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『Get Ready!』藤原竜也の “常識人” 役に違和感…中二病的な演出も吉と出るか凶と出るか

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.01.15 11:00 最終更新日:2023.01.15 11:00

『Get Ready!』藤原竜也の “常識人” 役に違和感…中二病的な演出も吉と出るか凶と出るか

 

“天才キャラ” や “神格化キャラ” のイメージが強い藤原竜也が、普通の常識人を演じることが吉と出るか凶と出るか……。

 

 先週日曜にスタートした妻夫木聡主演のダークな医療エンタテインメント『Get Ready!』(TBS系)。法外な報酬と引き換えに、超人的なオペ技術で患者の命を救う謎の闇医者チームを描く1話完結型のドラマである。

 

 

 妻夫木が孤高の天才執刀医・エースを演じ、藤原がその相棒でチームの交渉人・ジョーカーを演じている。また、松下奈緒演じる凄腕オペナース・クイーンと、日向亘演じる若き万能ハッカー・スペードもおり、この4人で闇医者チームを組んでいる。

 

 第1話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は10.2%で、TBSの大看板である「日曜劇場」作品としては、ギリギリの及第点といったところだろうか。

 

 しかし、正直なところ、このドラマ大丈夫か……という不安要素が散見される第1話だった。

 

■中二病的で「ダサッ」と思ってしまった

 

 本作の舞台は現代の日本なのだが、けっこうなオーバーテクノロジーのSF設定が組み込まれている。

 

 たとえば、大病で大学病院に運び込まれた副総理の病室に、マスクで顔を隠したジョーカーとエースが現れるのだが、副総理との交渉が決裂すると、2人はパッと姿を消してしまう。

 

 まるで本当に病室にいるように見えていたが、実は小型ドローンから投影したホログラム(立体映像)だったことが判明。そんなブッ飛び設定が平然と使われる作品だとは思っていなかったので、唖然としてしまった。

 

 また、闇医者チームの面々は、人前に出るときは黒ずくめのコートを着て、ホッケーマスクのようなお面で顔を隠しているのだが、そのお面にはネオンの光が輝いている。秘密基地にある最新のオペ室も、マスクと同じようにネオンが随所にあしらわれており、サイバーパンクの世界観といった様相なのである。

 

 秘密基地にはオペ室以外にも、ハッカーであるスペードがPCを操作したり4人が集まって作戦会議したりする部屋もあるが、こちらは壁もデスクもイスも真っ白で未来的。

 

 ネオンの使い方といい、真っ白な空間といい、『仮面ライダー』シリーズや『スーパー戦隊』シリーズのデザインセンスというか、大人ファンが多い「日曜劇場」作品だという視点で考えると、なんだか中二病的で「ダサッ」と思ったのは筆者だけではないはずだ。

 

 ストーリーうんぬん以前に、突飛なSF設定やデザインセンスなどが気になってしまい、笑えないサブいコントを見せられているような感覚になり、いまいち没入できなかった……。

 

■天才&神格化キャラは藤原の十八番だったはず

 

 不安要素はほかにもある。

 

 妻夫木演じるエースは、クールで口数は多いほうではなく、口を開けば患者を試したり品定めしたりするような発言をして高圧的。多額の報酬を要求するが、カネ目当てというわけでもなく、仲間たちも彼が何を考えているのかよくわからない。

 

 悪く言ってしまえば、これまた中二病的なクール系天才主人公で、アニメなどではよく見かけるテンプレ化されまくっているキャラクター造形に思えた。

 

 だが、それ以上に気になったのが、藤原が演じるジョーカーについて。表の顔は優秀な国際弁護士らしいのだが、第1話を見るかぎり、奇抜なキャラが揃っている闇医者チームのなかで、唯一の平凡な常識人といった感じなのである。

 

 交渉人としてはどこか気弱で、傲慢な患者にタジタジしたり、気に喰わない患者の手術を拒否するエースに振り回されたりと、頼りない雰囲気も……。

 

 藤原の代表作と言えば、真っ先に思い浮かぶのは映画『デスノート』(2006年)の天才的頭脳を持ったヒール主人公ではないだろうか。劇中ではデスノートを使って信者たちから神のようにあがめられていた。

 

 出世作とも言える映画『バトル・ロワイアル』(2000年)の第2弾『バトル・ロワイアルII 【鎮魂歌】』(2003年)ではレジスタンスのリーダーとなっており、達観した雰囲気を漂わせ、やはり神格化されたキャラを演じていた。

 

 このように、藤原は “天才キャラ” や “神格化キャラ” を憑依的に演じる役者というイメージが強い。そう、今回の『Get Ready!』で妻夫木が演じている主人公こそ、従来の藤原の十八番とも言えるようなキャラなのである。

 

 なにが言いたいかというと、藤原と妻夫木の配役は逆のほうがよかったのではないか。藤原が周囲を振り回すクールな天才主人公で、妻夫木がそんな主役をサポートする常識的な相棒のほうが、しっくり来た気がするのだ。

 

 ただ、藤原が天才主人公を演じれば十八番演技が見られるものの、食傷気味だと批判されたかもしれないし、天才に振り回されててんやわんやする凡人を演じる藤原は新鮮と言えば新鮮。

 

 制作陣は、藤原が天才主人公を演じるのが得意なのは百も承知で、あえて定番の配役にはせず、普通の常識人キャラにキャスティングしたのだろう。

 

 そういえば映画『バクマン。』(2015年)でも、ナイーブで純粋な主人公を佐藤健が演じ、ロジカル思考でしゃべりが立つ相棒を神木隆之介が演じた際も、公開前は配役が逆のほうがいいのではないかとの声が相次いだ。けれど、公開後はその配役が好評でヒット作になった。

 

『Get Ready!』も『バクマン。』のように跳ねる作品になるかどうか、そして中二病的な演出が吉と出るのか凶と出るのか、今夜放送の第2話に注目したい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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