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【坂本冬美のモゴモゴモゴ】『ふたり咲き』録音で「もっとコブシを回して!」叱咤激励が悔しくて歯がゆくて
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.04.23 06:00 最終更新日:2022.04.23 06:00
演歌歌手になるためには、もうこれが最後のチャンス……。
ーーこの歌にかけるしかない。
そんな強い気持ちで臨んだNHKの『勝ち抜き歌謡天国』で、わたしが勝負曲に選んだのは、憧れてやまない石川さゆりさんが歌われた『波止場しぐれ』でした。
作詞は、美空ひばり大先輩の『真赤な太陽』を手がけられた吉岡治先生。作曲は、ご自身で作られた『浪花恋しぐれ』を都はるみ大先輩とデュエットされた岡千秋先生です。
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予選を勝ち抜いた5人が、審査員の先生たちとペアを組んで歌う『勝ち抜き歌謡天国』に、岡先生も審査員のお一人としていらしていて。
ーー神様、お願い……岡先生とペアを組ませて。
可憐な(?)少女だったわたしがそう思ったのは、まぁ、自然の流れというものです。
ところが、どっこい。天の配剤か、神様のいたずらか、猪俣(公章)先生とペアを組むことになり、見事優勝。岡先生、猪俣先生とは、不思議なご縁に導かれているような気がします。
その岡先生に、初めてシングル曲として書いていただいたのが、この『ふたり咲き』(1998年発売)です。
何事にも豪快な猪俣先生とは違い、岡先生はご自身でも歌われるので、こと歌に関しては、とても厳しい先生です。
ド演歌でデビューしたくせに、ド演歌が苦手なわたしと、正真正銘、混じりっけのない王道ド演歌を作り続けていらっしゃる岡先生……。もう、それだけで、いつものレコーディングより、ハードルが2段も3段も上がります。
「もっと、コブシを回して」
先生の叱咤激励に応えられない自分に、悔しさと歯がゆさを感じてしまいます。こんなわたしを気遣い、酔っ払って、ちょいちょい電話をくださる岡先生には、感謝の気持ちしかありません。
うん!? あれっ……そういえば……。以前、『陽は昇る』で、岡先生と飲み屋のおねぇさんを交えたエピソードを紹介してから、一度も電話が……ないような……。
もしかして、「冬美ちゃんに迷惑だからもう電話はやめなさい」と、奥さんに怒られたとか!?(笑)。
先生、大丈夫です。先生には、 “ここぞ!” というところで、また曲を書いていただきたいと密かに思っていますので、これからも、よろしくお願いします。たまには電話もくださいね。
■キョンキョンの曲にインスパイアされて……
そして、そして、この『ふたり咲き』のカップリングとして入れていただいたのが、遊なおこ先生作詞、さくらなな作曲の『暮六ツ小町』。
もう、ご存じですよね。よ・ざ・く・ら・お・し・ち……。「さくら」と「なな」で、さくらなな。そうです、まわりから「けっこう、いいんじゃないの」とおだてられ、その気になって作ってしまった、わたしが曲を書いた作品です。
いやはや、まったく……お恥ずかしい限りです。
今だから、思い切ってカミングアウトしちゃいますけど、ちょこっとだけ、ほんのちょこっとだけ、KYON2……小泉今日子さんが歌った『渚のはいから人魚』のズキンドキンのところをヒントにさせていただいて。
ーーえ~~~~っ、それって、もしかして?
あら、いやだ。人聞きの悪い……パクったわけじゃありませんよ。パクったわけじゃ。インスパイアされたと……モゴモゴモゴ。言葉もリズムも違うんですけど、思い浮かんだイメージが、ズキンドキンだったというお話でした。
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身 『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』、そして最新シングル『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、ファン投票によって選曲された『坂本冬美35th Covers Best』と、メモリアルイヤーの締めくくりに『夜桜お七』初のアナログ盤が発売中!
写真・中村功
構成・工藤晋