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中川翔子、誹謗中傷のない「まともな世界」熱望…侮辱罪の厳罰化で “可否の一線” はどこに

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.07.07 21:50FLASH編集部

中川翔子、誹謗中傷のない「まともな世界」熱望…侮辱罪の厳罰化で “可否の一線” はどこに

 

 7月6日、タレントの中川翔子が自身のTwitterを更新。インターネット上の誹謗中傷対策で「侮辱罪」が厳罰化されることへの思いをづづった。

 

《侮辱罪厳罰化、7日から。誹謗中傷も、警察に相談するためにスクショしておきましょう。ずっとネット黎明期から無法地帯だったのが少しずつ動いた感じでしょうか。リアルと同じようにマナーを守って楽しむまともな世界になってゆきますように》

 

 

 7月7日、「侮辱罪」の法定刑を引き上げ、厳罰化する改正刑法が施行された。これまで「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」とされていた法定刑に「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を追加。公訴時効は1年から3年に延長となった。

 

 そこで侮辱罪として摘発される一線がどこにあるのか。ネット上の誹謗中傷に詳しい吉峯耕平弁護士に話を聞いた。

 

ーー侮辱罪として摘発されるか否かの一線は、どのあたりにあるのでしょうか?

 

「単なる悪口では、通常は侮辱罪には当たりません。例えば、『きちがい』『乞食』などの強い表現が要注意で、しかも繰り返した場合は、侮辱罪に当たることが多いでしょう。

 

 侮辱についての民事の裁判例がたくさんありますが、侮辱と認定されるのは強い表現を繰り返していることが多い。

 

 これに対し、繰り返していない事例だと、侮辱ではないという判断がなされることがあります。刑事については、法務省のサイトに、過去に侮辱罪で摘発された事例集(https://www.moj.go.jp/content/001375709.pdf)が出ているので、まずはこれが参考になると思います」

 

ーー侮辱罪が厳罰化されても、過去に侮辱罪として摘発された事例と判断基準は変わらないと考えていいのでしょうか?

 

「侮辱罪厳罰化で、実際に摘発されるケースが『絞られる』(ハードルが高くなる)可能性はあると思います。ただ、逆に警察に目をつけられたら、なんでも摘発されるということになるかもしれません。

 

 まず、『絞られる』可能性ですが、いままで侮辱罪は『拘留・科料』という非常に軽い罪だったので、この程度でも摘発していいという意識があったと思うんです。

 

 これが『1年以下の懲役・禁固または30万円以下の罰金』として本格的な犯罪になったわけで、略式命令による罰金ではなく、正式な裁判になることも視野に入ってくる。

 

 裁判所の判断が入るので、摘発も慎重にやろうという意識が働く可能性はありえます。侮辱罪が厳罰化されたことで、摘発のハードルが上がる可能性ですね」

 

ーー逆に恣意的な摘発の可能性は、どのようなものでしょうか?

 

「もともと侮辱罪の判断基準はあいまいで、警察の胸先三寸といってもいいのです。

 

 民事の裁判例では、『きちがい』『乞食』と1回言った場合、侮辱ではないと判断されたものがあります。でも、そのような事例が侮辱罪で刑事事件として起訴されたら、裁判所は無罪判決を出さないと思います。日本の裁判所は、よっぽどのことがないと無罪判決は出しませんから。

 

 だから、どんな事例だったらセーフということは難しいんですよ。警察に目をつけられたら、なんでも摘発され、有罪になってしまうということです」

 

ーー10月1日には「改正プロバイダー責任制限法」が施行されます。誰が書き込んだか、情報開示の判断が早く出るようになるのでしょうか?

 

「これは民事事件の話ですね。方向性としては開示がしやすくなるように法改正がなされたのですが、実際に使いやすくなるかは、施行後に制度を運用してみないとわかりません。刑事事件としての侮辱罪とは別の話です。

 

 ただ、侮辱罪が厳罰されたことは話題になっていますから、民事でも『侮辱として開示請求してください』という話が増えるかもしれません」

 

ーーいまは参院選期間中で、「この書き込みは侮辱罪に当たる」などという書き込みも見受けられます。政治家を誹謗中傷することで摘発される可能性はあるのでしょうか?

 

「たとえば、『安倍は独裁者だ』『この政治家は無能だ』のように、政治家を批判する言葉は、表現の自由として許されるべきで、警察が介入するなんてとんでもないことです。

 

ーー『ブタ』『ハゲ』など身体的特徴を揶揄する言葉はどうでしょう。

 

「そりゃ褒められたことではありませんが、だからといって警察が犯罪として取り締まるべきとは私は思いません。ただ、100回しつこく書き込んだら、侮辱罪になってもいいかなと思います。

 

 法律は成立してしまいましたが、侮辱罪が『悪口禁止法』になってはいけないし、政府・警察が気に食わない人を弾圧する手段になってはいけないと考えています。

 

 だから、警察がどのように権限を行使していくか、監視していく必要がある。どうでもいいことを犯罪として摘発するべきではない、ということを主張していくべきです」

 

 誹謗中傷が問題なのは間違いない。ただ、それが権力の恣意的な行使とならないか、注視していく必要がありそうだ。

 

( SmartFLASH )

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