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片山萌美、「ミス日本」の活動を終え舞台女優に「人を楽しませることは私も楽しい」

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.01.15 11:00FLASH編集部

片山萌美、「ミス日本」の活動を終え舞台女優に「人を楽しませることは私も楽しい」

片山萌美

 

 待ち合わせ場所は、西武新宿線野方駅。鮮やかなピンク色のタートルネックセーターを着た片山萌美が「唐揚げがとにかく美味しいお店です。芸能界にもファンが多いんですよ」と案内してくれたのは駅からすぐの「灯屋酒処Anji」。店主は大分・中津市出身。同市の唐揚げ店「綾鶏」の秘伝のタレを使う「中津唐揚げ」がお目当てだ。

 

「召し上がってください」

 

 

 片山のすすめで黄金色に揚がった唐揚げをいただく。衣はカリッカリ、中は肉汁が染み出すほどジューシーだ。なるほど、片山が通うのも納得の味である。店との縁を聞くと「最初は私、カウンターの向こう側、厨房で働いていたんです」と意外な答えが。

 

「4年前、ドラマ『居酒屋ぼったくり』(BS12)に出演しました。ドラマは私が実際に作ったお料理を出す演出だったので、撮影前に制作会社さんにご紹介いただいたこちらで1カ月ほど料理の修業をさせていただきました。(魚の)三枚おろしもちゃんとできるようになったんですよ。

 

 ドラマに出したメニューでは、太めのパスタで作った『鉄板焼きナポリタン』が大好きです。最後にたまごを入れてジュッ。美味しいんです」

 

 ビールジョッキを傾けながら「お酒は好きですけど飲むとすぐに寝ちゃいます。でも起きるとそこからは延々と飲むタイプ」と話す片山は、大学3年生だった2012年に「ミス日本ネイチャー」を受賞した。

 

「当時は将来の明確な目標みたいなものがなかったので、とりあえずいろいろなバイトをして模索していました。

 

 そんなある日、雑誌で芸能プロダクションの養成コースの募集告知を見つけました。モデルに興味があったので応募。合格して1年間レッスンを受け、その後に今もお世話になっている事務所に所属しました。そこで、選ばれることはないだろうけど、という感じで『ミス日本』に応募したんです」

 

 選ばれたはいいが、「ミス日本」の活動だけでは生活できず、アルバイトを続けた。早朝6時から9時までカフェ、ランチタイムはイタリアンレストランと掛け持ちも当たり前だった。台湾でおこなわれた植樹式に森喜朗元首相と参加するなど、1年にわたる「ミス日本」の活動を終えたのち、あらためて自身の「やりたいこと」を見つめた片山。導き出した答えは「舞台女優」だった。

 

「もちろん『ミス日本』の肩書ですぐに女優のお仕事ができるほど甘くはないですが、小規模の舞台に普通の女の子役で立たせていただいたときの『怖いけど楽しかった』という気持ちが忘れられなかったんです」

 

 マネージャーと二人三脚でオーディションを受けた。しかし、不合格が続く。170cmの身長が「主演俳優とバランスがとりづらい」と言われ、ネックになった。そこで「まず女優・片山萌美の名前を知っていただこう」と、ある作戦を立てた。グラビアの仕事だ。

 

「マネージャーが週刊プレイボーイさんにグラビア出演を打診したところ、カメラテストなどを経て、2014年に掲載していただきました。

 

 未知の世界なので不安はありましたが、その後もさまざまな出版社から出演依頼がありました。写真が魔性の女っぽいイメージでもあったのでドラマや映画では愛人などの役をいただきました」

 

■ガムシャラに演じてわかったこと

 

 グラビアの経験は、女優としての「幅」を広げた。カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』(2018年)にも出演。娘を虐待する母親を演じた。

 

「子役との共演は初めてだったので、どうやって演じたらいいのか試行錯誤でした。

 

 子供が私の顔をさわったのでキレるというシーンがあったのですが、私の表情や声があまりにも怖かったようで大泣きされて撮影が2時間止まってしまいました。スタッフさんが『あれは演技なんだよ』と慰めても、本当に怒ってると思われてしまったようです。撮影後はすごく仲よくなりましたが(笑)。

