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元宝塚トップスター瀬奈じゅんが語る「宝塚とAKB48は同じ」説

エンタメ・アイドル 投稿日:2017.08.10 16:00FLASH編集部

元宝塚トップスター瀬奈じゅんが語る「宝塚とAKB48は同じ」説

 

■いかに推しメンを作るか

 

——宝塚音楽学校を卒業されて、1993年に花組に入られたんですよね。
「卒業して、初舞台を同期40人で踏むんです。同期全員で同じ舞台にたつ最初で最後の機会。それがお披露目みたいなもので、その後、組に振り分けられます。4組に10人ずつ。私のころは花組、月組、雪組、星組の4つです(現在は空組もある)。各組のプロデューサーが選抜するので、自分からは選べません」

 

——それぞれの特徴は?
「一応、当時『ダンスの花組』『芝居の月組』『日本ものの雪組』『ゴージャスな星組』と言われていました。でも、ファンの方にそう仰って頂いているだけで、こちらから演じ分けていたわけではないんですね」

 

——花組で10年以上演技を続けてきて、2004年、次期トップスターに内定した状態で月組に組み変え。2005年に月組トップスターに。こういうことはよくあるんですか?
「当時は珍しかったですね。『組み替えしてすぐトップスター』みたいなのは」

 

——トップスターはどう決まるんですか?
「劇団の上層部が決めます」

 

——男役を目指していたのは?
「宝塚といえば、男役でしょ! って思ってましたから」

 

——ご自身では、なぜ、トップスターになれたと思いますか?
「んー、そうですね。花組のときに『いろんな男役がいるなかで、とにかくカッコいい男役になろう』と思いました。歌が上手い男役さん、踊りが武器な男役さん、たくさんいるのですが、私は何かがすごく秀でていたわけではない。特に歌が苦手でした。特別上手くなくていいから、すべての要素を及第点にしようと思い、歌をまず努力しました。そこから、たくさんいる男役のなかで、どうしたら私を『推しメン』にしてくれるかを考えていました」

 

——推しメン?
「はい。宝塚ってAKB48に似てると思うんですよ。そういう努力している姿をファンの人に見せて、楽しんでくれるか。例えば、2階席の後ろの席の人のために、少しでも自分を大きく見てもらうために、人よりも1センチでもスタンスを広くとって踊ろうとか。そういう小さな積み重ねを続けていって、私のことを支持してくれるファンの方が増えていきました。AKB48も『会いに行けるアイドル』というキャッチフレーズですが、出待ちができるし、タカラジェンヌも『会いに行ける』んです。CD買って投票するみたいなのはないけど(笑)、出待ちの数、チケットや物販の売り上げなどが指標になって、人気が決まります。宝塚のファンクラブって非公式で、本部から認められているわけではないんですが、だからこそ変な制限もないというか。AKB48も劇場がありますが、実際にキャストがいいか悪いかは、舞台を見れば一発でわかっちゃうんです」

 

——確かに似てますね
「私、AKB48を見てると『昔から宝塚がやってきたことだな』って思います。ファンがスターを作る、といいますか。応援しているタカラジェンヌの立ち位置がどんどん真ん中になったり、そういうレースを見ているような感じ。オジサンもハマっちゃうと思うんですよ。私の父は普通のサラリーマンでまったく宝塚に興味なかったんですが、舞台そのものよりも『システムが面白い』って言って。『次はこの人がくるんじゃないか?』と予想をたてたり、『このコは若いうちから光ってる』とか見つける楽しさがあるみたいです。だから私がトップになっても、私じゃなくて、別の若いコばっかり見ています(笑)」

 

■映画のシステムが気になる

 

——2009年で退団。やめる理由は何があったんですか?
「『グレートギャツビー』という舞台をやらせて頂いたときに、男役として、やりきった、もう表現するものはないなと思いました。それで劇団に辞める話をしに行きました。しばらく燃え尽き症候群になっていました。辞めるときに、次に女優になろうとかは思ってなかったですね。在団中に『エリザベート』という作品のお話を頂いて、『やってみたいな』と思い、次の仕事に繫がったみたいな感じです」

 

——芸能生活25周年でコンサートが東京、大阪で開かれましたが、「歌が苦手だった」という瀬奈さんがコンサートというのも、凄いですね。
「今でも上手だとは思いませんが、芸歴10年目くらいまで、まったく歌えなかったんですよ。歌うのが苦手だった自分に『頑張ったね』と言ってあげたい。でも男役として歌うのと、女性として歌うのは違うので、試行錯誤してます。

 

——苦手な歌はどう克服したんですか?
「とにかく自信をつけるためにレッスンに通いました。あとは舞台で場数を踏みました。10の稽古より1回の舞台の方が糧になるんですよ」

 

——今後はどんなお仕事を?
「映画に出てみたいですね。芝居することにジャンルはないと思うんですが、映画の現場ってどんな感じかなぁ~って気になるんです。撮り方に興味があります。どういう組み立て方をするのか。舞台だと1カ月半くらい通しで、毎日稽古しますが、ドラマだと順番もバラバラで、時系列も撮っていく通りではない。どのときの自分を演じるのか、きちんと考えなきゃいけない。映画はどうなってるのか、気になります」

 

——また俯瞰して見てますね。
「あ、ホントだ(笑)」

 


プロフィール
せなじゅん
43歳 1974年4月1日生まれ 東京都出身 T168 1992年、78期生として宝塚歌劇団に入団。『この恋は雲の涯まで』で初舞台を踏む。2005年に宝塚歌劇団「月組」男役でトップスターに就任。2009年に退団後は女優として活躍し、2012年に第37回菊田一夫演劇賞で演劇賞を受賞、同年の第3回岩谷時子賞で奨励賞を受賞した。舞台『ヤングフランケンシュタイン』が東京国際フォーラムホールC(8月11日から9月3日まで)と、大阪のオリックス劇場(9月7日から9月10日まで)にて公演予定

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