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ナイツ、青空球児・好児が語る「漫才協会」の歴史と魅力…会長・球児が「入りたくなかった」と語ったワケ

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.03.04 06:00FLASH編集部

ナイツ、青空球児・好児が語る「漫才協会」の歴史と魅力…会長・球児が「入りたくなかった」と語ったワケ

塙宣之(左)は漫才協会の副会長も務める

 

Netflix」の大ヒット映画『浅草キッド』の舞台であるストリップ劇場フランス座。現在の名称は浅草フランス座演芸場 東洋館で、都内で唯一、落語以外の漫才やコント、ものまねなどが披露される「いろもの寄席」だ。

 

 ここで、毎月1日から19日まで興行しているのが「一般社団法人 漫才協会」だ。最近では2021年のM-1王者の錦鯉も加入、3月からは人気歌謡グループ「純烈」も特別出演するなど注目を集め、お笑い界で急速に存在感を増している。漫才協会とはいったい、どんな組織なのか。

 

 

「ルーツは戦前にあり、昭和30年に『漫才研究会』が結成され、初代会長にリーガル万吉が就任しました。1998年に、内海桂子師匠が5代目会長に就任したころから現体制になり、2005年に文部科学省の許可を受けて社団法人漫才協会に改称。今は漫才公演の開催や漫才師の育成、広報を目的とする一般社団法人です」(漫才協会事務局・空今日子さん)

 

 漫才協会はいわゆる芸能事務所ではない。芸人はコンビで入会金3万円(1人1万5000円)を払って協会に加盟し、年会費1万円で東洋館でおこなわれる寄席に出演する。

 

「一応、新人は音響や照明、めくり(出演者名が書かれた舞台上の演目台の札)などの雑用がありますが、協会のスカウトで入った芸人は、雑用も入会金も免除です」(同前)

 

 上は80代から下は10代(最年少は完熟フレッシュの17歳、池田レイラ)まで、出演者の顔ぶれも多彩だ。

 

「若手の育成も大事ですし、一般社団法人ですから儲けは重視していません。若手だけでなく、高齢の師匠でも舞台に上がりやすいようにしています。いくつになっても、芸人でいてほしいので」(同前)

 

 東洋館にも、かつては根強い徒弟制度があったという。

 

「最初は、俺たち入りたくなかったんだよ」というのは、現在6代目会長を務める青空球児・好児の球児(80)。

 

「師匠のコロムビア・トップから入れって言われたんだけど、嫌な先輩が多いの知ってたからね(笑)。今はそういうことはないから、居心地はいいんじゃないかな。どこかの一門に入って弟子にならないといけないとか、そういう落語みたいなしきたりもなくなったしね。自由にやってくれればいい、芸人なんだから」と、会長自らが自由闊達。相方の好児(78)も「リーダー(球児)の言うとおり」とニコニコ顔だ。

 

 ただ最近は、師匠たちの訃報が続いている。

 

「去年は5人、今年ももう2人亡くなりました。リーダーも腰が悪くなってきちゃったけど、この年だから」と好児。すると球児が「だから、もう俺は会長を塙に譲りたいんだ、塙でいいよ」と、あっさり “引退” 宣言する。

 

 名指しされたナイツの塙宣之(43)に聞くと「いやいや、球児師匠には象徴としてもっといてもらわないと(笑)」と、あっさり拒否ーー。

 

 いまや漫才協会の幹部でもあるナイツの2人が協会に入ったのは2002年。塙が語る。

 

「当時は誰かの一門に所属することが条件だったので、マセキ芸能社の大先輩、内海桂子師匠の弟子として入会しました。以後、師匠方にはずっとお世話になってますから、みんな元気でいてほしいんです。まあ、好児師匠はめちゃめちゃ元気なんで(笑)、一度会長をやったほうがいいと思うんですけどね。

 

 僕がなると、ここから何十年やらなきゃいけないんだって感じなんで。だから60代、70代の師匠がやってくれるのがいちばんいい。ずっとそれをイジる構図が理想です。吉本新喜劇みたいに持ち回り座長とか……僕より10歳くらい上の宮田陽・昇の陽さんもいて、岸田(文雄)首相にも似てますし(笑)。内閣改造とか言って、記者会見を開けばいけると思うんですけど。僕は山際(大志郎)経済再生担当相ってことで」

 

「今のところ協会内では『球児師匠、いけるとこまでいってください』って空気ですから」と、相方の土屋伸之(43)。

 

 このご時世でも地道に興行を続け、東京の漫才文化を守り、育み続ける漫才協会。今後の方向性について、会長や副会長は懸命に考えている。

 

「俺の会長は、もう終わりだよ。塙でいいよ。でも言うこと聞かねえんだよなあ(笑)。彼はよく研究してるし、いろんなところで協会の名前出してくれるから、助かるよね。錦鯉も入ってきたし、今の協会はいい感じですよ」(球児)

 

「俺たち、昔は最初に解散するコンビっていわれてたのに、いちばん長くなっちゃった。宮田陽・昇くんたちや、コント山口君と竹田君の2人もいるし、土台はできたと思う。もう誰が会長をやってもいい。僕はやらないよ、PTA会長はやったけど(笑)」(好児)

 

「早く会長やめて舞台に立ちたいんだよ。もう体調もよくないし。コロナ明けにバーンといけるように、頑張るよ。大阪には負けたくねえ! 錦鯉が14年ぶりに吉本以外の芸人でM-1王者になったと聞いたときは、よくぞやったと胸がすく思いだったよ。東京漫才の力を協会からどんどん発信したいよね」(球児)

 

 一方のナイツ・塙。

 

「会長は先にコント山口君と竹田君の山口さんにやってもらって、名前に思いっ切り『コント』ってついてる人が漫才協会会長っていう展開を挟んでからですよ(笑)」

 

 バラバラに自由にやっているように見えて、じつは一枚岩。ゆるさもあるけど、妙に土台はしっかりしている。漫才協会には、古きよき演芸の香りが色濃く漂う。コロナ禍の閉塞を破るのは、東洋館で毎月おこなわれる「漫才大行進」だ。

 

( 週刊FLASH 2022年3月15日号 )

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