エンタメ・アイドルエンタメ・アイドル

草彅剛『罠の戦争』毎回スッキリ留飲が下がる良質な脚本、『半沢直樹』ファンなら観るべき

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.01.30 11:00 最終更新日:2023.01.30 11:00

草彅剛『罠の戦争』毎回スッキリ留飲が下がる良質な脚本、『半沢直樹』ファンなら観るべき

 

 草彅剛の6年ぶりの連続ドラマ主演と聞いて、ひいき目で観てしまう方も少なくないだろう。しかし、そういったバイアスを取っ払って観ても、申し分なく非常におもしろい。

 

 先週月曜に第2話が放送された『罠の戦争』(フジテレビ系)のことだ。

 

 それまで主演に引っ張りだこだった草彅が、SMAP解散とジャニーズ退所という大事件の後、民放の地上波テレビ番組から遠ざかっていた時期を経て、とうとう連ドラ主演に返り咲いた。

 

 

 近年、ジャニーズ事務所を退所するタレントが増えているが、ほかの大多数の “辞めジャニ” たちを見渡せば、地上波テレビに単発で出演することさえ、かなり高いハードルだとわかる。ましてやプライム帯の民放連ドラ主演となると、もはや偉業レベルだ。

 

 元国民的アイドルがそんな偉業を成し遂げた記念すべき作品となれば、SMAPファンでなくても温かい目で応援したくなる人も多いはず。

 

 けれど、いい意味でそんなやさしい気遣いは不要なほど、『罠の戦争』はグイグイ引き込まれる極上のエンタメ作品に仕上がっている。

 

■罠のハメ合い、緻密な心理戦が醍醐味

 

 草彅演じる主人公は、内閣府特命担当大臣にまで上りつめた大物政治家・犬飼の第一秘書・鷲津亨。そんな彼の一人息子が、ある日、何者かに歩道橋から突き落とされ、瀕死の重傷を負い意識不明に……。

 

 悲しみに暮れる鷲津に追い打ちをかけたのが、20年もの間、命をかけて仕えてきた犬飼のひと言だった。犬飼から息子の “殺人未遂事件” を不慮の事故として受け入れるよう、“もみ消し” の指示を受け、表向きは了承する。

 

 だが、うちには激しい怒りの炎を宿し、薄情な犬飼、突き落とした犯人、揉み消しを指示した黒幕らに復讐を誓う――という物語だ。

 

 重苦しいストーリーではあるが、第1話にも第2話にも鷲津の罠によってきちんと敵方をぎゃふんと言わせるシーンが用意されており、シリアスながら毎回スッキリと留飲を下げさせてくれる。

 

 たとえば第2話では、犬飼にべったりでパワハラやセクハラの常習者だった政策秘書・虻川を失脚させるまでが描かれたのだが、罠の掛け合いが見ごたえ抜群だった。

 

 鷲津が裏切っているのではと勘ぐっていた虻川。鷲津が週刊誌記者と秘密裏に落ち合う約束をしたことを知り、あえて泳がせておき、犬飼を連れ立ってその密会現場に突撃。

 

 しかし鷲津のほうが一枚上手だった。突撃されることを予測していた鷲津は、犬飼の前で自分の信頼を高め、逆に虻川の信用を失墜させることに成功したのである。

 

 罠にハマっているフリをして相手を罠にハメるという、手に汗握る緻密な心理戦のすえ、視聴者がカタルシスを得られる見事な脚本となっていた。

 

■ラスボスは高橋克典演じる総理大臣か

 

 犬飼は大臣ながら小者感があるキャラなので、中盤回あたりで鷲津によって引きずりおろされるだろう。

 

 問題は息子を突き落とした犯人は誰か、その事件を揉み消そうとした黒幕は誰かというところだが、高橋克典演じる内閣総理大臣が黒幕の可能性もある。

 

 高橋であればラスボスの貫禄は十分あるし、倒すべき相手が国のトップとなれば物語のスケールが大きくなって盛り上がるだろう。

 

 まだ敵か味方かわからない存在として、日本で初の女性総理に一番近いと言われている厚生労働大臣を片平なぎさが演じている。

 

 たとえば現職総理に復讐したい鷲津と、総理になりたい厚生労働大臣の利害関係が一致し、共闘する展開になればおもしろそうだ。

 

 ところで、同じ復讐劇ということで、『半沢直樹』(TBS系)を想起するという視聴者の声もある。パクっているわけではないが、確かに虐げられた弱者が権力を持った強者に逆襲するという構図は似ているので、『半沢直樹』ファンなら観たほうがいいと断言できる。

 

 ――本作の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話が9.3%、第2話が9.4%。ほかのドラマでは初回だけ見て離脱する視聴者が多いなか、9%台という水準で下がるどころか微増させているのは十分合格点に違いない。

 

 フジテレビ系の月曜22時枠は、前クールは長澤まさみ主演の『エルピス ー希望、あるいは災いー』で、こちらも悪しき大物政治家を追いつめていく骨太な良作。前々クールは波瑠主演の『魔法のリノベ』で、こちらはクセになる上質なほっこりコメディだった。

 

 筆者的にこの枠は3作連続のアタリで、最近は月9(フジテレビ系・月曜21時枠)より、よほど期待が持てる。今夜の『罠の戦争』第3話も楽しみに放送を待ちたい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

今、あなたにおすすめの記事

エンタメ・アイドル一覧をもっと見る