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天国の母・麻央さんも見守る「八代目市川新之助襲名披露公演」を歌舞伎通、大御所評論家たちが異例の絶賛
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.01.05 21:43 最終更新日:2023.01.05 22:02
1月3日、歌舞伎俳優、市川團十郎白猿一家に密着した特別番組『成田屋にございまする』(日本テレビ系)が放送された。
市川新之助を襲名した長男の勸玄(かんげん)くんがひとりで記者会見に臨む姿に、父・團十郎が「感動しちゃいましたよ。泣きそうになる」と目を潤ませる場面もあった。
八代目市川新之助は、2022年11月から12月にかけて襲名披露公演をおこない、東京・歌舞伎座で12月5日に初日を迎えた「十二月大歌舞伎」では、「毛抜」に出演し、史上最年少の9歳で粂寺弾正(くめでら・だんじょう)を演じた。
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「『毛抜』は歌舞伎十八番のひとつで、弾正は愛きょうやユーモアがあり、かつ力強さも必要とする難役です。父・十三代目團十郎が演じた『毛抜』の舞台を観てから、粂寺弾正が憧れの役だったと話す新之助は、持ち前の明るさとおおらかさを存分に活かし、愛嬌あふれる弾正を見事に演じ切りました。会場の笑いを誘う一方で、ときおり見せる引き締まった『見得』は、各界で称賛されました」(芸能ライター)
講談師の神田伯山は、2022年12月9日の『問わず語りの神田伯山』(TBSラジオほか)で、新之助をこう評した。
「新之助くんが、自分で『この役をやりたい』と。9歳だよ? イメージで言うと、9歳で『シティーハンターの冴羽リョウ』をやっている感じ」
「新之助が誰よりも、やる気があるの。いま、歌舞伎界でいちばんやる気があるんじゃないかな、と。盛り上がっているんだよ、たしかに。セクハラをして『うわっはっはっは』みたいなところでも、おじいちゃんの十二代目市川團十郎の型どおりやっているから、意外に型があると成立するんだなと。まわりのお客さんも、おばちゃんが多いんだけど、『かわいい』みたいな感じで」
脳科学者の茂木健一郎氏も2022年12月7日、自身のYouTubeチャンネル「茂木健一郎の脳の教養チャンネル」で、新之助を絶賛した。
「これは大当たり。非常に難しい役なのは事実なんです。心配する記事もあったけど、新之助さん素晴らしい。12月歌舞伎座のいちばんの大当たりはこの『毛抜』じゃないか」
「名探偵コナンっぽいんだけど、お客さんが新之助さんのひとつひとつの演技に感動しているんです。『ほ~!』と、驚く『見得』があるんですけど、それが大うけで、もうブラボーですよ」
2022年12月15日、「日刊ゲンダイデジタル」のコラムで、作家の中川右介氏はこうつづっている。
《昼の部は、新之助が主役と言っていい。「毛抜」で、9歳にして、大人の役を演じている。なんとなく「名探偵コナン」を連想するが、ともかく、しっかりと演じている。
そして周囲の役者たちも、真剣に相手をするので、少年の無謀な冒険ではあるが、芝居として成り立つ。新之助にこの先、どういう未来が待っているのかは誰にも分からないが、ひとりの役者のこれから数十年の時間の始まりを目撃できる》
極めつけは、歌舞伎評論の第一人者・上村以和於氏だ。2022年12月16日付の日本経済新聞夕刊「歌舞伎時評」で、上川氏はこうつづっている。
《先月「外郎売」の早口の言立てを見事に演じた新之助が、今月挑むのは歌舞伎十八番「毛抜」の粂寺弾正。知性・好色・諧謔・豪快等々といった、ルネサンス的ともいえる性格の快男児で1時間出ずっぱりの大役、常識的には年少者の勤める役ではない筈だが、ともかくも少しの弛みもなく演じ切ったのには驚嘆以外はない。この少年の未来は? と、つい考える》
2022年11月、「サンケイスポーツ」の単独インタビューに応じた新之助は、2017年に他界した母・小林真央さん(享年34)について「僕が4歳のときに(ママが)いなくなって。人が死ぬのを体験していなかったので、そのときは悲しい気持ちがなかったんですけど、今になってみるとやっぱり悲しいな、と思います」と語っている。
冒頭の『成田屋にございまする』のなかで「毛抜」の弾正役を演じ終えた新之助は、「いままでの舞台でいちばん楽しい」と笑顔で語っていた。見事に襲名披露公演を終え、絶賛を浴びた長男の姿を、天国にいる麻央さんも目を潤ませながら見守っているだろう。
( SmartFLASH )