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氣志團ラジオで“ヤラセメール”発覚も「創作なしでは番組が成り立たない」関係者が語る制作現場の実態
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.05.02 19:40 最終更新日:2023.05.02 19:40
4月30日、TBSラジオは公式サイトで、ロックバンド・氣志團の綾小路翔がパーソナリティを務めるラジオ番組『俺達には土曜日しかない』で、スタッフによるメールの自作が発覚したと報告し、謝罪した。
発表した文章には、4月22日の放送でラジオネーム「サキピ」さんからのメールが
《番組スタッフがリスナーを装って自作し、自ら採用していたものであることが判明しました》
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と書かれている。さらに調査をおこなったところ、4月22日以前にも、同様のケースが13件あったことが確認できたという。
これを報じた『日刊スポーツ』の取材に対し、TBSラジオは
《オンエア後、番組関係者からの報告で事態が発覚し、番組スタッフにヒアリング・調査を行った》
《パーソナリティーの綾小路翔さんは一切関与するものではありません》
と回答している。
リスナーからのメールやハガキをパーソナリティが読み上げ、一緒の番組をつくりあげる――。テレビとは違う距離の近さと、温かみがラジオの醍醐味のひとつのはず。今回の一件はまさにリスナーへの“裏切り”だろう。ところが、
「リスナーからのメールをスタッフや放送作家が創作することは、日常茶飯事ですよ」
と語るのは、ラジオ番組の制作関係者だ。
「ラジオ番組にメールを送るのはパーソナリティの熱狂的なファンがほとんどなんです。そのようなファン層から送られてくるメールの内容は、番組的に扱いにくい場合が多いんです。純粋にネタとして弱かったり、ネタメールを募集しているはずなのに、ファンレター的なものばかりが来てしまったりするんです。これだと、メールを元に番組の中でトークを広げるなんてことできませんよね」
とくに、こうした“創作”がおこなわれるのは、新人の俳優、アイドルのラジオ番組が多いという。
「深夜のラジオ番組に出演しているお笑い芸人のような“話のプロ”ばかりじゃありませんからね。売り出し中のアイドルや俳優は、そもそもトークを広げることが苦手ですから、扱いやすいメールじゃないと難しいわけです。結果的に、そういった番組の意図を察してくれる常連さんのメールばかりが取り上げられる事態になります。それでもネタが足りなかったり、『同じ人ばかりでまずい』という判断になった場合は、リスナーから送られてきたメールに手を加えて脚色したり、放送作家やADが、一からメールを創作するんですよ」
番組制作の現場では、“ヤラセ”という感覚はないという。
「そもそもネタ選びだって、いわゆる常連の“メール職人”からの投稿を優先的にチェックしています。そのほうが効率がいいし、おもしろいですからね。すべてのメールを平等に、正直に取り上げていては、番組が成り立ちませんから。今回のTBSの件も、現場では『なぜそこまで謝るのだろう』という印象です。演出上の“常識”を知らない上層部に問題視されたのでしょうかね……」(同前)
メディア事情に詳しい、リスクコンサルタントの井ノ口樹(たつき)氏は、こうした“ヤラセ”が横行する背景について、メディアの制作現場で、SNSのなかった時代にあった“古い感覚”が、いまだに残っていることが影響している、と語る。
「“素人の意見”を創作するという点では、ラジオ番組だけでなく、テレビ番組でも同様のケースは多いんです。たとえば、街頭インタビューにたびたび同じ人が登場したりして、ネットで話題になることがありますよね。あれは、基本的にエキストラ派遣会社にリサーチや“素人の用意”をお願いしているために起きている現象です。
昔は、こうした不自然な演出が話題になることはありませんでしたが、いまはSNSで拡散され、白日の下にさらされやすくなりました。しかし、メディア側の意識が追いついていない状況です」
視聴者の意識も二極化しつつある。
「番組の内容を鵜呑みにして信じてしまう層と、すべてが台本で、仕込みであると、さめた目で見る層に両極化しつつあります。『テラスハウス』(フジテレビ系)で、憎まれ役という“キャラ”で出演していた女子プロレスラーの木村花さんが、誹謗中傷のターゲットにされ、自死に追い込まれた事件がありました。
これは、番組を鵜呑みにしてしまう視聴者も問題ですし、そうした層への配慮をしなかった局側の問題でもあります。放送局側にも意識改革が求められていますし、視聴者のほうも、少なくともバラエティ番組については、フィクションの娯楽として気軽に楽しむ心の余裕が必要です」(井ノ口氏)
しかし、リスナーとしてはメールが創作だと考えると、急に気持ちが“萎える”のも、また事実だが……。
( SmartFLASH )