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爆死した『真夏のシンデレラ』を救うか…神尾楓珠が『東京ラブストーリー』の悪夢を甦らせれば名作になる可能性も

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.07.17 11:00 最終更新日:2023.09.05 11:35

爆死した『真夏のシンデレラ』を救うか…神尾楓珠が『東京ラブストーリー』の悪夢を甦らせれば名作になる可能性も

 

 かつての “月9の王道” だったラブストーリーが帰ってきたが、かなり前途多難な船出となってしまったようだ。

 

 ダブル主演の森七菜間宮祥太朗を中心とした8名の若手俳優が共演する、夏の海が舞台の恋愛ドラマ『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)が、月曜21時枠で先週からスタートした。

 

 フジテレビの月曜21時枠、通称・月9と言えば『東京ラブストーリー』(1991年)、『ロングバケーション』(1996年)、『やまとなでしこ』(2000年)など、その時代時代を象徴する大ヒット作を生み出しており、恋愛ドラマこそが月9の王道路線だった。

 

 

 しかし、恋愛ドラマでは視聴率が取りづらくなっていたため、近年の月9は刑事や探偵などを主役とした事件解決もの、弁護士や裁判官などを主役としたリーガルもの、医者などの医療従事者を主役とした医療ものといったお仕事系作品にチェンジ。そのため月9で本格的恋愛ドラマが放送されるのは、2016年7月期の『好きな人がいること』以来、実に7年ぶりである。

 

 要するに『真夏のシンデレラ』は、満を持しての王道回帰作品と言える。

 

■月9の一桁視聴率スタートは約5年ぶり

 

 さて、そんな『真夏のシンデレラ』なのだが、初回の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は6.9%と爆死。

 

 現在は見逃し配信などで視聴するドラマファンも多いので、リアルタイム視聴を計測する視聴率が絶対の時代ではないのは承知のうえなのだが、それでも爆死と言わざるを得ない理由がある。

 

 実は、月9作品で初回視聴率が一桁台だったのは約5年ぶりで、19作ぶりだからだ。

 

 ここ5年は月9ブランドに期待して、初回はお試しで観てみようというドラマファンが多かったせいか、第2話以降で一桁視聴率に陥落する作品がほとんど。だが、『真夏のシンデレラ』に関してはお試し視聴をする価値もないと判断した人が多かったことを示している。

 

 TVerのお気に入り登録者数は50.9万人(7月12日現在)とまずまずなのだが、視聴率の大幅下落の汚名を返上できるほどの数字でもない。

 

■どっかで観たことのあるセリフやシーン

 

 ストーリーは徹底した王道路線なので、こういうド定番の恋愛ドラマ好きにとっては納得の仕上がりかもしれない。

 

 だが、どこかの恋愛ドラマ(特に一昔前の作品)で観たことあるようなコテコテのセリフやシーンの連発で、筆者的には食傷気味。

 

 また、森演じる夏海と間宮演じる健人の人格者っぷりを引き立てる手法が、あまりに短絡的なのにもガッカリした。

 

 レギュラーキャラのなかに、今どきありえないほど失礼な傲慢発言をする男がいたり、名もなきモブキャラたちもしれっとヒドいことをする人々がたくさん出てきたり。

 

 そんななかにいるから相対的に主人公2人が聖人のように見えるのだが、周囲を非常識なキャラで囲んで主役を引き立てようとするなんて、さすがに安易すぎやしないか。

 

 ちなみに本作の3番手として出演している神尾楓珠が、夏海の片想い相手の幼馴染み・匠を演じている。

 

 第1話でさっそく夏海が告白するシーンがあるのだが、匠は「女として見たことない」と振っていた。匠はほかに想いを寄せる年上女性がいるためそれは仕方ないのだが、問題は公開されている第2話の予告映像。夏祭りで匠から夏海に手をつなぐシーンと、海辺で匠から夏海にキスしようとするシーンがあるのだ。

 

 健人は夏海に惹かれているので、2人の恋愛が描かれることになるのだろうが、夏海は匠に振り回されて心をかき乱されてしまうのだろう。「女として見たことない」と振っておいて、手をつないだりキスしたりって……。

 

 障害がなければ、聖人キャラ同士の健人と夏海はすぐに引っついてハッピーエンドになってしまうので、まさに匠は障害となるべく配置されたキャラなのだろうが、さっそく支離滅裂ぶりが際立っているのである。

 

■ヒットするか否かは神尾にかかっている?

 

 情緒がバグッているのではないかとも思える匠。そんな彼を見ていてふと思い出したのは、『東京ラブストーリー』の “おでん女” だ。

 

“おでん女” ことさとみ(有森也実)は、リカ(鈴木保奈美)とカンチ(織田裕二)の恋路における最大のお邪魔虫。カンチの高校時代の同級生で片想いの相手だったのだが、三上(江口洋介)とカンチの間を行ったり来たりしていた。

 

 今なお語り草となっているのは第9話。カンチが付き合っていたリカに会いに行こうとしたとき、カンチの家に手作りおでんを持参して「いや、行かないで」「好きなの」とささやき、引き止めてしまうのである。

 

 こうして悪女史に名を刻み、リカとカンチの幸せを願っていた視聴者から猛烈なバッシングを喰らったのだが、『真夏のシンデレラ』の匠はもうすでに “おでん女” に通ずるイヤ~な匂いをぷんぷん漂わせている。

 

 好意的に解釈すれば、“おでん女” がリカとカンチの仲を引き裂いたおかげで、『東京ラブストーリー』の悲恋性が際立ち、恋愛ドラマの金字塔に昇華したとも言える。そう考えると、“おでん女” のクズすぎる言動が、作品としてはファインプレーだったわけだ。

 

『真夏のシンデレラ』も神尾演じる匠が “おでん女” の再来とばかりクズになりきれば、『東京ラブストーリー』ばりの名作になる可能性も……?

 

 匠が夏海を振り回すシーンが期待される第2話は、今夜放送である。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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