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【坂本冬美のモゴモゴモゴ】『女は抱かれて鮎になる』堤幸彦監督の指名で向井理さんとご一緒したのは “神様からのプレゼント”
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.04.16 06:00 最終更新日:2022.04.16 06:00
いきなり、クイズです。
『金田一少年の事件簿』『トリック』『20世紀少年』『BECK』『ファーストラヴ』など、数え切れないほど多くの作品で監督を務め、AKB48やラストアイドルなどのミュージック・ビデオの演出も手がけている、日本の映画界を牽引する監督といえば?
そう! 堤幸彦監督です。
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その堤監督から、ぜひ、ぜひ(とまで仰っていただいたかどうかは不明ですが)と、ご指名をいただいて歌ったのが、2016年に放送された向井理さん主演のドラマ『神の舌を持つ男』(TBS系)の主題歌です。
堤幸彦監督・ご指名・連ドラ・主題歌・向井理さん――。心ときめくキラーワードがこれだけずらりと並ぶなんていうことは滅多にあるものじゃありません。棚からぼた餅……じゃなかった、神様からのプレゼント。盆と正月、ついでにGWとクリスマスが一列になって行進してきたような気分でした。
■顔のシワが何本か増えるほど悩みました
詞を書いてくださったのは、『夜叉海峡』以来、16年ぶりとなる荒木とよひさ先生。作曲は弦哲也先生で、曲のタイトルは……『女は抱かれて鮎になる』。いやはや、なんともすごいタイトルです。
歌詞とメロディラインはめちゃくちゃ過激ではないけど、でも、あれっ!? どこかで聞いたような……という古い感じがまったくない。しかも、これまで歌ってきたどの歌とも違っていて。ひと言で言うと、すごくおもしろい歌です。
そして、そして、皆さん、驚いてください。カップリングとして歌ったのが「いいちこ」のCMソングにもなった、鬼龍院翔さん作詞・作曲によるゴールデンボンバーさんの『片想いでいい』です。
正直、この曲を歌うことについては、ものすごく悩みました。顔のシワが何本か増えるほど考えました。
歌いたい。でも、構成が難解すぎて、メロディがうまく覚えられない。
それでも、歌ってみたい。だけど、どう頑張っても、1音転調後の高音が出せない……。
――もう、無理ッ!
何度も、何度も、諦めかけました。でも、だけど、しかし――。考えれば、考えるほど、悔しくなってきて。
無理をせずに、自分ができることだけをやっていれば、それほど頑張らなくてもいい。幸せなことに、今のわたしは、これまでのキャリアでなんとかやっていけると思うんですよ。だったら、無理にやらなくても……。
そう思う自分にめちゃくちゃ腹が立ってきて。挑戦しないで、放り投げてしまう? それでいいのか、坂本冬美!? と、しつこいくらいに曲を聴き返しながら自問自答を繰り返して。
最後に思いついたのが、1音の転調を半音にできないかなということでした。だったら、頑張れるかもしれないぞと。
ダメと言われたら諦めるしかないし、今度こそ本当に、きっぱりと、すっぱりと諦めるつもりでお願いしてみると、鬼龍院さんから返ってきた返事は――。
「大丈夫ですよ。いかようにも変えてください」という、なんとも太っ腹なお言葉で。鬼龍院さん、その節は無理なお願いを聞いていただき、本当にありがとうございました!
これだけ長い間歌ってきても、心揺さぶられる歌にめぐり会える機会は、それほど多くありません。
挑戦した結果、やっぱり失敗だった……という歌もあります。でも、頑張ればできそうだったら、やっぱり挑戦したい。これからも、その気持ちは変わりません。
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身 『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』、そして最新シングル『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、ファン投票によって選曲された『坂本冬美35th Covers Best』と、メモリアルイヤーの締めくくりに『夜桜お七』初のアナログ盤が発売中!
写真・中村功
構成・工藤晋