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「動物の悲しい話は見たくない」番組内容に表れ始めた“動物版感動ポルノ”批判に賛否両論の声
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.06.04 06:00 最終更新日:2022.06.04 06:00
絶え間なく番組の入れ替えが起こるテレビ業界。その中で、クイズ番組とともに隆盛を極めているのが“動物系バラエティ”だ。
『嗚呼!! みんなの動物園』(日本テレビ系)、『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)といった、長年続いている番組に加えて、特番でも多く放送されている。6月4日には『みんなの動物園』の裏で『世界アニマル&キッズ動画スペシャル』(テレビ朝日系)が放送される、という事態まで起きている。
6月5日には『激レア動物タイムズ』(テレビ東京系)が放送され、6月9日の『ウラ撮れちゃいました』(テレビ朝日系)でも、「どうぶつ編」と題して、可愛い動物の特集が予定されている。
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ここまで同じような番組が増加している理由について、テレビ局関係者が話す。
「もともと『動物ジャンルは数字が取れる』という認識もありましたが、コロナ禍で街ロケなどができなくなった代わりに、動物園など施設の協力を得て映像を作ることが増えてきたのも、関係しているでしょう。
さらに、番組内で『可愛い動物映像』のようなコーナーをよく見ると思いますが、それらの多くはインターネットのユーザーから動画を借りて構成することが多いのです。そうすると、予算面もだいぶ抑えることができます」
だが、動物系バラエティには昔と比べて、変化している部分もあるという。
「ひと昔前では『どうぶつ奇想天外!』(TBS系)に代表されるように、野生動物の生態にしっかりと向き合った番組も多かったです。また、評価が高かった『盲導犬特集』など、人間と動物の関係について考えさせられる内容もありました。しかし、昨今のコンテンツは“おもしろ動物系”や“衝撃映像系”が中心です。
2022年4月から放送されている『サンドウィッチマンのどうぶつ園飼育員さんプレゼン合戦 ZOO-1グランプリ』(CBC制作、TBS系)も、その動物や行動の珍しさに重きをおいた作りになっています。
『動物の悲しい話は観たくない』という、一部の視聴者の声があるんです。こうしたことも“気軽に観られる動物番組”の傾向を強めています」(前出・テレビ局関係者)
動物の保護活動や、その後の様子を伝えることは社会的に大きな意義がある。また、野生動物の弱肉強食の世界を映すことも教養として重要な役割を持つはずだ。
しかし、2016年にNHK Eテレ『バリバラ~障害者情報バラエティー~』が『24時間テレビ』(日本テレビ系)を取り上げて“感動ポルノ”と批判したように、動物番組の感動を誘うような番組演出を“動物版感動ポルノ”と、とらえてしまう人も多数いるようだ。
インターネット上にもそうした意見はよく見られる。
《なんかね、動物を感動お涙頂戴の道具としか思ってないみたいなテレビ番組嫌いなんすわ。》
《これから動物虐待の話出ますよってお知らせしてくれないかな。そしたら見ないしそもそも録画しないんだけど。良い話にまとめようとしてるけどそもそもかわいそうな話聞きたくない。》
《動物感動ポルノ番組ついてるだけでウンザリするくらい嫌い 1時間猫カフェの店内定点観察映像だけ流しててほしい》
一方で、長年放送されている『嗚呼!! みんなの動物園』、『坂上どうぶつ王国』はしばしば、保護活動やレスキュー活動にスポットを当てた内容を放送している。批判だけでなく、こうした意義のある内容を積極的に扱う動物番組を、支持する声も多いのだ。
《サンシャイン池崎さんの保護猫コーナー 先住猫と保護猫と池崎さんとの関係の築き方を観るのが本当に面白い 猫達の成長見るのも面白いし、生態知るのにも勉強になる》
《象がゴミ漁ってる映像はショックやわ。でも、可愛い楽しい動物番組ばかりの中、いろいろ考えさせられる番組やな。》
《時代とともに動物に対する受け止め方は変化していて、今は動物番組に対する視線がとても厳しいんだよね。保護犬保護猫企画は社会的意義があるけど、それメインの番組を土曜19時のファミリー層が受け入れるのは難しいと思うから、今のカタチがお茶の間に定着すればいいな》
いたずらに涙を誘うことを意識した番組は考えものだが、動物が「かわいい」「おもしろい」だけのものではないことも、また事実なのだ。
( SmartFLASH )