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阿部寛『DCU』は “優等生” すぎる…高視聴率だけど盛り上がりに欠ける原因を過去4作と比較して検討
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.20 11:00 最終更新日:2022.02.20 11:00
高視聴率を維持している『DCU』(TBS系)だが、最近の「日曜劇場」作品に比べ、ちょっと盛り上がりに欠けているような気がする。
『下町ロケット』『ドラゴン桜』など「日曜劇場」(TBS系/日曜21時枠)の顔となった阿部寛が主人公を務め、ハリウッド大手プロダクションとの共同制作という、鳴り物入りの前評判でスタートした。
水中の事件や事故の捜査のため、海上保安庁が新設した「潜水特殊捜査隊」、通称「DCU(Deep Crime Unit)」の活躍を描くウォーター・ミステリーだ。
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メンバーには、真実を解明するためには手段を選ばない隊長・新名正義(阿部)を筆頭に、血気盛んな若手隊員・瀬能陽生(横浜流星)など、少数精鋭ながら水中捜査に特化したエキスパートが集っている。
世帯平均視聴率は第1話から先週放送の第4話まで、16.8%、15.2%、15.2%、13.9%(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)と高水準で推移しており、「日曜劇場」の名に恥じぬ数字を残している。
日本のドラマでは珍しい、手間のかかった潜水シーンなどがウリとなっており、第3話では主要キャラだった女性隊員(中村アン)が殉職して、早々に “退場” したことも話題になっていた。
……十分注目を集めているし、視聴率もついてきている。だが、ここ最近の「日曜劇場」作品はかなり話題性に富んでいたため、相対的にいまいち盛り上がっていないように感じるのだ。
ということで、『DCU』と昨年「日曜劇場」で放送された4作品を比較してみたい。
■綾瀬はるか主演『天国と地獄 ~サイコな2人~』と比較
昨年1月期は『天国と地獄 ~サイコな2人~』。綾瀬はるか演じる刑事と高橋一生演じる殺人鬼の魂が入れ替わってしまうミステリー作品。
連続殺人事件や入れ替わりのエピソードがスピーディに進んでいき、謎が謎を呼ぶ展開。終盤で描かれた真相は、広げ過ぎた大風呂敷を回収しきれない感はあったものの、それでもついつい最終話まで釘付けになってしまった。
『DCU』も15年前に起きた海難事件の謎が物語の縦軸としてあり、その際に死んだと思われていた新名のバディ・成合淳(吉川晃司)が生きていたことが第4話ラストで明かされるなど、続きが気になるストーリーにはなっている。
しかし、『天国と地獄』ほど畳みかけるような展開ではないため、グイグイと物語に引き込んでいく吸引力は薄い。
■阿部寛主演『ドラゴン桜』(第2シリーズ)と比較
昨年4月期は『ドラゴン桜』(第2シリーズ)。『DCU』と同じく阿部が主演で、元暴走族の弁護士・桜木建二(阿部)が、低偏差値校の生徒たちを東大合格に導く物語。この作品は東大受験の必勝法などが話題になったが、それ以上に主人公・桜木のキャラが立っていた。
「搾取されるだけの人間になりたくなければ、不満ばかり言う人生を送りたくなければ、お前ら勉強しろ! バカとブスこそ東大へ行け!」
このような強烈な名言を続々生み出す『ドラゴン桜』の桜木と比べると、『DCU』の新名はインパクトで負けている。キャラの個性が強ければいいわけでもないが、やはり話題性という意味では桜木に軍配が上がる。
■鈴木亮平主演『TOKYO MER~走る緊急救命室~』と比較
昨年7月期は『TOKYO MER~走る緊急救命室~』。オペ室と最新医療機器を装備した専用大型車両と、その救命救急チーム「TOKYO MER」が、重大な事故・災害・事件などの負傷者を救出していく。
事件や事故の解決に挑むチームものなので、『DCU』に近いテイストだが、『TOKYO MER』のほうがスケールは大きく感じた。第1話はトラック・バス衝突事故と工場爆発事故、第2話は夏祭り爆発事故、第3話は少女人質立てこもり事件、第4話はトンネル崩落事故など、どれもなかなかハードな大惨事。
『DCU』もダイビングシーンは凝っているし、目新しい。しかし個人的な感想かもしれないが、『TOKYO MER』の事故・事件現場のダイナミックさに比べると迫力に欠ける印象がある。
特に先週放送の『DCU』第4話は陸上での捜査ばかり。一応わずかながら海に潜っての捜索はあったものの、醍醐味のはずの水中活躍を見せるシーンはほぼナシだったため、画的に『TOKYO MER』に負けていると思う。
■小栗旬主演『日本沈没―希望のひと―』と比較
昨年10月期は『日本沈没―希望のひと―』。地殻変動により日本が沈没してしまうという未曽有の危機から、国民を守るために尽力する環境省のエリート官僚・天海(小栗旬)を描いた話題作。
登場人物たちの危機感が薄かったり対応がトンチンカンだったり、ビル崩壊や道路の地割れといったCGが陳腐だったりとツッコミどころが多く、SNSではリアリティに欠けるとの声があふれた。
そのため、ツッコミを入れて楽しむ “ネタドラマ” として視聴していた方も少なくないだろう。実際、全話の世帯平均視聴率が15.8%と、昨年の「日曜劇場」4作品のなかでトップだった。
『DCU』は『日本沈没』ほどネットでイジられることはなく、優等生な良作といった雰囲気。だが、『日本沈没』はよくも悪くも多くの話題を振りまいたため、ネット上のお祭り感が強くなり、高視聴率につながったのではないか。
――『DCU』は先週放送までの4話ぶんの世帯平均視聴率は15.3%なので、このままだと『日本沈没』に及ばないかもしれない。今夜放送の第5話以降、作品の個性をもっと尖らせて、右肩上がりの視聴率になっていくことを期待したい。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中
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