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【坂本冬美のモゴモゴモゴ】『居酒屋』アイラインの引き方を教えてくれた五木ひろし先輩と初デュエット
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.03.12 06:00 最終更新日:2022.03.12 06:00
声の出し方からマイクの持ち方、こぶしの回し方、着物の着方から髪の結い方、歩き方……。もう、何から何まで、いろんな方に、いろんな言葉と方法で、何度も何度も、噛んで含めるようにして教えていただきました。すみません、なにせ不器用なもので(笑)。
猪俣公章先生、二葉百合子先生、島倉千代子さん、由紀さおりさん、石川さゆりさん……お世話になった方は、両手両足の指を足しても全然足りません。
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でも、です。わたしにアイラインの引き方を教えてくださったのはただ一人。聞いて驚いてください。その方はなんと、五木ひろし先輩です。
あれは……デビュー5年めのことでした。その年の暮れに、大阪・新歌舞伎座で座長公演をやらせていただくことが決まって。その前に勉強してこい! と送り込まれたのが、五木ひろし先輩のお正月公演です。
ほんのちょい役でしたが、大スターというのはこういうものなのかと、一から十までおおいに勉強させていただきました。
■いつものように歌って、いつものように帰る
そう。アイラインの引き方を教えていただいたのも、このときです。
「いいか、冬美。アイラインっていうのは、こうやって引くんだぞ」
「こう……ですか?」
「うん。その感じ。冬美の目は俺に似ているからな」
…………。
念のために言っておきますが、これはネタじゃありません。本当の話ですからね。
その五木ひろし先輩と、初めてデュエットさせていただいたのが……1982年に “木の実ナナ&五木ひろし” の名義で発売された名曲中の名曲『居酒屋』でした。
ーー2017年にENKAのアルバムをリリースするにあたり、五木先輩に甘えさせていただいて……わたしサイドからお願いして実現したお話なのに、いざレコーディングでは、緊張で全身がカチコチです。
ところが。横にいる五木先輩は、いつもとおんなじで、緊張も張り詰めた感じも、気負いもない。ちょっと驚くほどの自然体です。
歌いだしても、 “どうだ!? いい声だろう?” とか、 “俺の声を聴かせてやる” といった邪な感じは微塵もない。ワンフレーズ、ワンフレーズ、丁寧に丁寧に歌っていらっしゃる。もう、さすが! としか言いようがありません。
お稽古と本番も同じ。舞台だろうが、テレビの生放送だろうが、『紅白歌合戦』の大トリだろうが、いつも一緒。何も変わらない。いつものままやってきて、いつものように歌って、いつものように帰るーー。もう、ただただ、お見事! です。
いまだ未熟者のわたしには、とても無理。五木先輩の領域には、とてもいけそうにありません。
ーーもしかしたら、五木先輩には、オンとオフのスイッチがないのかも!? あるとき疑問に思って、一度だけ伺ったことがあるんですが……。なんとお答えになったと思いますか?
数秒間、お考えになった後で、いつもよりちょっとだけ目を細めて、「あるよ」というひと言で、あっさりと片づけられてしまいました。
漏れ聞いた噂では、ご自宅でワンちゃんと過ごされているとき限定で、オフの顔をお見せになるらしいんですが……。見たいような、絶対に見てはいけないような……モゴモゴモゴ。五木先輩、今後とも、坂本冬美をよろしくお願いします!
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身 『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』、そして『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、ファン投票によって選曲された『坂本冬美35th Covers Best』と、メモリアルイヤーの締めくくりに『夜桜お七』初のアナログ盤が発売中!
写真・中村功
構成・工藤晋