婚した明葉と柊だが、最終回1話前の第9話のラストで、お互いに恋愛感情があり、両想いだと確認しあった。けれど、このままなんの問題も起こらず最終回がハッピーエンドで終わるわけはなく、案の定トラブルが発生する。

 

 簡単に言うと、明葉はとりあえず結婚を保留して、恋人として改めてゆっくりお互いを知っていこうというスタンス。一方の柊はすぐに婚姻届を出して、再び正式な夫婦になろうというスタンス。

 

 価値観に大きな違いがあり、さらにその意思疎通ができていなかったことで、2人の間に不穏な空気が流れる。また、大家の事情で借りていた家から引っ越しを余儀なくされ、ギクシャクが解消されないまま別居することに……。

 

 このあたりの描写で、筆者はどうにも明葉に不快感を覚えてしまっていた。

 

 柊は告白時に「僕たち、一からお付き合いを始めましょう」と言っていたので、明葉の主張のほうが、筋が通っているとは思う。また、柊が明葉の気持ちを確認せずに同僚や取引先にやたら妻アピールをしたり、明葉に相談もせずに結婚式場を仮予約したり婚姻届をもらってきたりしたのは、コミュ力の低い柊の暴走である。

 

 そんな柊の言動に対して、明葉は嫌気が差してウンザリするような態度を見せていた。

 

 視聴していて、ここがとにかくイライラした。なぜかと言うと、柊がそういうタイプだってこと知ってて好きになったんでしょ? と思うからだ。

 

 相手の気持ちを慮れないところからくる柊のそういった暴走は、今に始まったことではなく、出会ったときから一貫している。偽装夫婦として生活をともにしていくなかで、そんな欠点のある柊だと知ったうえで好きになったんじゃないのか? それとも両想いになった途端、柊が人間的に急成長するとでも思っていたのか?

 

 今回の一連の柊の言動は平常運転。元来の不器用な性格が悪いほうに出たが、明葉にはそれぐらい想定内でいてほしかった。

 

 険悪ムードのなか、明葉は私の気持ちをわかってほしいアピールをしたが、じゃあ明葉は柊の気持ちをわかろうと最大限努力していたのかというと、大いに疑問。相手を理解しようとする気持ちが足りていなかったのではないかと感じる。

 

 さて、ここからはメタ的視点で主人公・明葉に対するイライラの要因を考えてみたい。

 

 そもそもラブコメディというジャンルで、登場人物たちが突飛な行動や非常識な行動をするのは珍しくない。本作で言えば、柊の思考回路や行動原理は常軌を逸しており、現実にこんな人物が身近にいたら、できるだけ関わらないようにするレベルの変人だ。

 

 普通に考えれば柊のほうがよっぽどやべぇヤツなのだが、柊にはさほどイラつかず、わりと常識人な明葉にイラついてしまう原因はどこにあったのか?

 

 それは明葉がコメディ作品の主人公にしては常識人すぎるキャラ造形であり、しかも清野菜名の演技がうますぎたからかもしれない。清野がリアリティある表情を作り迫真の感情表現をするため、コメディ作品のキャラとして大目に見ることができなくなったように思う。

 

 一言で言うと、かわいげがないのだ。

 

 ヒステリックに怒っていても、不寛容な言葉や矛盾する行動があったとしても、ラブコメらしいキャラ造形と演技ならば、かわいげが出てイライラもないのだろうが、いかんせん、清野が演じる明葉はリアルすぎるのである。

 

 ラブコメ作品で繊細な感情表現ができる清野が高い演技力を発揮すると、キャラの欠点が如実に浮かび上がってしまうのかもしれない。清野がもしまた恋愛作品に出演するなら、自身の演技が活きるシリアスな純愛ドラマがいいのではないだろうか。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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