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映画『SLAM DUNK』作者のメッセージが中国で大炎上「上映禁止だ!」若年愛国者「ピンクちゃん」から“猛攻撃”

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.04.26 22:00 最終更新日:2023.04.26 23:51

映画『SLAM DUNK』作者のメッセージが中国で大炎上「上映禁止だ!」若年愛国者「ピンクちゃん」から“猛攻撃”

中国で猛バッシングを受ける『SLAM DUNK』原作者の井上雄彦氏

 

 4月20日から、中国でも公開が始まった映画『THE FIRST SLAM DUNK』。原作者である井上雄彦氏が監督まで務めたという気合の入れようで、興行収入は4日間で4億人民元(約77.1億円)を記録し、大ヒットしている。この成績を支えているのは、

 

「上海では、1997年からアニメがテレビで放映されました。そのとき、私は17歳の高校生でしたが、夢中で観ていました。映画は上映初日に行きましたが、まさに青春がよみがえった感じです」(40代・上海で英語教師を務める中国人男性)

 

 

「僕らも年を取り、結婚して子どもがいたりしますが、ぜひ子どもも連れて観に行ってほしいですね。とくに男の子なら、試合への情熱や、安西先生の『あきらめたらそこで試合終了ですよ』という言葉から、あきらめない気持ちを学ぶことも多いでしょう。とにかく懐かしい作品です」(40代・中国人男性)

 

と、原作の漫画やアニメにふれてきた、30代以上の中国人男性たちだ。

 

 井上氏は20日の公開に合わせ、Twitterに、中国語で公開をお祝いするコメントを発表。宮城リョータのイラスト上に、「HELLO CHINA」という文字が表示される短い動画つきだった。

 

 ところが、この投稿に噛みついたのが、一部の中国ネット民だ。

 

「Twitterの文章自体は、『みなさまに楽しんでいただければ幸いです』程度の、なんでもない内容でした。ところが、『HELLO CHINA』のうち『CHINA』の『H』だけが黄色くなっていたんです。これに文句がつきました。『Hを飛ばして読むと、外国人が中国を侮辱する『CINA(支那)』と読める』という意見が出てきたのです」(中国事情に詳しいジャーナリストの角脇久志氏)

 

 言いがかりとしか思えない内容だが、中国のSNS・微博には、批判する声も多くある。

 

《Twitterの投稿の『CHINA』の黄色い文字でHだけ色を変えて『CINA』(シナ)とは、どういう意味だ?》

 

《スラムダンクは大好きで、井上雄彦先生に感謝します。しかしどうしてCHINAの一文字の色を変えたのか。CINA(シナ)と読むのを意図したのか?》

 

《数年前に香港独立の動きがあったが、彼は自分がどういう立場なのかまったくわかっておらず、あきれて言葉も出ない》

 

 じつは、この騒動の背景にはそもそもの井上氏への“不信”があるという。

 

「井上氏は、2019~2020年にかけておこなわれた香港民主化デモについて、民主化勢力を支持するようなスタンスを取りました。評論家で中国当局に批判的な石平氏や、河野太郎氏が投稿した強引なデモへの取り締まりを憂慮する投稿に『イイね』を押したため、中国の愛国系ネット民から攻撃を受けた過去があるんです。今回、この事件も蒸し返されています」(角脇氏)

 

 映画の上映禁止を主張する動画を投稿した中国人男性もいる。男性は動画内で、

 

「『SLAM DUNK』は上映禁止にされるべきだ! なぜなら作者の井上雄彦はTwitterの宣伝で『CINA』と意図する投稿をしたからだ。それに彼は数年前に、Twitterで香港に関する投稿に『イイね!』を押していた。作者の中国に対する態度は友好的ではない! だから、『SLAM DUNK』の映画の上映もアニメの放送も、禁止にすべきだ。そのほかにも、関連する作品も二次創作も禁止にするべきだ」

 

と、発言している。

 

「こうした投稿を繰り返すのを、中国では『小粉紅』と言います。日本語では『ピンクちゃん』という意味です。彼らは、中国で1990年代以降に生まれた若い世代の民族主義者。とくに台湾独立運動や香港民主化運動、チベット独立運動に対し、大人数で攻撃的な書き込みをおこなうことで知られています。日本でいえば、いわゆる“ネトウヨ”のような存在です」(角脇氏)

 

 中国の国内でも、「ピンクちゃん」への温度感は差違がある。

 

「そんなにいやなら『SLAM DUNK』を観ないでくれ、といさめる声や、井上氏のTwitterにはベトナムでの公開をお祝いする投稿もあり、そこでは『VIETNAM』の『T』が黄色くなっているのだから、深い意味はないはずだ、といった冷静な声もあります。

 

 最近では、上海のモーターショーで、BMWのブースで女性スタッフが外国人にだけアイスを配り、中国人客には配らなかったことで大炎上した騒動もありました。この件を中国メディアが大きく取り上げ、BMW側が謝罪をするも、ネット民から執拗な攻撃を受けて不買運動にまで発展しています。

 

 習近平政権で愛国主義が強まり、それに追随する中国メディアも、こうした騒動を大きく報道するようになりました。その結果、外国企業や外国人に対し、些細なことでも『ピンクちゃん』が攻撃をするようになったんです。長期にわたるコロナ政策で停滞する中国経済に、不満を持つ人々のガス抜きになっているのかもしれませんが、長期的に見た場合、“チャイナリスク”として、外国企業の中国進出へのブレーキになるでしょう」(角脇氏)

 

 ネット上で大暴れする「ピンクちゃん」。安西先生ですら“あきらめてしまいそう”な人たちだ。

( SmartFLASH )

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