「歌入れが終わったあと、プロデューサーが『おいおい、銭の匂いがしてきたでぇ』って笑顔で言ったんです。その感覚は、全然わからなかった」
その予言どおり、デビュー曲『バージンブルー』は大ヒットを記録。一躍、人気バンドの仲間入りを果たした。
「僕らが書いたオリジナル曲でデビューする予定でしたが、大型タイアップの話が舞い込んで、急遽、鈴木キサブローさんの曲に変更されたんです。
初めてデモテープを聴いたときは、正直がっかりしました。歌謡曲テイストのGSサウンドで、これを俺たちがやるの? って。関係者からは『これ一発やって、名前を上げてから好きな音楽をやればいい』と説得されました」
SALLYは、もともとビートルズのようなコーラスを得意とする「ピュアなロックンロール」バンドだった。
「テレビで『チェッカーズ』を観たとき、先にやられちゃったな、と思ったんです。バンド編成が同じだったのはただの偶然だし、突きつめれば音楽性が違うから、区別してもらえると思っていた。だけど、この曲を歌うことになって、チェッカーズを意識していると誤解されても仕方がないな、と思いました。
『バージンブルー』は、歌詞やメロディにヒットの要素が詰まっている。僕には一生かかっても書けない曲。今では、好き嫌いのレベルを超えて、肉体の一部になっています」
<SALLY『バージンブルー』>
1984年7月1日発売
作詞:さがらよしあき 作曲:鈴木キサブロー
●ザ・ベストテン初登場:1984年9月27日 10位
●最高位:3位
●連続ランクイン:6週
●売上枚数:21.4万枚(1984年)
<カラオケ・ワンポイント・アドバイス!>
サビの部分で盛り上がって歌いたくなるけど、歌には緩急が必要。僕の場合は、「泣きじゃくる」で、少し落とします。「おれ、たち」の音程を取るのは難しいけど、低い「おれ」の部分をちゃんと音を出すように意識しましょう。
<加藤喜一>
1965年東京都生まれ 52歳。1984年、ロックバンド「SALLY」のリードボーカル&ギターとしてデビュー。日本有線放送大賞新人賞、日本レコード大賞新人賞を受賞。シングル6枚、アルバム5枚をリリースし、1986年、解散。オフィシャルサイト http://keachkato.com CD『impress』(Airplane Label)発売中
(週刊FLASH 2017年8月15日号)