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高畑充希『unknown』吸血鬼と人間の恋が軽いノリで描かれ好感、コメディとシリアスのバランスも絶妙

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.05.09 11:00FLASH編集部

高畑充希『unknown』吸血鬼と人間の恋が軽いノリで描かれ好感、コメディとシリアスのバランスも絶妙

写真:つのだよしお/アフロ

 

 吸血鬼と人間のラブストーリーを、コメディとシリアスを織り交ぜながら、不思議なバランス感覚で描いている高畑充希×田中圭ダブル主演作『unknown』(テレビ朝日系)。先週火曜に第3話まで放送されている。

 

 高畑が演じるのは、吸血鬼であることを隠して週刊誌記者として人間社会になじんでいる闇原こころ。田中が演じるのは、交番勤務の熱き警察官ながら、実は父親が殺人犯だという重い過去を背負う朝田虎松。

 

 

 こころと虎松の恋愛物語はライトなコメディタッチでほっこりするのだが、2人が暮らす街では被害者の血液が抜かれて死亡するという連続猟奇殺人事件が起こっており、シリアスなサスペンスも展開される構成だ。

 

■人魚との恋愛を描いた『恋はDeepに』と同じ脚本家

 

 人ではない者との恋を描いた作品は、近年では石原さとみが人魚を演じた『恋はDeepに』(2021年/日本テレビ系)があるが、『unknown』と『恋はDeepに』は同じ脚本家・徳尾浩司氏の作品である。

 

 しかし、『恋はDeepに』はヒロインが人外であることが恋愛における最大の壁になっていたが、『unknown』ではそこまで大きな問題となっておらず、いい意味で国際結婚ぐらいのカルチャーギャップ感覚なのが特徴。

 

 まず、こころは吸血鬼といっても、人間に直接かぶりついて血を吸うわけではない。

 

 吸血鬼界ではウォーターサーバーのような大型ボトルや、500mlサイズのペットボトル型のドリンクとして血液が商品化されており、ほかにも血液配合のポテトチップスといった嗜好品もあるので、それらをネットショッピングで購入して血を摂取。その血も献血センターで期限切れとなってしまった血液が、こっそり吸血鬼界に流通されているので、平和的な方法で入手できている。

 

 また、日光を浴びすぎると火傷してしまうのだが、短い時間だけ陽に当たる程度なら問題ないようで、日中でも日傘やサングラスをしていれば気兼ねなく外出できる。ニンニクや十字架は苦手だが、ニンニクを食べても食中毒になるぐらいの感覚らしい。

 

 そして、不老不死ではなく、普通の人間のように成長して老いていくようだ。そのため、吸血鬼たちはさほど大きな問題もなく人間社会に溶け込んでおり、普通の人間たちは吸血鬼の存在自体を知らないという世界観である。

 

■多様性という観点で前クール『星降る夜に』に通底

 

 虎松は、こころから吸血鬼であることを打ち明けられ驚いたものの、前述したように異文化同士の国際結婚ぐらいのノリのコメディタッチになっているので、ライトな感覚でほっこり観ることができる。

 

 だから『恋はDeepに』よりも、『unknown』と同じ枠で前クールに放送されていた恋愛ドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日系)のほうが、似ている要素がある気がする。

 

 吉高由里子と北村匠海が共演した『星降る夜に』では、北村がろう者を演じたが、耳が聞こえないことが恋の障害にはなっておらず、そのキャラクターの一つの個性として描かれていた。『unknown』はこころが吸血鬼であることが多少の障害になったものの、虎松はこころをわりとすぐに受け入れて理解しようとし、愛を深めていく。

 

 第2話の終盤には、虎松がこころの両親に「吸血鬼とか人間とかそんなのは関係なくて、俺はみなさんと家族になりたいです。こころさんと結婚させてください」と伝えるシーンがあり、この時点で吸血鬼問題の最大のハードルはクリアしていると言える。

 

 相手がろう者の『星降る夜に』も、相手が吸血鬼の『unknown』も、キャラクターの個性としてカジュアルに描かれ、その問題をわりとあっさり乗り越えさせることで、ともに多様性を示しているように感じる。

 

■“善良な吸血鬼” より人間のほうがよっぽど怖い?

 

 こころと虎松の同僚や街の仲間も心やさしい気のいい人ばかりで、主役2人と彼らのテンポのいい会話劇はほほえましく、心温まる作風になっている。

 

 さて、今後のストーリーの注目は、連続猟奇殺人事件のサスペンスパートが、吸血鬼という作品テーマにどのようにからんで来るのかというところ。おそらく殺された被害者の血が抜かれているのは、「犯人は吸血鬼なのでは?」と予想させるわかりやすいミスリードのように思える。

 

 つまり、人間に迷惑をかけずに平和に共存している善良な吸血鬼たちより、強烈な悪意や異常性を持った人間のほうがよっぽど怖い――という結末にして、肩書や見た目で差別せず、多様性を受け入れていこう、というメッセージに帰結するのではないか。

 

 この殺人事件がどのような真相なのかはまだわからないが、最終回はこころと虎松が幸せな結婚生活を送り、同僚や街の仲間たちと笑顔で迎えるエンディングになってほしいものである。

 

 今夜放送の第4話は、虎松の父親が殺人犯だという過去に向き合っていくエピソードになる模様。今後もコメディとシリアスの絶妙なバランスを期待したい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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