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『ファイトソング』清原果耶の耳は聞こえなくなるのか…ラストが読めない秀逸な脚本
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.03.01 11:00 最終更新日:2022.03.01 11:00
物語が後半戦に入り、『ファイトソング』(TBS系)というタイトルの意味が深まってきている……。
昨年、朝ドラ『おかえりモネ』(NHK)の主演で脚光を浴びた清原果耶が、民放ドラマ初主演している『ファイトソング』。
世帯平均視聴率は第1話から先週放送の第7話まで9.2%、8.1%、8.2%、7.7%、7.7%、6.5%、7.8%(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)と推移しており、初速からやや勢いを失っているが、大崩れもしていない。
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児童養護施設で育った花枝(清原)は、空手の日本代表を目指していたが、交通事故で夢を断たれ、無気力に生きていた。
そんな花枝が現役当時、試合前に必ず聴いていた勝負曲を作った一発屋ミュージシャン・芦田(間宮祥太朗)と出会い、芦田がいい曲を作れるように、期間限定の恋人になるという物語。
ただ、花枝は事故に遭ったときの検査で、両耳に聴神経腫瘍があると判明。手術をしなければ生死にかかわることもあるが、手術の結果、耳が聞こえなくなってしまう可能性が高いという。事故と病に人生を大きく揺さぶられる悲劇のヒロインとなっている。
第7話では、母親代わりだった児童養護施設の施設長・直美(稲森いずみ)や幼馴染みの慎吾(Sexy Zone・菊池風磨)らに、手術で耳が聞こえなくなる可能性を打ち明けた花枝。
しかし、芦田との恋人期間は手術前までのため、芦田には秘密にするつもりのようだ。
■聴覚障害を扱いながらも新たな切り口とテーマを提示
主人公やその相手役が、難病におかされていたり障害を抱えていたりする設定のラブストーリー自体は珍しくない。
聴覚障害者の恋愛を描いたドラマに絞っても、『愛していると言ってくれ』(1995年/TBS系)や『星の金貨』シリーズ(1995年~/日本テレビ系)といった名作がある。
本作の脚本家である大御所・岡田惠和も、1997年から2001年までスペシャルドラマシリーズとして放送された『君の手がささやいている』(テレビ朝日系)で、聴覚障害を持つヒロインを描いていた。
だが、『愛していると言ってくれ』で豊川悦司が演じた主人公は幼少期から聴覚障害があり、『星の金貨』で酒井法子が、『君の手がささやいている』で菅野美穂が演じたヒロインは先天性の聴覚障害があったため、要するにドラマスタート時点から耳が聞こえない状態だった。
『ファイトソング』は、主人公が今後聴覚障害者になるかもしれないという展開のため、過去の名作の焼き直し感はなく、切り口を変えて新たなテーマを提示できていると言えるだろう。
花枝の手術日が近づいてきており、同時に恋人期限が迫ってきた花枝と芦田の恋の行方も気になるところだが、手術を経て花枝の耳が聞こえなくなってしまうかどうかが、物語の大きな焦点だ。
芦田は再起をかけて名曲を生み出そうともがいているが、もし曲が完成しても、そのときに花枝が聴力を失っていることもありえる。せっかく誕生した曲を花枝は一生聴くことができないかもしれないのである。
花枝に感情移入している視聴者は、手術を経ても聴力を失わずにすむ展開を望んでいるだろうが、序盤から後半まで引っ張ってきているため、花枝は聴覚障害者になってしまう可能性も高いだろう。
さすがに “愛の力で聴力を失わずにすんだ” なんて強引な奇跡は起きないだろうから、花枝の聴力が失われるのかどうかによって、終盤の物語は大きく変わってくるはずだ。
恋愛ドラマには、どうせ最後はこの2人がひっついてハッピーエンドだろうと予想できてしまう作品も多いが、『ファイトソング』は、残り数話となった今でも、どんな終わらせ方になるのか、なかなか読めない。
脚本担当の岡田は『南くんの恋人』(1994年/テレビ朝日系)、『若者のすべて』(1994年/フジテレビ系)、『ビーチボーイズ』(1997年/フジテレビ系)といった民放の名作や、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』(2001年)、『おひさま』(2011年)、『ひよっこ』(2017年)も手掛けている名手。
今夜放送の第8話では、“恋人期間の期限日=手術直前” まで描かれるようだが、ラストに向けてどのようなストーリーになっていくのか、大御所脚本家の手腕を見せていただこう。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中
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