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柳沢慎吾 還暦でも目指すドラマとバラエティの二刀流…「これからもいい夢を見せてもらいたい」

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.07.10 11:00 最終更新日:2022.07.10 11:00

柳沢慎吾 還暦でも目指すドラマとバラエティの二刀流…「これからもいい夢を見せてもらいたい」

『ふぞろいの林檎たち』に出演していた21歳のころ

 

 そんな柳沢の俳優人生を変えたのが、大学生の実態を描いた『ふぞろいの林檎たち』(TBS)だ。三流大学に通う西寺実を演じた。

 

「とにかく演出家の鴨下信一さんが厳しく、僕をはじめ中井貴一も時任(三郎)さんもものすごく怒られていました。山田太一先生の脚本で、アドリブは絶対禁止のため、ひたすらお稽古をして臨むのですが、それでもうまくいかず。僕は日曜日に中島唱子ちゃんに電話して台詞合わせをしてもらっていました。彼女が一人で中井貴一になったり時任さんになったり……。今思うと、17歳だった彼女の貴重な休みを奪って本当に申し訳なかったけど、かなり助けられました」

 

 俳優として自信がなくなるなか、やり遂げられたのは同世代の仲間がいたからだった。

 

「何度も台詞をやり直しして、タイムリミットのギリギリで『しょうがない、OK』と言われたことがあるんですよ。そのときは、メイクを落としても何をしてもずっとその言葉が響いていて……。で、落ち込みながら楽屋に戻ったら自分の出番が終わって、帰っていたはずのみんなが『慎吾、メシ行こう』って誘ってくれて。道中の車の窓は、涙なのか雨なのかわからず濡れていましたね。

 

 そしてみんな『オレもよく言われているから気にするな』って励ましてくれて。もう毎日こんな感じ。中井貴一の家に行って復習と予習をしたり、時任さんの家に泊まって次の日撮影に行ったりと、本当に大学生みたいでした。今思うと、あの厳しさがよかったんですが、当時はなかなかキツいものがありました」

 

 リアルを追求する脚本家・山田太一氏の姿勢にも何度も驚かされたという。

 

「ある日楽屋で、家にボウリングシューズがいっぱいあるって話をしていたら、次の週の台本にそのことが書いてあって。いつの間にか聞いていたんだ! と驚きました。

 

 あと一度、収録中に訪れた山田先生に中井貴一が呼ばれ、『この “フフ” と “ふふふ” は意味が違うんですよ』とか言われたり。そんな高度な違いは僕らにはわからず、隣で見ていた時任さんが『オレにはさっぱりわからない』って。まぁ、今の僕もわかるかどうか微妙ですが(笑)。もうすべてがプロフェッショナルな現場でした」

 

 人気に火がつき、ドラマだけではなくバラエティ番組にも多数出演するように。

 

「20代半ばの連続テレビ小説『はね駒』(NHK)をしているときが、いちばんスケジュール的にキツかったかも。2、3時間寝られたらラッキーな感じで、どんどん俳優をやめたいと思うようになって……。

 

 そんなとき、『はね駒』でお母さん役をやっていた樹木希林さんに、『車で送ってくれない?』と言われたんですよ。

 

 で、運転しているときに、『この仕事やめようと思っているでしょ。でも忙しいのはあっという間に終わるから。今は与えられた仕事を最後までやり遂げなさい』って言われて。これはすごく嬉しかったです。終わりがみえなかったのが、いつか終わると断言してくれて。気持ちがラクになったのを覚えています」

 

 20代は忙しすぎて記憶がほとんどないという柳沢。しだいに空き箱を使った「ひとり警視庁24時」が話題になるなど、バラエティ番組の馴染みの顔になっていく。

 

「役者に比重を置いていたいという気持ちは常にあるんですが、ありがたいことにバラエティに呼ばれることも多くなって。同期のとんねるずやウッチャンナンチャンらと共演し、あらためていろんな人に出会うのは楽しいと思うようになりました。でも、そうなるとやっぱり芝居も恋しくなってくる。不思議なんですが、きっと僕は二刀流が向いているんですよ」

 

 そんな柳沢が時代劇に出演。『善人長屋』(NHK BSプレミアム・BS4K)で情報屋の半造を演じる。

 

「現場で年齢が上から2番めって言われて驚いちゃった。もうそんな年なんだって。今回は、真面目で格好いい役。いつもとは違う一面が見られると思います。

 

 なにより、時代劇に出られるのが幸せ。時間がかかっているぶん、いい映像になっているはず。ぜひ楽しんでほしいです」

 

 今年、還暦を迎えた柳沢。「20代、30代は悩みも多かったけど、ここにきて怖いものはなくなってきた」と言う。

 

「まだなんでもできるし、どんなこともやりたい。

 

 できることなら、僕が出会った昭和のスターや作り手さんたちみたいな骨太な人たちと仕事をしたいです。

 

 そして、常に感謝の気持ちを忘れずにいたい。これからもいい夢を見せてもらいたいです」

 

やなぎさわしんご
1962年3月6日生まれ 神奈川県出身 1978年に幼馴染みと組んだ “てっちゃんしんちゃん” で『ぎんざNOW!』(TBS)素人コメディアン道場の第19代チャンピオンに。1979年『3年B組金八先生』(TBS)で俳優デビュー。『ふぞろいの林檎たち』シリーズ(TBS)で俳優としての地位を確立。その後ドラマ、映画、バラエティ番組とジャンルを問わず活躍している。7月8日から『善人長屋』(NHK BSプレミアム・BS4K)に出演

 

【鰻 登三松】
住所/東京都中央区銀座3-13-2 登栄東銀座ビル 1F
営業時間/月~金曜11:00~21:00(L.O.20:30)、土曜11:00~16:00(L.O.15:30)
定休日/休日曜、祝日

 

写真・伊東武志
スタイリスト・西村ひさえ
ヘアメイク・宮田裕香子
衣装協力・Mitsumine/ミツミネ(Mitsumine 新宿店)

 

( 週刊FLASH 2022年7月19日号 )

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