ラストアイドルの活動を通して自身が成長したことを聞くと、阿部は少し考えて「人間になれた、かな」と答えた。
「私、昔からよく『ロボットみたい』って言われるんです。人見知りだし、ラスアイでは最初にバトルをしていたこともあって、周囲に心を開かないようにしていたんです。
でも、活動をしているうちに振り付けの先生に『ちゃんと自分の意思を人に伝えて』『メンバーともっと関わった方がいい』って言われて。自分でも改善した方がいいとは感じていたので、そこから仲間意識を持つようになりました。
最近ではファンの人から『明るくなったね』って言われますし、メンバーからは『人間になったね』って言われて(笑)。そういう面では、いい方向に成長できたのかなって思いますね」
グループの活動終了後、彼女には本格的に挑戦してみたいことがある。
「コロナ禍で始めたんですけど、作詞や作曲、絵を描いたりする創作活動が好きなので、それに時間を割きたいって思います。作詞や作曲をやりたいとは思っていたんですが、やり方もわからないですし、いろいろ大変そうだなって敬遠していて。
コロナ禍ですごく時間ができたことで、マネージャーさんに『やりたい!』と気持ちを伝えたらいろいろ教えてくれて。そこから始めるようになりました。
楽器が一切弾けないので、パソコンのソフトに感覚でコードを打ち込むっていう地道な方法でやっています。
私は曲と歌詞が同時に出てくるタイプみたいで、不意に曲とフレーズが降りてくるというか……お風呂に入っているときに思いついたりするので、忘れないように携帯に録音して聞き直したりもします」
阿部はラストライブ前の5月17日に20歳の誕生日を迎える。
「20歳になったら深みのある人になりたいです(笑)。1年半くらい前から小説を読むのが趣味になったんですけど、小説に登場するような『こういう人生歩んでいきたいな』とか『この人の言うことは信用できるな』と思われる人になりたいです。
『自転しながら公転する』っていう作品のなかで、“人間はちょっとくらい不幸なほうがいい、幸せを求めすぎたらちょっとの不幸も許せなくなる” って言葉を読んだときに、確かにそうだなと思って。
幸せって追い求めすぎると、追い求めている時点で幸せにはなれないのかなって。ちょっとくらい不幸で、失敗してもいいって思えたほうが楽に生きられる、そういうモチベーションで生きていきたいなって思います。
ラストアイドルって応援してくださっているファンの方に、苦しい姿や泣いている姿をたくさん見せて、同じような気持ちにさせてしまったと思うんです。
ラストライブで応援してくださっている方に感謝を伝えたい。その結果、私についていきたいと思ってもらえるように頑張りたいです」
あべななみ
2002年5月17日生まれ 山形県出身 2017年、ラストアイドルの1期生として加入。「バンドワゴン」ほか7曲でセンターを務める。グループでの活動のほかファッション誌「bis」の専属モデルを務めるなど活躍
写真・木村哲夫
( SmartFLASH )