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上野樹里『持続可能な恋ですか?』タイトルの意味に大きくうなずくが…最終話前にモヤモヤ

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.06.21 11:00 最終更新日:2022.06.21 11:00

上野樹里『持続可能な恋ですか?』タイトルの意味に大きくうなずくが…最終話前にモヤモヤ

 

 ドラマのタイトルを初めて聞いたときは、昨今なにかと耳にする「SDGs」を安易にもじっただけかと思っていた。まさか作品名と物語がここまでリンクする恋愛ドラマになるとは想像していなかった。

 

 今夜最終話(第10話)が放送される上野樹里主演の『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系)。回を重ねるごとに恋愛の現実と奥深さをまざまざと視聴者に突き付けてくる作品だ。

 

 

 2年前に母を亡くした主人公・沢田杏花(上野)は、父・林太郎(松重豊)と2人暮らし。結婚願望の薄い娘がいつまでも結婚できなさそうなことを憂えた父の提案で、父娘そろって婚活を始めるのが本作の導入である。

 

 杏花のお相手役はバツイチのシングルファーザー・東村晴太(田中圭)と、18年ぶりに再会した幼馴染・不破颯(磯村勇斗)の2人で、いわゆる三角関係。先週放送の第9話まで観ると、本作がタイトルそのままに “持続可能な恋なのかどうか?” がテーマになっていることがわかるのだ。

 

■田中圭にはイライラ、磯村勇斗にはモヤモヤ……

 

 杏花と晴太は明らかに強く惹かれ合っており、交際するまでに発展した。

 

 けれど、ヨガインストラクターをしており、独立開業という目標のため仕事ファーストで生きる杏花と、小学2年生の息子をきちんと育てることに一生懸命な晴太では、プライオリティの違いが如実。なにかと障害が多く、その恋を持続するのは難しいと判断し、けっきょく晴太から振る形で破局している。

 

 晴太と杏花の間には確かにハードルが多かったため、恋がうまくいかなかったのは理解できるが、それを差し引いても晴太の煮え切らない態度にイライラしていたため、筆者は個人的に颯を応援していた。先週放送の第9話のラストで、ついに颯は杏花に結婚を申し込むのだが、実はこのシーンで、彼に対して「ん?」とモヤモヤしてしまった。

 

 海外生活が長く英語が堪能な颯は、仕事でマレーシア勤務になることが決まっており、「杏花ちゃん、結婚しよう。一緒にマレーシア行こう」とプロポーズ。そして杏花が仕事ファースト人間だと知っているので、「俺が杏花ちゃんの奥さんやるよ」「杏花ちゃんはなにも変わらず、ヨガして、笑っててくれたらそれでいい」などと告げる。

 

 一見すると杏花の生き様を最大限尊重しているかのように思える。しかも、都会のきれいな夜景をバックに主題歌まで流れ、非常にロマンチックな演出になっていた。要するに、作品として颯の言動を肯定するような見せ方だったのだ。

 

 しかし、である。

 

 杏花が目標としているヨガ教室の開業は人気商売なのだから、これまでインストラクターとして培ってきた実績と、彼女についてきてくれる顧客がいてこそ成功するビジネスだと思う。もちろん、オンラインでヨガ教室を開講する道もあるだろうが、日本を離れ異国の地に行くというのはかなりアドバンテージを失うことになるのでは?

 

 仕事ファーストな杏花に「俺が奥さんやる」「なにも変わらなくていい」なんて言うなら、颯がマレーシア行きをあきらめるのが筋なのではないだろうか。

 

■ファンが納得する “持続可能な恋” を描けるか?

 

“持続可能な恋なのかどうか?” は、“生涯のパートナーとなる結婚相手としてふさわしいかどうか?” と言い換えられる。

 

 ごくごく当たり前のことだろ……と感じた方は、間違っていない。そのとおり。学生同士ならいざ知らず、大人同士が恋愛するのであれば、結婚相手としてふさわしいかどうかを考えるのは当然だ。

 

 しかし、その “当たり前” を真剣に掘り下げて考えたことがある人ならば、恋愛がいかに恋愛感情だけで持続させるのが難しいかを知っているはず。残念ながら、往々にして、大人の恋愛は恋愛感情だけでは成立しない。惚れた腫れたの恋心だけで押しとおせる単純な話じゃないんだと、視聴者に突き付けるドラマとなっているのである。

 

 杏花視点で見ると、晴太との恋も颯との恋も、これまで彼女が貫きとおしてきた自分らしさやポリシーを変えず、持続させていくのは難しそうだ。

 

 お互いが強烈に惹かれ合っている場合、本来なら恋愛感情では解決できないような壁も乗り越えられるケースもあるにはある。……が、そんな精神論のパワープレイで問題がクリアになるのなら、わざわざ『持続可能な恋ですか?』というタイトルをつけた意味がないように感じる。

 

 いずれにしても、杏花が自分の目標などを捨てずに “持続可能な恋” を実現しないと、このドラマのフィナーレとしておさまりが悪いのは確かだ。

 

――本作の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話から第9話まで8.9%、7.6%、7.2%、7.7%、7.5%、7.4%、7.7%、7.5%、8.0%と推移している。高水準ではないが固定ファンがしっかりついていることがわかるだろう。

 

 今夜放送の最終話では、そんなファンたちが納得する “持続可能な恋” を提示できるかどうかに注目したい。

 

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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