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西島秀俊、『ドライブ・マイ・カー』に続き北野映画『首』で喝采も…「演技が下手だった」恩師が語っていた過去
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.05.24 16:25 最終更新日:2023.05.24 17:18
北野武監督(76)の最新作『首』が「第76回カンヌ国際映画祭」で日本映画の実写版としては初選出となる「カンヌ・プレミア」部門で公式上映(現地時間23日)された。
上映後は満員の客席からスタンディングオベーションが沸き起こり、改めて注目の高さがうかがわれた。
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「この作品は “本能寺の変” が舞台で、北野監督が30年にわたり構想を温めてきました。『座頭市』以来20年ぶりに手がけた時代劇です。
映画化に先立ち、2019年には自身初の歴史長編小説として原作を書き下ろして出版しました。映画では北野氏自ら羽柴秀吉を演じ、加瀬亮、浅野忠信、大森南朋、中村獅童、木村祐一、遠藤憲一、桐谷健太、小林薫、岸部一徳など個性的な役者を揃え、北野ワールドが全開になっています」(芸能記者)
なかでも重要な役どころは明智光秀。演じるのは西島秀俊(52)だ。西島は、村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」に出演しており、2021年の「第74回カンヌ国際映画祭」で日本映画初となる脚本賞など4部門を受賞している。まさに「カンヌ男」である。
そんな内外ともに認める実力派だが、かつて西島が所属していた劇団「ウォーキング・スタッフ」の演出家・和田憲明氏が、本誌(2022年3月29日・4月5日合併号)に「めちゃくちゃ演技が下手で」と笑いながら新人時代を語っていた。
大学時代、大手芸能プロダクションからスカウトされた西島は、中退後の1992年に、連続ドラマ『はぐれ刑事純情派』(テレビ朝日系)に若手警官役としてレギュラー出演し、本格デビューした。
「西島くんがうちのワークショップに来たのは、まさにそのころでした。ドラマに出ると聞いて、警官役のシーンを稽古しましたから。西島くんは『はぐれ刑事純情派』以前にも、3時間ドラマにちょい役で出演していたのですが、見せてもらったらめちゃくちゃ演技が下手で(笑)。
本人はすごく凝り性で、いつだったか、長い笛みたいな楽器にハマって、仲のいい友達とライブをしていました。自分の趣味でやっているだけだから客も少ない。でも、自分が気持ちよけりゃいいって感じで、客そっちのけで演奏していました」
西島は1997年、所属していた大手プロダクションから現在の所属事務所に移籍する。その背景にあったのは、「アイドル路線」で売りたいと考えていた所属事務所との方向性の違いだった。移籍当時のことを和田氏はよく覚えているという。
「イケメン俳優として人気が出てしまったことを、本人は『本当に嫌なんです』とこぼしていました。
事務所を辞めてからは、小劇場や自主映画からのオファーを受けて俳優活動を続けていたんですが、その時期からだんだん会う機会が少なくなっていったんです。
2年ぶりくらいに急遽、舞台の主演をお願いしたときには『やります』と即答してくれました。結局、その話は流れてしまったのですが、そのとき彼は黒沢清監督など巨匠の映画にも出はじめていたので、『舞台にはもう出ないんだろうな』と思っていましたから、感激しましたね」
師弟関係を物語るいいエピソード……かと思いきや、和田氏は「続きがあるんです」と言って苦笑した。
「西島くんはやっぱり魅力的な俳優なので、少ししてまた別の舞台のオファーをしたんです。そうしたら『当分、舞台はやる気ないんです。映画に比べて影響力が物足りないんですよ』と。そんなにあっさり断わるかよ、と思って(笑)。
でも考えてみると、映画で食っていくと一度自分で決めたのなら、そういうことも悪気なく言っちゃうやつだよな、と思い直しました。自分の信念に純粋で、一途な彼らしいエピソードだと思いますね」
西島は記者団の取材に「何度か映画祭で上映に立ち会っていますが、本当に素晴らしい上映で感動しています。観客のみなさまが集中して笑いながら観てくださって胸がいっぱいです」と語っていた。映画『首』は11月23日より全国公開される。
( SmartFLASH )