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『アトムの童』20代の山﨑賢人は不利? 日曜劇場は9作連続で30代以上が主演していた

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.23 11:00 最終更新日:2022.10.23 11:00

『アトムの童』20代の山﨑賢人は不利? 日曜劇場は9作連続で30代以上が主演していた

 

 従来の日曜劇場ファンを満足させつつ、新規の若者ファンを獲得するという、一挙両得を狙ったのだろうがモロに裏目に出た感じ。

 

 先週スタートした山﨑賢人主演の日曜劇場『アトムの童(こ)』(TBS系)。第1話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)が8.9%と爆死した。

 

 メーカーに所属せず、 “インディー” として活動していた若き天才ゲームクリエイター安積那由他(山﨑)が、廃業危機を迎えていた老舗玩具メーカー「アトム玩具」を救うため、革新的なゲームを制作するという物語。

 

 

 ゲーム制作の資金もノウハウも持たずゼロからのスタートとなる「アトム玩具」が、数多くの人気ゲームを手掛けている大手IT企業「SAGAS」にどう対抗していくかが見どころである。

 

 わかりやすい勧善懲悪の対立構図で弱小企業が大企業に挑んでいくという設定は、日曜劇場の王道フォーマットだったはずだが、蓋を開けると視聴率二桁割れ。なんと日曜劇場枠で初回視聴率が一桁となったのは、2017年7月期に放送された長瀬智也主演『ごめん、愛してる』(TBS系)以来、約5年ぶりなのだ。

 

■主演・山﨑賢人+王道ストーリーで一挙両得を狙ったが……

 

 視聴率がふるわなかったエクスキューズとなる要素はいくつかあった。

 

 そもそもリアルタイム視聴が時代に即しておらず、近年のテレビ業界全体で急激に視聴率下落の傾向があること。

 

 日曜夜の強力なバラエティ番組である『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)と『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)が、2時間スペシャルを組んでおり、『アトムの童(こ)』の放送時間とかぶったこと。

 

 数々の日曜劇場のヒット作でキーパーソンを担ってきた香川照之が、銀座クラブホステスへの性加害スキャンダルの余波で降板していたこと。

 

 中高年層の支持が厚い日曜劇場は30代以上の円熟した役者が主演を張ることが多く、20代俳優が主演を務めるのは2020年1月期の竹内涼真主演『テセウスの船』以来だったこと。

 

 ……しかし、そういった数々の要素が重なったことを差し引いても、『半沢直樹』(2020年版/TBS系)に代表される近年の日曜劇場作品は高視聴率を獲得していたため、8.9%という数字は衝撃的であった。

 

 山﨑は現在28歳で、前述したとおり、20代俳優が日曜劇場で主演を務めるのは2020年1月期の『テセウスの船』ぶり。その間の9作品は30代以上の役者が主演していた。

 

 ではなぜ、今回は山﨑が抜擢されたのだろう。

 

 これは推察だが、TBSは日曜劇場ブランドの5~10年後といった未来を見据え、若者の視聴者を獲得してコア視聴率(13歳~49歳の個人視聴率)を底上げするというというミッションを、『アトムの童(こ)』に課していたように思う。

 

 映画『キングダム』シリーズ(2019年、2022年)を大ヒットに導いた20代の山﨑が、若い世代に親和性が高いゲーム業界を舞台にした作品に主演するとなれば、10代、20代といった視聴者を取り込めると踏んだに違いない。

 

 もちろん、若者ばかりに向けて発信しているわけではなく、下町企業が業界大手に立ち向かうという日曜劇場お得意の企業ものドラマにすることで、従来の中高年ファンにも満足してもらおうという算段があったのではないだろうか。

 

■香川照之のラスボスは食傷気味だったから結果オーライ?

 

『アトムの童(こ)』第1話のコア視聴率は可もなく不可もなくという数字だったようで、現時点では “二兎を追う者は一兎をも得ず” になってしまっている感は否めないが、まだまだ始まったばかり。

 

 竹内涼真主演『テセウスの船』は、世帯平均視聴率を第1話11.1%から最終話19.6%まで跳ね上げることに成功させている。『アトムの童(こ)』も作品の出来次第で、ぐんぐんと右肩上がりしていくかもしれない。

 

 ――『アトムの童(こ)』は日曜劇場ファンが大好物であろう逆転劇や復讐劇になりそうだ。

 

 香川が演じる予定だった大手IT企業「SAGAS」社長役はオダギリジョーが代役を務めているが、結果論的にオダギリに代わったことが功を奏すのではないかと思う。

 

 香川は確かにラスボス役が十八番。たとえば前クールのドラマ『六本木クラス』(テレビ朝日系)で演じた外食産業最大手の会長役は、古くからの歴史がある飲食業界のトップだったため、その重厚な芝居がハマッていた。

 

 しかし『アトムの童(こ)』は今風のIT企業社長役のため、よくも悪くも昭和の匂いが漂う香川のアクの強い演技では違和感があったかも……。

 

 それに引き換え、オダギリはスタイリッシュなパブリックイメージがあるのでIT企業トップの役が似合うし、第1話を観るとニヒルな悪役演技によるいやらしさが満点で、いい具合に視聴者の嫌悪感が鬱積していっただろう。

 

 そもそも香川がラスボスを演じることは食傷気味だったので、悪役オダギリが新風を呼び込んで、災い転じて福となす可能性も十分ありそうだ。今夜放送の第2話以降、山﨑vs.オダギリの戦いがどう盛り上がっていくか、期待して観ていきたい。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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