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甲斐バンド『HERO』は前代未聞のプロジェクトだった

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2017.09.04 16:00 最終更新日:2017.09.04 16:00

甲斐バンド『HERO』は前代未聞のプロジェクトだった

 

「シングルもアルバムもベストテンチャートに送り込んでいたけど、シングル1位(オリコン)だけは見たことがない風景だった。だから、CMのオファーは来るべき瞬間が来た、と思った」

 

 1979年1月1日、午前0時0分。NHKを除くすべての民放で、いっせいにセイコー(当時・服部時計店)のCM『HERO』が流れた。前代未聞のビッグプロジェクトだった。

 

「最初からキーワードは『HERO』でいこうと考えていて、そのときにはもう頭の中でメロディとサウンドが鳴っていたんだ。僕はふだん、楽器を使わず、ほとんど頭の中だけで曲を作る。そのほうがスケール感のあるメロディが書けるからね。僕の哲学なんだけど、曲には必ず泣けるフレーズが必要でね。この曲だと、『銀幕の中 泣き顔のジェームス・ディーンのように』を書けたときが、着地できた瞬間だった。

 

 これは甲斐バンドなりのモータウンサウンド。頭の中でアレンジも出来ていたから、レコーディングは2、3時間で終わった。元旦、地方の宿でこのテレビCMを観たとき、絶対にヒットすると確信した。

 

 僕は覚えてないんだけど、当時『チャンピオンは世界に一人だけど、HEROはどの街角にもいる』とまわりに言ってたらしいよ(笑)。1位の報告を聞いたときは、ホッとした。代理店やセイコーの人たちに責任を果たせたっていう意味でね」

 

<甲斐バンド『HERO(ヒーローになる時、それは今)』>
1978年12月20日発売
作詞:甲斐よしひろ 作曲:甲斐よしひろ
●ザ・ベストテン(TBS)初登場:1979年2月15日 6位
●ザ・ベストテン(TBS)最高位:3位
●連続ランクイン:9週
●売上枚数:180万枚

 

<カラオケ・ワンポイント・アドバイス!>
 自分の曲をカラオケで歌ったことがないけど……。この曲はサビから入るので、バックのサウンドに負けないように。歌がまず飛び込んでこないとダメだからね。音符どおりに歌うと高得点が出るみたいだけど、自由に歌ってほしい。

 

<甲斐よしひろ>
 1953年福岡県博多生まれ。64歳。1974年、『バス通り』でデビュー。『裏切りの街角』『安奈』『漂泊者(アウトロー)』などヒット曲多数。最新アルバム「Best of Rock Set かりそめのスウィング」発売中。3年ぶりの全国ツアー KAI BAND TOUR「かりそめのスウィング」は2017年9月23日、戸田市文化会館を皮切りに、12月3日、東京ドームシティホールまで。詳細は公式HP http://www.kaisurf.com/
(週刊FLASH 2017年9月5日号)

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