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【坂本冬美のモゴモゴ交友録】マルシアさんーーサンバの国から来た彼女が魅せた情熱のTバック水着
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.22 06:00 最終更新日:2022.10.22 06:00
リュックひとつで、故郷・和歌山県から上京。右も左もわからない東京で最初にお友達になったのが、猪俣公章先生門下の相弟子で、外国人歌謡大会の番組に出演するために、日本のほぼ真反対に位置するサンバの国、ブラジルからはるばるやって来たマルシャです。
ちなみにですが、わたしにとって彼女は、マルシアじゃなく、マルシャ。だから、ここでもマルシャと書かせていただきますね。
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和歌山弁しかしゃべれないわたしと、ポルトガル語しか話せないマルシャ。当然のように2人の間に会話は成立しないのですが、そこはほら、怖いもの知らずの2人です。身振り手振りで気持ちを伝え合い、どうにもならなくなったら、にっこり笑ってごまかすみたいな感じで(苦笑)。
当時の写真が残っていますが、わたしもマルシャも顔がまん丸で。そりゃもう、かわいい2人でした(笑)。
マルシャが正式に猪俣先生に弟子入りしたのは、わたしがデビューして半年ほどたったころなので、弟子として一緒に暮らしたことはありませんが、相前後して、猪俣先生の側で掃除、洗濯から始まり、先生が好んだウイスキーのお湯割りを作った、いわば同じ釜の飯を食べた仲です。
あれは……マルシャが日本に来て半年ほどがたち、ホームシックと、日本とブラジルのスタイルの違いから、ストレスが溜まりに溜まっていたときのことです。
見兼ねた東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)の宣伝マンが、マルシャとわたしをとしまえんの流れるプールに連れ出してくれたんです。
自慢じゃありませんが、このときわたしが身につけたのは、中学時代から着ていたスクール水着です。それしか着たことがないし、それしか持っていないので、迷いようがありません。
ところがです。マルシャがバッグから取り出したのは、ハイレグを通り越したTバックの水着。お尻が半分どころか、ほとんど見えているんじゃないかと、わたしがドキドキしたほどです。
さすが、サンバの国から来た女です。着替えを終えたマルシャを見た瞬間、目は点。完全に度肝を抜かれ、思わず、お~~~~~っ! と声を漏らしていました。
そうそう、思い出しました。マルシャのお母さんがブラジルから日本に来たとき、マルシャとお母さんがわたしのアパートで暮らして、わたしが猪俣先生のお宅にお邪魔して、内弟子時代に戻ったような生活を送ったこともありました。
デビュー当時は、お互い自分のことでいっぱいいっぱいで、歩み寄る心の余裕がなかったけど、自分の生きる道を見つけた今、わたしにとってマルシャは、離れていても心が通じ合っているような、そんな特別な存在です。
自分では解決できないことがあると、マルシャの声が聞きたくなるし、心がくたびれたら、マルシャの顔が見たくなる。きっとマルシャも同じだと思います。
ご飯を食べて、お酒を飲んで。そして、たわいもない話で笑い合う……。
わたしは、猪俣先生の車をガリガリ擦ったり、サイドブレーキを引いたまま高速を走って、こっぴどく怒られた話をして。マルシャは、冷蔵庫にあった燕の巣やキャビアなどを全部捨てちゃって、呆れ顔をされた話をして。
天国にいる先生が「お前らいい加減にしろよ。もっと俺に感謝しろ」と怒りだすくらい、昔話で盛り上がろうね。
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