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『シッコウ!!』30年ぶりに主役から外れた織田裕二の魅力爆発…年齢も性別も超えた友情に感涙

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.08.08 11:00 最終更新日:2023.08.08 11:00

『シッコウ!!』30年ぶりに主役から外れた織田裕二の魅力爆発…年齢も性別も超えた友情に感涙

写真:西村尚己/アフロスポーツ

 

 やっぱり織田裕二は、主役としての華がある。そう思わせるためのドラマなんじゃないのかと感じるほど、今回の織田はいい。

 

 先週火曜に第4話が放送された伊藤沙莉主演の『シッコウ!!~犬と私と執行官~』(テレビ朝日系)。

 

 

 本作は、裁判所の職員である執行官の仕事にスポットを当てたリーガルエンターテインメント。強制執行によって容赦なく財産、金品、不動産などを差し押さえたり没収したりするのが執行官の仕事だ。

 

 織田が演じるのはまさにその執行官で、主人公である伊藤が演じるのは執行官のアシスタント的な執行補助者。ひょんな出来事がきっかけで執行補助者となった主人公・吉野ひかりと、主人公を引き込んだ執行官・小原樹によるバディものの作品である。

 

■哀愁漂う50代の織田裕二による “プチ” ラブコメ

 

 主演オファーにこだわってきた織田が、30年ぶりに主役以外を演じることで大きな話題を集めた『シッコウ!!』。第1話から織田演じる小原は出ずっぱりで、もともと出演シーンはとても多いのだが、第4話は特にフィーチャーされていた。

 

 執行に向けて調査を進めていた美人シングルマザーにほのかな恋心を抱くが、その女性は息を吐くように嘘をつくタイプで、小原が振り回されるという “プチ” ラブコメ回。理性的に職務をまっとうしようとするも、若い女性に翻弄されてしまう哀愁漂う50代男を、織田がコミカルに好演していた。

 

 そのぶん、この回はひかりの見せ場は控えめ。クライマックスでひかりがシングルマザーの娘たちに、“家族がちょっと幸せになれる方法” を伝えるなどのシーンはあったが、あくまで小原がメインのエピソードだったのである。

 

 この第4話を観て、やっぱり主人公は織田裕二がよかったとか、せめてダブル主演でよかったんじゃないかとか、そんな考えが脳裏をよぎった視聴者も少なくなかったんじゃないかと思う。

 

 誤解なきようお伝えしておくと、伊藤沙莉に華がないとか、彼女の演技がよくないとか、そういうことを言いたいわけではなく、伊藤は伊藤で素晴らしい演技をして、立派に主人公を立たせている。

 

 だが、そんな若手きっての実力派女優がかすんでしまうほど、織田裕二の存在感の大きさを、まざまざと思い知らされたということだ。

 

■“脇役の織田裕二” を見せられたことで喪失感

 

 織田裕二が主演でもよかったんじゃないか――もし、視聴者にそう思わせることが織田サイドの作戦だったとしたらアッパレである。

 

 織田は、1990年代から2010年代まで数多くのドラマで主演し、2020年に月9ドラマ『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)で主人公を演じるなど、近年も主演俳優としてバリバリ第一線で活躍していた。

 

 だが、長らく大ヒットと呼べる作品とはめぐり合えておらず、『踊る大捜査線』に並ぶ代表作を生み出せないまま年月が経過してしまった。

 

 特に『SUITS/スーツ2』が不発に終わったこともあり、もう織田裕二に連ドラ主演は難しいのかもしれない……という空気感が漂いはじめていた。もしかしたら、主演オファーがなかなか来なくなっていた可能性もあるだろう。

 

 そんなタイミングで、今回の『シッコウ!!』で主人公を引き立てるバディ役。主役を喰うぐらいの存在感を放つ演技を披露することで、多くの視聴者に織田裕二にはやはり華があると気づかせるための作戦だったとしたら、なかなか周到だ。

 

 これまで “主役の織田裕二” を見慣れてしまって食傷気味だったところに、“脇役の織田裕二” を見せられたことで、逆に主演俳優としての貫禄が際立った感がある。

 

 主役が当たり前すぎて、その素晴らしさや必要性がわかりづらくなっていたタイミングで、視聴者に “主役の織田裕二” への喪失感を与える。そうやって飢餓感を沸き起こさせることが狙いだったとしたら、見事に作戦がハマッている。

 

■織田と伊藤の年齢も性別も超えた友情が尊すぎる

 

 連続主演記録は約30年で途絶えたものの、織田裕二がこれから5年、10年と俳優としての存在感を放ち続けるために、今回の “主人公以外” での出演はとても大きな意味を持つのではないか。いつか彼の役者人生を俯瞰して見たとき、『シッコウ!!』の助演は最高の英断だったと高く評価されるかもしれない。

 

 本作の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話9.6%、第2話8.7%、第3話9.2%、第4話7.5%と、今のご時世なら十分合格点の数字で推移。見逃し配信の人気の指標となるTVerのお気に入り登録者数は63.1万と、こちらもまずまずだ。

 

 個人的に、第3話の終盤で小原がひかりに、「だからまたいつか、一緒に働いてほしい。嫌だったら友達でもいい。人間愛だよ。ベランダで綱渡りしたときに思った。俺たちは年齢や性別を超えた絆を結べそうな気しないか?」と語りかけたシーンがグッときた。

 

 年齢も性別も超えた友情の尊さはもちろんだが、その気持ちを堅物そうなおっさんのほうから素直に吐露していたところに、なんだか涙腺を刺激されたのだ。

 

 今夜放送の第5話でも、織田演じる小原と伊藤演じるひかりの友情がどう深まっていくかに注目したい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

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