エンタメ・アイドル
【坂本冬美のモゴモゴモゴ】『夢ん中』を小林旭さんとデュエットして心臓バクバク「坂もっちゃん」と呼ばれて驚いた!
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.19 06:00 最終更新日:2022.02.19 06:00
時代を彩ったヒット曲のカバーアルバムを作ろうという企画が持ち上がったのは、『また君に恋してる』がヒットした直後のことでした。
このあたりのレコード会社の対応力……フットワークの軽さというか、抜け目のなさは、もう、さすが! と言うしかありません(笑)。
関連記事:【坂本冬美のモゴモゴモゴ】デビュー曲が決まった瞬間、真っ先に頭に浮かんだ「うわっ、ダサい…」
アルバムのタイトル名は、『Love Songs〜また君に恋してる〜』。収録する曲は社長をはじめ、スタッフ、レコード会社の皆さんからアンケートを取って、絞りに絞った50曲をワンコーラスずつ全部歌ってみて、最終決定をするというスタイルです。
レコーディングでわたしがこだわったのは、イントロです。イントロが同じだと、どうしたって、そのアーティストの声が聴こえてきちゃうわけで……。だから、原曲のイメージを残しつつも、ガラッと変えてもらって。
最初は「えっ!? なんだろうこの歌は?」と、思いながら聞いていると「あぁ、なるほど」と、思っていただけるような仕掛けになっているんです。
原曲を聴くのは最初だけ。そこでしっかり自分の中に飲み込み、しっかりと消化して、別の歌……坂本冬美の新曲としてレコーディングに臨む。このあたりの感覚を言葉にするのは難しいのですが、あえて表現するとすれば、そんな感じです。
『Love Songs〜また君に恋してる〜』をはじめ、これまで数多くのカバー曲を歌ってきましたが、その先駆けとなる最初のシングルが『夢ん中』(1995年発売)でした。
作詞は、阿久悠先生。作曲は、森田公一先生。歌っていたのは……小林旭さん。1978年に発売された楽曲で、テレビ時代劇必殺シリーズ12作め『江戸プロフェッショナル・必殺商売人』と、続く13作め『必殺からくり人・富嶽百景殺し旅』の主題歌です。
■最大級の親しみをこめて呼んでくれた
小林旭さんとは、テレビの歌番組で何度かご一緒したことがありますが、2人で歌ったのは三度だけ。しかも、二度めにお会いしたときは、「よろしくお願いします」と頭を下げたわたしに向かって、にっこりと微笑みながら、「久しぶり」と、まずひと言。
それから、おもむろに右手を差し伸べ、もうひと言ーー。「坂もっちゃんは、元気だった?」とおっしゃったのです。
えっ!? えっ!? えっ!? です。今、名前を呼ばれたような気はするんだけど……坂もっちゃんって?
小林旭さんは、最大級の親しみをこめて、「坂もっちゃん」と呼んでくださったのだと思いますが、あのときの衝撃は、今でもハッキリとクッキリと覚えています(笑)。
でも、本当に驚いたのは三度め、NHK−BSの『新BS日本のうた』で、一緒にこの『夢ん中』を歌わせていただくことになったときのことでした。
テレビ収録というだけでガチガチになるのに、『夢ん中』を一緒に歌うことになるとは……いやぁ、もう緊張したのなんのって、心臓がバクバクしっぱなしでした。
しかも、です。歌い終わったあと、小林旭さんが「この歌、難しいんだよなぁ」と呟いたのです。もっとゆったりと歌いたいけど、それができない……と。それは、わたし自身が感じていたことと同じで。
ゆっくり歌いたいのにテンポは速い。そのテンポに合わせて歌うのがすごく難しい。それは、レコーディングのときからずっと思っていたことでした。
それと同じことを、小林旭さんも感じていらした……。そう思った瞬間、わたし……坂もっちゃんは、なんか感動でジーンとしちゃいました。
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身 『祝い酒』『夜桜お七』など数多くのヒット曲を持ち、『また君に恋してる』は社会現象にもなった。桑田佳祐氏から届けられた『ブッダのように私は死んだ』のリリースによって生まれた「情念POPS」をセレクトして制作された最新コンセプトアルバム『Love Emotion』好評発売中!
写真・中村功
構成・工藤晋