エンタメ・アイドル
菅田将暉『ミステリと言う勿れ』原作漫画から考察すれば続編が濃厚の可能性大
最終話の “その先” が、あるのかないのか。
菅田将暉主演の月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)は、今夜放送の第11話、来週放送の最終話の残すところあと2回。
単行本が10巻まで刊行され、累計発行部数1500万部を超える同名人気漫画の実写化。
【関連記事:菅田将暉『ミステリと言う勿れ』マンネリ作品ばかりのドラマ業界へのアンチテーゼ】
世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、第1話から先週放送の第10話まで13.6%、12.7%、13.2%、13.3%、10.0%、10.2%、12.3%、10.6%、11.6%、12.0%と推移。途中の北京五輪期間も二桁視聴率を死守する好調ぶりで、視聴者からの評価も上々のため、記録にも記憶にも残るヒット作と言えるだろう。
このレベルのヒット作となれば、続編の噂が持ち上がるのは自然な流れ。『ミステリと言う勿れ』もご多分に漏れず、最終話を前にして続編の有無に注目が集まっている。
そこで、原作漫画と比較しながら、今夜放送の第11話の展開や、続編の可能性を考察したい。
■第10話が「episode final」、第11話が「episode.2.5」の謎
ちょっとややこしいのだが、先週放送の第10話が「episode final」と銘打たれており、今夜放送の第11話は「episode.2.5」となっている。これは第10話が劇中の時系列で言うと最もあとの話を描いたものであり、第11話と最終話(第12話)は時間をさかのぼり、「episode.2」から続く話になっているためだ。
ちなみに「episode.2.5」という表記は原作を踏襲したもの。原作では「episode.2」は単行本1巻・2巻に収録されているが、「episode.2.5」はそこから飛んで単行本6巻に収録されており、こちらでも時間をさかのぼって語られていた。
原作とドラマは一部の設定やストーリーが変わっているものの大筋は同じなので、ドラマ版の「episode.2」の概要をざっくり説明しておこう。
「episode.2」はバスジャック事件に整が巻き込まれてしまうのだが、その主犯である犬堂我路(永山瑛太)の目的は、妹・愛珠(白石麻衣)を殺したサイコキラーを見つけ出し復讐すること。整の推理で愛珠を手にかけたのはバス運転手だと解明され、最終的に我路が運転手を殺害して幕を下ろす。
しかし、愛珠の死にはまだ不可解な点が多く、「episode.2.5」は我路がその謎を解くために、新たに発生した猟奇連続殺人事件にかかわっていく展開である。
さて、ここで事件の顛末などのネタバレはせずに、原作の「episode.2.5」について簡単に説明しよう。
実はこのエピソードで主人公である整はほぼ登場せず、我路視点で描かれていく。そして、この「episode.2.5」でも愛珠の死の真相まではたどり着けていないのだ。
■ “弱い” エンディングは続編がありそうな気配ぷんぷん
原作を踏まえてドラマ第11話の考察をしていこう。
我路の一連の物語としては、原作の「episode.2.5」ではまだ通過点にすぎないが、ドラマ版でどうなるかが考察の大きなポイントになる。
まず考えられるのは、原作どおりの展開になること。だがそうすると、我路の物語としてはあまりに中途半端ですっきりしない結末となってしまう。
そのため原作から大幅改変して、謎や伏線などをすべて回収したうえで、きれいに終わらせる可能性はあるだろう。
実際、ドラマ第10話「episode final」は、整がほのかに恋心を抱くライカ(門脇麦)との別れまでを描き、ライカとの一連のエピソードをきちんと完結させている。
けれど、原作では「episode.9」となっており、整とライカの物語はまだ続行する形。
つまり、ドラマを独立したひとつの作品として考え、きれいな着地点となるように原作の結末から変えているのだ。
ドラマ第11話「episode.2.5」も、ドラマ第10話「episode final」のスタンスを汲むとしたら、原作を改変して我路の物語をきちんと完結させることになる。
……が、筆者の個人的な予想では、ドラマ第11話「episode.2.5」は原作どおり、愛珠の死の真相がわからぬままになるのではないかと考えている。
それは作中屈指の人気キャラ・我路の物語を、第11話でも最終話でも決着させずに、“引っ張る” ということ。そして “その先”――要するに、劇場版で描く算段なのではないか? という予想だ。
もしくは、まだ原作は連載中であり、今回のドラマでは原作のエピソードの半分も消化していないため、月9でシーズン2を放送するために引っ張るということもありえるだろう。
来週放送の最終話のエピソード選びにしても、続編を前提にしているように思えてしまう。
最終話は原作2巻に収録されている「つかの間のトレイン」というショートエピソードになるようだが、率直に言って、この話は物語全体のラストとしてはこじんまりしすぎているからだ。
『ミステリと言う勿れ』らしい話であるが、ダイナミックさは皆無でショッキングさも薄め。プライム帯で放送する人気ドラマのフィナーレを飾るという意味では “弱い” エピソードだ。そういった面から考えても、続編がありそうな気配はぷんぷんなのである。
いずれにしても、フジテレビはこれだけのヒット作をやすやすと手放したくはないはず。続編は喉から手が出るほど実現したいだろうから、今ごろ原作者の許諾や、菅田・永山といった主要キャストのスケジュール確保に、担当者が奔走しているかもしれない。
今夜放送の第11話と来週放送の最終話で、劇場版やシーズン2といった続編の余地がある終わり方となるかどうかも、要注目である。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中