エンタメ・アイドル
フリーアナ吉田照美「社会への違和感をすくい上げたい」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2017.05.06 06:00 最終更新日:2017.05.06 06:00
3月31日をもって『吉田照美 飛べ! サルバドール』が終了し、36年半も帯番組を担当してきた文化放送から卒業したフリーアナウンサーの吉田照美(66)。
安倍首相の似顔絵をゴジラの首にすげ替えた「晋ゴジラ」なる風刺画を描いたところ、ネットで話題になり、番組終了の理由にも憶測が飛び交った。
「文化放送が『総合的判断』と、公式発表していますからね。いちばん玉虫色で、モヤモヤ感はあります。僕がコスパの悪いしゃべり手になったというのもあるのかなと。最初の番組のときには、よもやこんなに長く続くとは思っていませんでしたから。昔は文化放送のサラリーマンでしたけど、いまは出入り業者。ひとつの区切りかなって思います。
4月からはFMでレギュラー番組を持ちますが、AM、FMということではなく、オリジナリティを生み出すことが勝負だと思っています」(吉田氏、以下同)
ラジオの世界に入って40年以上。マスメディアへの注目度が下がっていると叫ばれるが、どう考えるのだろう。
「テレビもラジオも一時の黄金時代を過ぎてしまって、いまはスマホの天下。極端な話、自分の意思で新聞を読まなくてもいいし、テレビを観なくてもいい。大きな転換期を迎えていると思います。
でも、ラジオの場合はツイッターとの親和性がすごくある。生放送を聴きながらツイートしてくれたり、密着度は昔より高くなっていると思う。ラジオは生身の人間がそこにいて、やり取りができる。生き残れるメディアだと思います」
看板番組を長年続けてきただけに、ラジオへの愛着はひとしおである。東日本大震災以降は、伝えることに対する思いが変わったという。
「あのとき、都合の悪いことは隠すんだということが明確にわかってしまったのが、僕にとっては本当に大きかった。日本人は特にお上意識があるから、お上がやっていることは間違いないみたいな、迷信や妄想は捨てたほうがいいんじゃないかと思った。
いまは誰もが閉塞感を感じていて、このままいったらどうなっちゃうの? って思っている人が多い。そんな人たちの社会への違和感をすくい上げ、自分が思ったことを正直に伝えていきたいですね。
いま日本は、報道の自由度が世界で72位と、かなり低い。そうなると、ニュースに対する信頼度も低くなる。受け手側を裏切っちゃうと、大きなしっぺ返しを食らうと思いますよ」
話題となった風刺画は「ニュース油絵」として、約一カ月に一枚描き、自身のホームページで発表したものだ。これまでも与野党の政治家や歴代の首相の風刺画を描いてきたが、こんなに批判を浴びたのは初めてと話す。
「けしからんという反響が起きるとは思いませんでした。風刺なんだから、力のある方はある程度は仕方ないと思うんです。昔は風刺には諧謔(かいぎゃく)精神(=ユーモア)があったから笑いがあった。それがいけないとなったら、笑いなんて絶対に生まれないですよ」
吉田照美さんは画家でもあるんですか? と聞くと……。
「うーん……。『画家』という肩書だとカッコつけすぎだから、『絵描き』のほうがしっくりくるかな。カッコつけすぎるのが、いちばんカッコ悪いからね(笑)」
よしだてるみ
1951年1月23日生まれ 東京都出身 1974年に早稲田大学卒業後、アナウンサーとして文化放送入社。1985年にフリーとなり『吉田照美のやる気MANMAN!』などヒット番組を担当。4月からJFN系列『Please テルミー! マニアックさん。いらっしゃ~い!』、bayfm『TERUMI de SUNDAY!』、MBSラジオ『ザ・ヒットスタジオ』がスタート
(週刊FLASH 2017年4月18日号)