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笑福亭鶴光 「マイクの向こうにおるリスナーの顔を浮かべて……」届いたハガキは1週間に1万通!

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.07.17 11:00FLASH編集部

笑福亭鶴光 「マイクの向こうにおるリスナーの顔を浮かべて……」届いたハガキは1週間に1万通!

 

「あるパーティで初めて生ホッピーを飲んだんです。そしたら『この世にこんなうまいもんがあるんかいな』と感激しまして。それからあちこち探したけどどこにもなくて、たまたまこの店の前を通りかかったら『ホッピー』と書いてある提灯が見えたんで入ったんですわ。そしたらあったんです。生ホッピー。かれこれ10年前のことです」

 

 ジョッキに入った生ホッピーを、「ほな、ちょうだいします」と嬉しそうに飲む笑福亭鶴光。「中(なか)」は麦焼酎だ。

 

「う~ん、うまい。なんぼでも飲めますな。ここはほかのお客さんがいい感じで僕を放っておいてくれますから気楽です。そんなことはありませんが、もし絡まれたら近くの伊勢ヶ濱部屋に若い衆を呼びに行ってもらいます。飲みすぎても安心。すぐそこが病院ですから」

 

 店内を笑いの渦に巻き込み、桜海老入り玉子焼きを頬張った。

 

■初舞台の新花月は恐ろしい場所だった

 

 小さいころはラジオをよく聴いた。流れてくる落語を自然に覚えた鶴光少年は高校1年生のとき、演芸番組『素人名人会』(MBS)に出演。「寄合酒」で「名人賞」を受賞した。賞金は、当時では破格の1万円。ズボンの高級仕立て券もついた。

 

 高校卒業後、「上方落語の四天王」の一人、六代目笑福亭松鶴の門を叩いた。このとき、後々まで語り継がれる、落語のネタのような逸話がある。鶴光は松鶴を直接訪問せず「弟子にするなら○、弟子にしないなら×で返事をください」と記した往復ハガキを郵送。前代未聞である。しかも「松福亭」と誤記する致命的ミス。返事が来ないので寄席を訪ねると、松鶴は「ナショナルの会社へ行って東芝と言うてるようなもんや」と激怒。だが入門は許された。

 

 初舞台は新世界の新花月。20歳だった。演目は「寄合酒」。これがウケなかった。

 

「新花月は恐ろしいところでした。お客さんは肉体労働の方が多くて、入れ替えがないから雨が降ると一日中おります。楽しみは落語より河内音頭や音楽ショー。僕が出ていくと『わかった、わかった。聴いたことにしといたる。もうええ』と落語をやらせてくれない」

 

 松鶴に相談すると「そら、お前が悪い」と言われた。さらに「心の中にお客さんをバカにする気持ちがあるからや」と戒められた。目から鱗が落ちた。高校時代に賞を獲得していたことで、どこか上から目線だった自分に気がついた。

 

「それからは『初舞台でございます。未熟者でございますが……』とやったら『おぉ、やれやれ』とお許しがいただけました」

 

( 週刊FLASH 2022年7月26日・8月2日合併号 )

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