 

 撮影で驚いたことですか? 冬に撮影だったので雪が降ったんです。ふとスタジオの外を見たら、雪かきをしている方がいたので『ご苦労様です』と声をかけたら、リリー・フランキーさんでした。受賞は出演者の一人として嬉しかったです。みんなに『私、出てるんだよ』って自慢しちゃいました」

 

 舞台でも新たな挑戦をした。2020年からはゲームが原作でアニメにもなった『新サクラ大戦 the Stage』シリーズの舞台に神崎すみれ役で出演。初めて演技をしながら歌った。

 

「私の声が少し低音なので、曲を書き換えてくださったそうです。歌うことはとてもパワーが必要なので、体力をつけるために空き時間ができると『ララ~♪』みたいに歌いながら走っていました。周囲から見ると怪しい人ですね(笑)。でも、この舞台で『人を楽しませることは私も楽しい』とあらためて感じました」

 

 片山の出演経歴を見ると、その多さに驚かされる。本人は「『ファンA』みたいな役名がない出演も多いですから」と笑うが、その一作一作が「女優・片山萌美」に影響を与えたことは想像に難くない。なかでも2018年から藤本由美刑事役で出演している『警視庁強行犯係 樋口顕』シリーズ(テレビ東京系)には特別な思いがあるという。

 

「樋口顕役の内藤剛志さんはすごくしゃべる、とても明るい方です。私より若者文化に詳しくて、写真撮影のときも『こんなのが流行ってるんでしょ』と指でポーズを取ったりします。私がNGを出しても『ドラマなんだから撮り直せばいいんだよ』と笑ってくださいます。それでいて内藤さんはいつも完璧です。

 

 じつは刑事役には戸惑いがありました。役柄でご遺体に接する深刻なシーンが多くあります。テレビドラマなので、そんなシーンでも “和む” ような演出があったりします。その演技でどれくらいくだけたら許されるのか、塩梅がわからなかったんです。そうしたら内藤さんが『犯人を追うことがメインだけど、これは人の生き死にを扱っているドラマでもあることを忘れてはいけない』とおっしゃったんです。どう向き合えばいいか少しわかるようになりました」

 

 2022年12月18日、5年ぶりとなる「片山萌美写真集『M』」を発売。彼女が本格的に芸能活動を始めて10年目の節目でもある。作品に込めた思いを聞いた。

 

「今回は『モード系のかっこいい女性』を表現したかったんです。今までやりたかった『私が好きな片山萌美』が詰め込まれています。衣装がハイブランドで、とても素敵ですけど……経費もちょっと多めになってしまいました(笑)」

 

 片山はこの10年を「駆け抜けてきました」と振り返る。

 

「演技のお仕事を始めたころはガムシャラなだけでしたが、現場の経験を重ねた今は『演じることが怖い』と感じます。それでいて、もっと演じたくもなるんです。それは成長していることなのでしょうか。そうだといいですけど。これからもきっと私、突っ走るんでしょうね。作品や出会い、そのひとつひとつを大切にして」

 

 

かたやまもえみ
1990年10月1日生まれ 東京都出身 2012年、「ミス日本ネイチャー」受賞。2016年に舞台『悲しき天使』で初主演。映画『屍囚獄』(2017年)、『富美子の足』(2018年)、『万引き家族』(2018年)、『99.9 刑事専門弁護士 the movie』(2021年)など話題作に出演。テレビドラマでも『警視庁強行犯係 樋口顕』シリーズなど多くの作品に出演している。写真集は『人魚』(2016年、集英社)、『Rashin《裸芯》MOEMI KATAYAMA』(2017年、講談社)がヒット。2022年12月に片山萌美写真集『M』(ウイントアーツ)を発表。最新出演作は『今野敏サスペンス機捜235×強行犯係 樋口顕』(1月27日金曜20:00~テレビ東京系)

 

 

【灯屋酒処Anji】
住所/東京都中野区野方4-19-4 薫風ビル1F
営業時間/18:00~24:00 
定休日/日曜

 

 

写真・野澤亘伸 
ヘアメイク・渡邉紗悠里

( 週刊FLASH 2023年1月24日号 )

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