俳優でタレントの渡辺徹さんが、11月28日に敗血症のため亡くなった。享年61。所属する「文学座」も、公式サイトを通じて発表した。
《11月28日21時01分敗血症のため逝去いたしました。享年61。 11月20日(日)に発熱、腹痛等の症状が出たため都内の病院に受診したところ、細菌性胃腸炎の診断を受け直ちに入院いたしました。その後に敗血症と診断され、加療いたしましたが回復が叶いませんでした。》
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としている。2021年4月にも大動脈弁狭窄症と診断され、出演予定の舞台が全公演中止となったが、突然の訃報に、ネット上では驚きの声が多く上がった。
「1981年にドラマ『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)の新人刑事・ラガー役でデビューした渡辺さん。1987年10月に結婚した妻でタレントの榊原郁恵さんとは“おしどり夫婦”として知られていました。
渡辺さんを悼む声とともに、榊原さんを心配する声も上がっています」(週刊誌記者)
渡辺さんの訃報からわずか2カ月前、本誌は、9月20日号で『太陽にほえろ!』の秘話や、愛妻について、渡辺さんに話を聞いていた。
文学座に入所して1年後、同ドラマに出演が決まった当時についてこう教えてくれた。
「松田優作さん、宮内淳さん、山下真司さんなど、歴代新人刑事の多くは文学座から抜擢されました。プロデューサーさんがよく舞台を見に来てくださったので、そのときに俺に目をとめてくださったのだと思います。
石原裕次郎さんは検査入院中でした。病院にご挨拶に伺うと、居合わせた事務所の方々に『ちょっと外してくれないか』とおっしゃり、2人だけになったところで『君が渡辺徹君か。今はちょっと休んでいて現場に迷惑かけているからよろしく頼む。だが現場に戻ったら同じ俳優同士。ライバルだからな。負けないぞ』と、19歳の俺の両手を握り締めてくれたんです。『この人のために頑張らなくちゃ』と涙があふれました」
結婚35年近くなる榊原については、笑顔でこう語っていた。
「最初は好きという気持ちが強かったけど、今は『必要な存在』。好きは冷めることもありますけど、必要は冷めることがないですね。小言の鬱陶しさは相変わらずだけど(笑)」
ドラマ、映画、バラエティで活躍しながら、積極的に文学座の舞台にも立つのは、“夢”があったからだ。
「長く役者をやっていると、怒られることがなくなるんです。上手に芝居ができなくても “そのまま” みたいなことがあります。でも、文学座は伝統的に、後輩が先輩に歯に衣着せぬもの言いをします。そこで『俺はまだ、これができないのか』とわかるんです。それと、役者を目指したときの『みんなで何かを作りたい』という思いにさせてくれる、役者さんやスタッフさんが、文学座にはまだまだいるんです」
60歳を過ぎて、自分を見つめる機会が増えた……そんな話も榊原としていたという。
「『体力も昔とは違う。俺は表現者としてどうなんだろう』と言ったら『お父さんは人と交わる力があるから、演じるだけじゃなく演出とか後輩の役者さんのためにできることがいっぱいあると思う』って言われました。『そうかあ』とストンと落ちました。だからこれからもとことん『作ること』にしがみついていきます」
その“遺志”は、後輩の俳優たちに受け継がれていくだろう。
( SmartFLASH )