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清原果耶『ファイトソング』主要キャラ3人の “切なさ” が交錯…淡々と描いた演出に感嘆

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.03.15 11:00FLASH編集部

清原果耶『ファイトソング』主要キャラ3人の “切なさ” が交錯…淡々と描いた演出に感嘆

 

 今夜、最終回を迎える清原果耶主演の『ファイトソング』(TBS系)。先週放送の第9話では、主要キャラ3人の切なさが交錯する展開だった。

 

 児童養護施設で育った花枝(清原)は空手の日本代表を目指していたが、交通事故で夢を断たれ、無気力に生きていた。そんな花枝が、現役当時、試合前に必ず聴いていた勝負曲「スタートライン」を作った一発屋ミュージシャン・芦田(間宮祥太朗)と出会い、芦田がいい曲を作れるように期間限定の恋人になるという物語。

 

 

 ただ、花枝は事故に遭ったときに検査した結果、両耳に手術しなければ生死にかかわる聴神経腫瘍があると判明。さらに手術が成功しても、耳は聞こえなくなってしまう可能性が高いという。

 

 幼馴染みで花枝に片想いする慎吾(Sexy Zone・菊池風磨)らには、手術で耳が聞こえなくなるかもしれないと伝えた花枝だが、芦田との恋人期間は手術前日までだったため、耳のことは伝えずそのまま別れた2人。

 

 先々週放送の第8話のラストで手術を受け、先週放送の第9話は時間がジャンプして2年後に。花枝は元気に登場するが、やはり耳は聞こえなくなっていて……という展開だった。

 

■自分がモデルとなった「ファイトソング」を聴けない花枝

 

 それぞれの切なさが交錯した第9話。

 

 冒頭で花枝は鼻歌まじりにランニングしていたが、その鼻歌は「スタートライン」だった。彼女が人生で唯一、ヘビロテして聴きまくっていた曲なので、その時点では特に違和感のないシーン。

 

 しかし、次のシーンで芦田の自室が映り、2年前(第8話と第9話の間の時間)に芦田が作った「ファイトソング」という楽曲が、GOLD DISCを受賞した盾が飾られているのだ。

 

「スタートライン」の鼻歌と「ファイトソング」の記念盾。さりげなく連続したシーンで挿入されたが、これが狂おしく切ない。

 

 芦田は花枝をモデルにして「ファイトソング」という名曲を生み出し、人気ミュージシャンに返り咲いたが、花枝の鼻歌は「スタートライン」のままでアップデートされていない。

 

 つまり、2人の恋の結晶とも言える「ファイトソング」を、花枝はその存在は知っていても、聴くことができないことが示唆されたのだ。

 

 その悲劇性を仰々しくアピールされたら興覚めしていたかもしれないが、なんとも無情な現実を淡々と描いた演出は、個人的に非常に好みだったし、思わず感嘆の声を上げるほどだった。

 

■「俺の恋人になってください」の言葉を飛ばした慎吾

 

 一方、慎吾はとうとう花枝にガチ告白することを決意。今までことあるごとに軽い調子で愛をアピールしていたが、チャラい言い回しだったため、花枝は慎吾の真剣な恋心に気づかないままだった。

 

 花枝は読唇術である程度のしゃべり言葉は理解できるが、正確に気持ちを伝えるため、慎吾はスケッチブックを用意。何枚かに分けて「俺は、ずっとお前が好きだ」「女の子として好きだ」などと書き、告白の言葉を伝えていく。

 

 花枝は慎吾の気持ちが冗談ではないと理解し、「ごめんなさいって言うしかないじゃん」と涙。その返答を聞いた慎吾は、用意していた「俺の恋人になってください」と書いたページは花枝には見せずに飛ばし、「これからも変わらずよろしくな」というメッセージで締めくくるのだった。

 

 慎吾が見せた真剣な表情、そして花枝の言葉を聞いて「俺の恋人になってください」のページを飛ばす姿。普段はおちゃらけてばかりの彼だけに、切なさが倍増して感じられた。

 

■花枝の無情な運命を知り、愕然とする芦田

 

 別れて2年、芦田がとうとう花枝の耳が聴こえなくなったという事実を知ることになった。芦田がなにげなく花枝の名前をネット検索すると、耳が聴こえなくなったことを花枝自身が語るインタビュー動画が見つかったのだ。

 

 交際当時、花枝が「2カ月間、ときどきあの歌を聴かせてください。私の耳に」などと言っていたシーンがフラッシュバックする芦田。思い返すと、花枝が何度も「スタートライン」の曲を記憶しておこうとしていたことがわかり、花枝が隠していた秘密の正体が、“もうすぐ耳が聴こえなくなること” だったと気づくのである。

 

 別れる際、花枝が新曲を「聴けるのを楽しみにしてます」と言い淀んだ意味を理解し、動画を観ながら愕然とする芦田の表情もまた、切なすぎる……。2カ月間一緒に過ごしたにもかかわらず、彼女の抱えている運命を知らされずにいたことへの無力感はなかなか堪えただろう。

 

 ――本作の世帯平均視聴率は第1話から第9話まで9.2%、8.1%、8.2%、7.7%、7.7%、6.5%、7.8%、8.2%、7.6%(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、決して高い水準ではない。しかし、先週放送の第9話で3人それぞれの切なさが炸裂し、今夜放送の最終話にいい形でバトンを渡している。

 

 また、「スタートライン」は何度も劇中で流れているが、花枝の耳が聴こえなくなったためか、「ファイトソング」は第9話の劇中で流れていない。今夜の『ファイトソング』最終話でベールに包まれた「ファイトソング」が聴けるのかどうかも注目だ。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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