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菜々緒『忍者に結婚は難しい』設定はトンデモなのに内容は常識の枠内…肩透かし感を振り切るには?

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.02.02 11:00FLASH編集部

菜々緒『忍者に結婚は難しい』設定はトンデモなのに内容は常識の枠内…肩透かし感を振り切るには?

 

 こんなふざけた設定を思いついた原作者の発想力は素晴らしいし、こんな振り切った企画を採用したフジテレビの懐の広さも賞賛したい。しかし、これまでのところ、トンデモな “器” を活かしきれていない中途半端さは否めない。

 

 先週木曜に第4話が放送された、菜々緒主演の忍者×夫婦ラブコメディ『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系)。

 

 表向きは普通の薬剤師として働いている草刈蛍(菜々緒)と、表向きは普通の郵便局員として働いている悟郎(鈴木伸之)の夫婦。実は蛍は甲賀忍者、悟郎は伊賀忍者なのだが、結婚相手にも素性を隠しているため、お互いが敵対関係にあるライバル忍者ということを知らずに生活をともにしている。

 

 

 そんな2人は、忍者としての極秘任務を優先するあまりすれ違ってしまったり、生活習慣や価値観の違いで言い争ってしまったり……。結婚からまだ2年半ながら離婚危機に直面している――というストーリーだ。

 

 ちなみに本作は、ドラマ化もされた『ルパンの娘』を代表作に持つ作家・横関大氏の同名小説が原作(念のためだが、実写映画化された漫画『ヲタクに恋は難しい』は別作者の作品)。

 

■悪い意味で “ふざけきれてない” のが難点

 

 第4話までは、忍者の任務がきっかけとなった怪しい言動で双方が疑い合い、正体がバレかけることが何度かありつつ、壮絶な痴話ゲンカを繰り広げたかと思えば、相手のいいところを再確認するというドタバタラブコメが展開されている。

 

 第1話放送前、設定やあらすじだけを読んでいた段階では、どれだけ規格外のおもしろいドラマになるのかと期待が膨らんでいたが……正直、肩透かしだった。

 

 笑いどころなのだろうなと思うシーンは随所にあるのだが、どれもこれも小さくまとまっていて、いまいち笑えない。脚本や演出のコメディセンスの問題なのかもしれないが、悪い意味で “ふざけきれてない” のである。

 

 たとえば『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)や『あまちゃん』(NHK)の脚本家である宮藤官九郎氏、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)や『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の脚本や監督を担当した福田雄一氏あたりの、常識をブチ破る悪ふざけが得意なコメディの名手が手がけていれば、このドラマのトンデモな “器” を活かせたかもしれない。

 

 だが、本作のふざけ方は常識の枠内におさまっていて、中途半端なコミカル演出でこじんまりとまとめられている印象。この素材を調理するなら、もっともっとくだらない内容にしたほうがよかった気がする。

 

■エンディングの「なれそめ漫画」は極上の完成度

 

 もちろん、必ずしもギャグにベクトルを向けなくてもいいとは思う。

 

 本作では暗殺事件や爆弾テロ事件も描かれるので、こんなアホな設定を土台にしておきながら、あえてめちゃくちゃシリアスなサスペンスにしてギャップで魅了するという方法もあっただろう。

 

 また、本作の同枠の前クールは大ヒットした『silent』だったのだが、このアホな設定であえて『silent』ばりに美しい映像と抒情的なストーリーを追求し、純愛路線にする手もあったかもしれない。

 

 ちなみに、本作のエンディングで毎回流れるのはaikoのセンチメンタルな曲調の歌なのだが、この主題歌をバックに2人の出会いや恋人時代の過去のストーリーが、オリジナルの漫画で描かれている。

 

 忍者人生に疲れきって “ふつうの恋愛” を切望していた2人が偶然出会い、恋を育んでいくそのエピソードゼロ的な漫画と、aikoの曲がとてもマッチしていて、完成度の高いセンシティブな純愛ストーリーとして成立しているのだ。

 

 恋愛コラムニスト視点で言わせてもらうと、本編もその純愛テイストで押し通したほうがよかったんじゃないかと思う。

 

 ――本作の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話7.0%、第2話5.8%、第3話6.2%、第4話6.0%と低調に推移しており、世間からの評判もいまひとつ。前クールの『silent』から思い切った振り幅のある作風で、その攻めの姿勢は評価したいのだが……。

 

 今夜放送の第5話からの後半戦で、ぜひとも評価を高めていってほしい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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