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坂本冬美の『モゴモゴ交友録』石川さゆりさんーーすっかり舞い上がって1ミリも記憶にありません

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.03.18 06:00FLASH編集部

坂本冬美の『モゴモゴ交友録』石川さゆりさんーーすっかり舞い上がって1ミリも記憶にありません

坂本冬美、石川さゆり

 

 いつお逢いしても、何度お逢いしても、わたしの背筋が思わずピシーッとなってしまうほど緊張してしまうのが、永遠の憧れの人……唯一無二の存在である石川さゆりさんです。

 

「石川さゆりさんが入られます」

 

 テレビの収録スタジオで、ADさんの声が耳に届いた瞬間、 “えっ!? あぁどうしよう?” と、挙動不審になってしまいます。

 

 

 さゆりさんのお声がとっても好きで、さゆりさんの歌が大好きで、いつかはわたしも……と淡い夢を抱いた青春時代もありましたが、そんな夢はプロになると同時に霧散。憧れの存在というのもおこがましいほど、もっともっと遠い存在で、もっともっともっと大きな先輩です。

 

 わたしの目に映るのは、さゆりさんの背中どころか、長〜い影の先端だけで……。ここでなんとか踏ん張って、ちょっとだけ見えるその影の先端だけでも見続けていたいというのが、今のわたしの切なる願いです。

 

 こんなわたしが、さゆりさんと初めてお話しさせていただいたのは(お逢いしたじゃなくて、お話ししたです)、猪俣公章先生のお宅で、内弟子という名のお手伝いさんをしているときのことでした。

 

「そういえば……冬美はさゆりの大ファンだったよな」

 

 いつものように酔った猪俣先生が、何を思ったのか突然、電話を引き寄せ「よし、今から電話してやる」と言いだしました。

 

 さゆりさんのデビュー曲『かくれんぼ』を作曲されたのが猪俣先生で、酔うと「さゆりは、まだセーラー服を着ているころから俺のところに来ていたんだぞ」と、ちょいちょいおっしゃっていたので、もしかすると先生の中では「さゆりも弟子のようなものだ」というお気持ちがおありだったのかもしれません。

 

 でも、しかしです。わたしにとっては雲の上の人で、崇拝しているさゆりさんです。冷静にお話しできるはずがありません。全身汗まみれ。すっかり舞い上がってしまい、何をお話ししたのか、1ミリも記憶にないありさまでした。

 

 ところがです。一昨年、BS-TBSが制作してくださったデビュー35年の特番に、特別ゲストとして来てくださったさゆりさんが「ねぇ、覚えてる?」と、ふふっと微笑むと、続けて「デビュー前にお話ししたのよね」と、うふふふふっとお笑いになって。

 

 え〜〜〜〜〜っ、でした。もちろん、わたしは覚えていますとも。だって、憧れのさゆりさんですから。でも、まさかさゆりさんが37年も前のそんな些細なことを覚えていてくださったとは……青天の霹靂です。もう、嬉しいどころの騒ぎじゃありません。

 

 心も体もボロボロになり、一度は舞台を去った時期、コンサートで和歌山においでになったさゆりさんに、おみかんを届けたことがあるのですが、そのこともちゃんと覚えていてくださって。

 

「みかんを届けてくれたのよね。でもあのとき、冬美ちゃんはお休み中だったのよね」と、 “お休み中” をビミョーに強調すると、またしても、ふふふっと笑みをこぼされて。恥ずかしさのあまり、返す言葉もありませんでした(苦笑)。

 

 現状に満足せず上を上を目指して、ご自身も楽しみながらチャレンジし続けていらっしゃるさゆりさんは、昔も今も変わらず、永遠に憧れの人……歌を聴くたびに、くぅぅぅっと痺れ、ため息がこぼれます。バイタリティがあって、カッコよくて、素敵な先輩です。

 

さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!

 

写真・中村 功 
取材&文・工藤 晋

( 週刊FLASH 2023年3月28日・4月4日号 )

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