「私立恵比寿中学」を卒業した柏木ひなたのお宝は「あこがれの安室奈美恵さんとおそろい」お守りの指輪

 

「たった一人でレコーディングブースに入ったときは、不安で心細かったですね」

 

　2022年末、12年間在籍したアイドルグループ「私立恵比寿中学」を卒業してソロシンガーとしてスタートを切った柏木ひなた（24）。

 

「でも、この指輪が目に入ったとき、思い出したんです。私はずっとステージ上で、たった一人でも光り輝く存在にあこがれ、目指してきたんだって」

 

【関連記事：私立恵比寿中学「星名美怜」おっとりした愛猫が怒る瞬間は…】

 

　その存在とは、安室奈美恵。柏木がその存在を知ったのは、小学生のとき。母親が運転する車の中だった。

 

「車で流れていた歌がすごく気になって、母に『誰が歌っているの？』って聞いたんです。そうしたら『ママが大好きな安室奈美恵さんという人だよ』って」

 

　歌声に魅せられた彼女は、家にあったCDを聴き、DVDを繰り返し観たという。そして母親と一緒に、コンサート会場にも足を運んだ。

 

「幕張メッセの後ろのほうの席で、すご～く小さくしか見えなかったけど、夢のような時間でした。そして、この人みたいになりたい！　と思ったんです。奈美恵ちゃんみたいに、歌って踊れるようになりたいって」

 

　小学5年生のときに芸能界に入り、夢に向かって歩き出したころ、忘れられないコンサートがあったという。

 

「地元・千葉県の市民会館に安室さんが来ることになって……。絶対に行きたいとチケットを申し込んだら、なんと前から5列めの席が取れたんです。ステージ上のアスリートと呼ばれていた安室さんを目の前で見られたことは、芸能界に入ったばかりの私にとって、すごく刺激になりました」

 

“エビ中”メンバーとして歌って踊り、ひたすら走り続けていた彼女に、母親から指輪がプレゼントされたのは、安室が引退する少し前のこと。

 

「安室さんがいつもつけていらっしゃって、ずっとすてきだなと思っていたんです。だから、本当にうれしかったです」

 

　それまで指輪を身につける習慣はなかったが、気合を入れたいときには必ずつけるようになった。

 

「奈美恵ちゃんが……やっぱり、いまでもこう呼んじゃいますね。一緒にいてくれる、戦ってくれているような気がして、いい結果を出せるんです。だから、お守りみたいな存在ですね、この指輪は」

 

■ソロになってから、ずっとセンターなんです（笑）

 

　ソロとしての活動がスタートするころから、お守りの指輪をつけて出かける日がグッと増えた。

 

「グループのときは『これが次の曲です』と、渡されたものを歌うという感じだったんですけど、今回は曲を決めるところからすべてかかわっています」

 

　いくつかあった候補曲のなかから選んだのは『From Bow To Toe』。ハスキーな歌声が映える、パワフルな楽曲だ。

 

「これまでの私を知っている方にとっては意外な選曲かもしれませんが、すごく気に入っています。歌詞も、私の思い……これまで応援してくれたファンの方への感謝の気持ちや、これから始まることへの期待などがギュッと詰め込まれているんですよね」

 

　ミュージックビデオでは、ダンサーを従えてキレのあるダンスを披露。しかし、撮影では戸惑ったこともあったという。

 

「当たり前なんだけど、ずっと私がセンターなんです（笑）。グループにいたときは、フォーメーションの移動が多かったから、つねに真ん中にいるのが不思議で、ちょっと恥ずかしかったですね。だけど、そんな変化のひとつひとつが、新鮮で充実しています」

 

――安室奈美恵ちゃんみたいになりたい。コンサートホールの片隅でそう思った一人の女の子はいま、一人のシンガーとして前に進もうとしている。

 

「私は、安室さんが彼女にしかできないことを全身全霊でやっていた姿を尊敬しています。だから私も、柏木ひなたにしかできないことをやろう、私らしく歌おうって思っています」

 

　そして、こんな思いを口にした。

 

「安室さんが、いつかどこかで私の歌を聴いて、柏木ひなたというシンガーの存在を知ってくださるといいな、と思います。私にそのことが伝わらなくてもいいんです。ただ、見たり聴いたりしてくれたら、それ以上に幸せなことはありません」

 

かしわぎひなた
199年3月29日生まれ　千葉県出身　「私立恵比寿中学」のメンバーとして、2010年～2022年まで活動。2020年には『関ジャム 完全燃SHOW』（テレビ朝日系）で「令和のアイドルで厳選！スゴいボーカリスト10人」に選出されるなど、歌唱力やダンスの評価は非常に高い。2023年3月末よりソロシンガーとして本格的に始動。6月28日（水）にSMEレコーズよりソロデビュー曲となる『From Bow To Toe』をリリース

 

（取材＆文・工藤菊香）

( 週刊FLASH 2023年7月18日号 )