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【坂本冬美のモゴモゴ交友録】野田秀樹さんーーお鮨屋さんで会うだけの鮨友

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.08.13 06:00FLASH編集部

【坂本冬美のモゴモゴ交友録】野田秀樹さんーーお鮨屋さんで会うだけの鮨友

「野田さんにお会いするのはお鮨屋さんだけ。そういう関係のお友達がいるのも……いいものですよ」(坂本冬美)

 

 二十数年前のことです。

 

「美味しいお鮨屋さんを見つけたんだけど……一緒に行かない?」

 

 ニンマリと笑みを浮かべながら、わたしの肩をポンと叩いたのは……今も変わらず、ず~~~~っとお友達でいてくれる、藤あや子さんでした。

 

 お鮨は大好きです。でも、堅苦しいのは苦手。どうしようかなと、返事を躊躇(ためら)うわたしの耳元で囁いた、あや子さんの殺し文句……「大丈夫、スッピンにジャージで行けるお店だから」というひと言が、すべての始まりでした。

 

 

 1階が10席ほどのカウンターで、2階は座敷。親方はピュアで正直者で、お客様に対してお上手を言わない方なんです。でも、どういうわけか、愛されキャラで。王貞治さん、青木功さん、江川卓さん、明石家さんまさん、大竹しのぶさん……そうそうたる方々が、カウンターに座って、親方が握ったお鮨を、それはもう皆さん美味しそうに食べているんです。

 

 そのお鮨屋さんで知り合い、親しくさせていただいている中のお一人が、劇作家で演出家・俳優の野田秀樹さんです。

 

 いつもは誰が来ていても、ほとんど関心を示さない親方が(笑)、どうやら野田さんだけは特別なようで。

 

 席に座るなり「昨日だったら、野田ちゃんが来ていたんだよね」と、ちょっと残念そうな顔をしたり、また別の日には、お鮨を堪能して帰ろうとすると、「これから野田ちゃんが来るから、もうちょっといてよ」とか、必ずといっていいほど、野田さん情報を教えてくださるんです。

 

 一度もお仕事をしたことはない、お鮨屋さんでお会いするだけの鮨友……。次は、いついつ……と、お約束したことはないし、親方も何も言わない。でも、ちょいちょい、お会いするーー。そういう鮨友というのも、なかなかいいものです。

 

 野田さんとの会話は、ほぼほぼ親方ネタなんですけどね(笑)。先日も偶然、隣同士の席になって。いつものようにお子さんの動画を観せられて。いや、違った。観せていただいて(笑)。

 

 これがまた、お嬢ちゃんも、お坊ちゃんもすごくかわいくて。野田さんがニヤケてしまうのもよくわかります。

 

ーーえっ!? わたしの好きな鮨ネタですか?

 

 若いころはトロだ! 甘だれをさっと塗ったアナゴだ!! と、大騒ぎをしていましたが、女盛りを過ぎた年ごろになった今は、誰がなんといってもこの時期はシンコ。スタートはシンコから。で、次もシンコ。その次もシンコ。またまたシンコで、締めもシンコ。

 

 親方が「これ、捌(さば)くのが大変なんだよなぁ」と、ブツブツ文句を言うのを右耳から左耳へと聞き流し、シンコの旬である7月から8月にかけては、ひたすらシンコ祭りです。

 

 しかも、どこを気に入ってくださったのか、ぶっきらぼうな親方は、野田さん同様、わたしのことも特別扱いしてくださって。

 

 ほかのお客さんから「また、冬美さんにいちばん美味しいところを出すんでしょう?」とか「今日は冬美さんが来ているからしょうがないな」とか言われながら、それでも誰よりも先に、いちばん美味しいシンコを出してくださる。もう、嬉しさ100倍です。

 

 あっ、だめ……。お鮨を連発していたら、すごくお鮨が食べたくなってきちゃった。時間は……まだ、大丈夫! ちゃんとお化粧をして、洋服を着替えて、さぁ、お鮨屋さんに行くぞぉ~!!

 

さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、ニューシングル『酔中花』発売中!

 

写真・中村 功
取材&文・工藤 晋
スタイリスト・小泉美智子
アクセサリー・PUERTA DEL SOL

 

( 週刊FLASH 2022年8月23日・30日合併号 )

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