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『風間公親-教場0-』木村拓哉が渋い演技で「なにをやってもキムタク」から脱却したのに…脚本に足を引っ張られる

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.04.17 11:00 最終更新日:2023.04.17 11:00

『風間公親-教場0-』木村拓哉が渋い演技で「なにをやってもキムタク」から脱却したのに…脚本に足を引っ張られる

 

 脚本へのツッコミはさておき、従来の “キムタク節” に食傷気味だったドラマファンほど、今回の作品は一見の価値あり。

 

 木村拓哉が『HERO』第2シリーズ以来、9年ぶりに「月9」(フジテレビ系の月曜21時枠)主演を務める『風間公親-教場0-』のことである。先週月曜に第1話が放送された。

 

 本作は、警察学校の教官役で木村が初めて白髪キャラに挑戦し、冷酷無比な主人公を演じて人気を博したスペシャルドラマ『教場』シリーズの前日譚。

 

 

 2020年正月に放送された第1弾は世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)15%台、2021年正月に放送された第2弾は13%台と高視聴率を獲得していた。

 

 今回の連ドラは時系列でいうと過去2作よりも前の物語で、主人公・風間公親が警察学校の教官になる前の、刑事指導官として新人刑事の教育にあたっていた時代を描いている。

 

■“キムタク節” を封印した渋い演技

 

 木村は、演技が一本調子であることを「なにをやってもキムタク」と揶揄されてきた役者だ。

 

『HERO』(2001年/フジテレビ系)や『ビューティフルライフ』(2000年/TBS系)といった、往年の木村主演ドラマを観たことがある人は思い出してみてほしい。作品ごとに性格や職業は異なるものの、彼の演技には “低い声でボソボソしゃべり、一見クールだが、実は内に熱いものを秘めている” と通底するものがあった。

 

 昨年4月期に放送された『未来への10カウント』(テレビ朝日系)でも、そのフォーマットを踏襲する演技を見せていた。

 

 だが『教場』シリーズでは、「なにをやってもキムタク」から脱却したと高い評価を得ており、今回の連ドラでも従来の “キムタク節” を封印した渋い演技で魅せている。

 

 クールという部分は同じと言えば同じだが、アプローチの仕方がまったく異なっており、抑えた演じ方で冷徹な大人な男を体現できていると感じた。

 

 本作は大枠で言えば、検事を演じた『HERO』、パイロットを演じた『GOOD LUCK!!』(2003年/TBS系)、外科医を演じた『A LIFE〜愛しき人〜』(2017年/TBS系)、ボディガードを演じた『BG〜身辺警護人〜』(2018年、2020年/テレビ朝日系)、フレンチシェフを演じた『グランメゾン東京』(2019年/TBS系)などに類するお仕事ものドラマだ。

 

 誤解を恐れずに言うなら、『HERO』や『GOOD LUCK!!』などの従来の木村主演のお仕事ものは、彼をどうスーパーイケメンとして引き立てるかがテーマとなっていた作品だった。失礼を承知のうえでの極論だが、キムタクがなんのお仕事のコスプレをしているかが見どころだったように思う。

 

 しかし、刑事指導官を演じる『風間公親-教場0-』は、お仕事ものはお仕事ものでも、木村をかっこよく撮ることを二の次にして、重厚な人間ドラマを描こうという気概を感じらるのである。

 

 映像や演出もけれん味を排除したシリアスな雰囲気にしてあるため、従来のキムタクドラマとは一線を画すストイックな作風になっている。

 

■脚本の粗が見えて没入できず萎える

 

 第1話は心優しき新米刑事(赤楚衛二)が、刑事指導官である風間とバディを組まされ、実際に起こった2つの殺人事件の捜査を通して厳しい教育を受けるという展開。

 

 舞台は警察学校ではないが、いわゆる “学校もの” の要素は残っており、そこに難事件を解決していく “刑事もの” の要素が加わったハイブリッドなストーリーだ。

 

 けれど、正直に言うと、筆者はそこまでおもしろいと感じなかった。次はどうなるのかと物語にグイグイ引き込まれる感覚が薄かったし、脚本の粗が見えて萎えた部分もあった。

 

 1つめの殺人事件の犯人逮捕の決め手となったダイイングメッセージは、新米刑事は見落とし、風間だけが気づいていたという展開だったが、そのダイイングメッセージがありえなさすぎたのである。

 

 タクシーに乗ったカップルの男性が女性に殺されたのだが、男性側が彼女に殺されるかもしれないと察知していたらしく、タクシーの運転手に事細かに道順を指示して走らせ、そのルートが彼女の名前を示していたというもの。

 

 しかし、彼女の殺害動機はリベンジポルノをおそれていたからというのは明白なので、画像を消去して真摯に謝罪すれば殺されずに済んだだろうし、奇妙なダイイングメッセージを残すヒマがあるならさっさとタクシーから降りて逃げればよかっただけ。

 

 この被害男性が、殺されるのを呑気に待っていたようにしか思えない展開で、視聴者からツッコミの嵐だった。筆者もこのダイイングメッセージに呆れ果て、その後のストーリーに没入できなくなった。

 

 だが、そんな第1話の世帯平均視聴率は12.1%と上々のスタート。TVerのお気に入り登録者数も4月14日時点で74.7万人と高い数字。ドラマファンの期待値が高いことが伺える。

 

 せっかく木村が “キムタク節” を封印して、円熟した演技で新境地を開拓しているのだから、今夜放送の第2話以降は、脚本家などの制作陣が足を引っ張らないことを祈るばかりである。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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