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【坂本冬美のモゴモゴモゴ】『男の火祭り』といえば思い出す、本田美奈子.さんとの思い出
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.12 06:00 最終更新日:2022.02.12 06:00
北島三郎大先輩の代表曲『まつり』のように、みんなで盛り上がれる曲をーーということで書いていただいたのが『男の火祭り』(2013年発売)です。
イメージは、地元・和歌山の熊野那智大社の例大祭、扇祭り……通称「那智の火祭」。そのまま曲名にという案もありましたが、日本中あちこちに火祭り……石川県の能登半島に伝わる輪島大祭や、熊本県阿蘇神社でおこなわれる火振り神事など、勇壮なお祭りがたくさんあって。
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あえて限定する必要はないよねという、若干営業的なことも考慮に入れて(笑)、聴いてくださった方が、これはおらが町の歌だ! と思っていただけるように『男の火祭り』という曲名に決定しました。
詞を書いてくださった、たかたかし先生、曲を作ってくださった杉本眞人先生をはじめ、スタッフ総出で参加したコーラスは、最初からもうノリノリで。 “アッパレ、アッパレ” に続く、 “アッパレ、ソ〜レ!” の掛け声は、明るく元気で勇気100倍。歌っているわたしの心も弾みます。
それだけに、コロナ禍でお客さまと一緒に大声で盛り上がることができないことが悔しくて、哀しくて……。一日も早く、みんなで “アッパレ、ソ〜レ” と声を張り上げ、心から楽しめるコンサートができることを切に、切に、切に――願っています。
■可憐であどけなくて弾けるような笑顔
『男の火祭り』の発売から1カ月後……毎年おこなわれている、2005年に急性骨髄性白血病のために亡くなった本田美奈子.さんの追悼コンサート「2013 LIVE FOR LIFE『音楽彩』〜本田美奈子.メモリアル〜」に、わたしも参加させていただきました。
ーーえっ!? なんで? と、首を捻られた方がたくさんいると思います。
それは、そうですよね。美奈子ちゃんはアイドルでスタートして、ミュージカルの世界へ。一方のわたしは、生まれも育ちも演歌。歌のジャンルも違うし、見た目も大きく違いますから(笑)。
美奈子ちゃんと初めて会ったのは、わたしがデビューして間もないころです。年は同じだけど、学年は私がひとつ上。でも、デビューは美奈子ちゃんのほうが2年早かったので、この世界では先輩です。
とってもかわいらしくて、キュートで。天使のような美奈子ちゃん。
きっかけは、同じレコード会社で、宣伝担当のスタッフも同じだったこと……ただ、それだけのことですが、会った瞬間、波長がピタリと合って。
白血病の治療の過程で、美奈子ちゃんの血液型はOからAに変わったけど、知り合ったときは同じO型。そういう瑣末なことも、少しは関係しているのかもしれませんね。
会って一緒に食事をするのは、年に1、2回くらい。それでも、心のずっと奥のほうで繋がっていたような気がします。少なくとも、わたしにとっては演歌の方たちを除き、この世界でできた……戦友とか盟友とかじゃない、ただ一人の友でした。
あんなに細っこい体で、いつだって魂がほとばしるようなパワフルな歌を歌っていた美奈子ちゃん。何かがうまくいかなくて腐ったり、愚痴を言ったり、人のせいにしたり……わたしにもそんなときがあります。そういうときに、ふと頭に浮かぶのが美奈子ちゃんの笑顔……可憐であどけなくて、汚れのない弾けるような笑顔です。
美奈子ちゃんが亡くなって16年……年を追うごとに、わたしの中でその存在が大きくなっているような気がします。
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身 『祝い酒』『夜桜お七』など数多くのヒット曲を持ち、『また君に恋してる』は社会現象にもなった。桑田佳祐氏から届けられた『ブッダのように私は死んだ』のリリースによって生まれた「情念POPS」をセレクトして制作された最新コンセプトアルバム『Love Emotion』が好評発売中!
写真・中村功
構成・工藤晋