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村下孝蔵『初恋』のイメージはセーラー服姿の三田寛子

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2017.07.10 20:00 最終更新日:2017.07.10 20:00

村下孝蔵『初恋』のイメージはセーラー服姿の三田寛子

プロデューサーの須藤晃氏

 

「人は生活の中でどんどんくたびれて汚れていく。若いころ、初めて誰かを好きになった思いを歌にしたら、混沌とした時代の中で映えると思った」

 

 音楽プロデューサーとして村下孝蔵の全作品を手がけた須藤晃さん。「次は勝負の曲を作れ」と社命を受けていた。

 

「村下さんのデモテープではバラードでした。この前のシングル『ゆうこ』がバラード系の曲だったし、次は春先の発売と決まっていたので、アップテンポにしました。曲のテーマを『初恋』にして仮歌を入れたとき、これは売れそうだと思った。

 

 でも、何かが足りなかった。そんなとき、ソニーでデビューが決まっていた三田寛子さんが会社に来たんです。田舎っぽいおかっぱ頭のセーラー服姿で。

 

 そこで『初恋』のイメージが広がって、歌詞を放課後の風景に書き直してもらった。この曲を会社の会議にかけたら、大プロデューサーの酒井(政利)さんから、『(『約束』がヒットした)渡辺徹に歌わせれば大ヒットする』と言われました(笑)」

 

 発売1カ月後にジャケット写真を「切り絵」に変更すると、爆発的にヒットした。須藤さんのアイデアだった。

 

「あのふくよかな声は、どこにもないものだった。日本的な情緒をきれいな日本語で歌う。年をとったら一緒に演歌を作ろうと言っていました。村下さんのような人がいれば、一緒に仕事をしたいと思うけど、いないからね」

 

<村下孝蔵『初恋』>
1983年2月25日発売
作詞:村下孝蔵 作曲:村下孝蔵
●売上枚数:52.6万枚(1983年)
●ザ・ベストテン初登場:1983年6月16日 10位
●最高位:7位
●ランクイン:6週

 

カラオケ・ワンポイント・アドバイス!>
 すごく難しい曲。村下さんの歌入れのとき「学生服を着て歌っている感じで」と注文を出しました。変な言い方だけど、アマチュアっぽく歌うということです。中学、高校時代に戻って若々しく。こぶしを利かせて歌わないように。

 

<音楽プロデューサー 須藤晃>
 東京大学文学部卒。1977年、CBSソニー入社。浜田省吾、尾崎豊、杉真理、ECHOES、玉置浩二ほか、数多くのアーティストを手がける。カリントファクトリー・代表取締役

 

<村下孝蔵>
 1953年熊本県生まれ。1980年、『月あかり』でデビュー。『ゆうこ』『初恋』『踊り子』などヒット曲多数。1999年6月24日、高血圧性脳内出血により46歳で急逝。アルバム『ひとりぼっちのあなたに ~村下孝蔵選曲集~』発売中。7月15日、マウントレーニアホール渋谷にて追悼イベントを開催
(週刊FLASH 2017年7月4日号)

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