10月2日に、名古屋観光ホテルで予定されていた演歌歌手・丘みどりのディナーショーが「ホテルの不手際により」中止になるという前代未聞の珍事が起きた。
丘自身は、前日の夜にホテル入りしてからその事実を初めて知ったといい、2日の朝、自身のSNSで「本当にショックです」とコメント。同日深夜、ホテル側が公式ホームページに文書を掲載し、騒動の経緯などを明かして謝罪した。
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支配人名義で掲載された文書によれば、ディナーショーの会場だった「那古の間」は、丘サイドが先に申し込んでいた。しかし「新たな案件が同じ宴会場で受注された」ため、ホテル担当者は「ダブルブッキングを承知のうえ」で、別の宴会場をディナーショーの会場として設定したという。しかし、丘サイドにはこのことをディナーショー前日の21時まで知らせず、「あたかも当該会場が押さえられているかのように虚偽の報告をしておりました」と説明。
結果的に、別の宴会場では準備や設営の時間が足らず、ディナーショーは急遽中止となった。この事件がスポーツ紙などで報じられると、どこか釈然としないホテル側の説明に、ネットは大炎上。
《これは明らかに確信犯》
《担当者だけでなくホテルぐるみの犯行》
《不手際じゃなくて完全に詐欺だよねこれを「不手際」と言える神経がどうかしてるわ…》
《天秤にかけて結婚式2回の方が儲けがあるからでしょうね》
など、ホテル側を糾弾するコメントが殺到している。
ダブルブッキングの真相やいかに。名古屋観光ホテルに見解を求めたところ、同社の広報担当者に話を聞くことができた。
ーーネットでは確信犯だったのではないか? という声が溢れている。
「(ディナーショーの主催者である)東海ラジオ様のほうから、丘みどり様の件でご予約を承った段階で、きちんと会場の予約ができていませんでした。社内でのコミュニケーションの問題で、情報が共有されていなかったというのが第一のミスになります。台帳上、ディナーショーのお部屋を押さえられておらず、その結果、ほかの担当者が別の案件の予約を受けてしまったということになります」
ーー同じ人間が意図的にダブルブッキングしたということではないのか。
「私どもが今回出した経緯説明が、そのように読まれてしまっているのもしれませんが、意図的にやったわけではなく、本当に人為的なミスからスタートしています。一人の担当者だけですべてが進んでしまったということではなく、組織的な情報共有というところに問題が起きたと認識しております」
ーーホテル業界では「ありえない」という声も多い。
「お叱りの声をたくさん頂戴しておりまして、すべてを真摯に受け止めておりますし、今後どう改善するのかということが、皆様の信用を取り戻すための第一歩と承知しております。まずは完全に原因を究明し、再発防止に向けて努力したいと思います」
ーー社内では担当者に処分を課す予定はあるのか。
「まだ全容の把握を進めている最中ですので、現段で決まっている処分はございません」
ーー丘みどり側とは和解できたのか。
「今お話し合いをさせていただいておりますので、現在の状況については、申し訳ありませんが承知しておりません」
――賠償を含め、返金は予定しているのか。
「具体的な金額は差し控えさせていただきますが、その予定です。まだお客様への返金なども完了している段階ではございませんが、引き続き主催者様も含めまして、皆様に誠心誠意対応させていただきます。お客様についてはチケット代に加え、交通費や宿泊代もお申し出いただいたぶんに関しては返金させていただきます」
意図的ではないにせよ、あまりにお粗末な“社内事情”。信頼回復への道のりは遠い。
「当日は300人が来場予定でしたから、チケット代だけでも返金総額は900万円ほど。さらに、宿泊代や交通費も乗っかりますから大打撃でしょう。何より、こうしたミスが業界内で知れわたってしまったため、今後ほかのディナーショーや会合などでの利用は敬遠される可能性が高いです。コロナ禍で苦しいなか、完全な自業自得とはいえ“再建”できるのか難しい状況でしょう」(経済記者)
ダブルブッキングの原因となるミスをした担当者には、丘みどりの曲を聞いて元気を出してほしいけれど……。
( SmartFLASH )